ナチス戦争下の奇跡---戦場のピアニストの清涼感 | ブロッコリーな日々

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ナチス戦争下の奇跡

---戦場のピアニストの清涼感

2002年製作/フランス・ドイツ・ポーランド・イギリス合作
原題:The Pianist
配給:ブロードメディア・スタジオ
日本初公開:2003年2月15日

監督:ロマン・ポランスキー

主演:エイドリアン・ブロディ

 

第55回カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールの栄冠に輝いた戦争ドラマ。

第75回アカデミー賞で作品賞ほか7部門にノミネートされた。

 

ナチスドイツ侵攻下のポーランドで生きた実在のユダヤ人ピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンの自伝の映画化である。

監督のポランスキー自身も、パリでポーランド人の両親のもとに生まれ、収容所で母親を亡くし、各地を放浪して生き延びたという体験を持つ。

1939年、ナチスドイツがポーランドに侵攻する。

ワルシャワの放送局で演奏していたピアニストの「シュピルマン」は、ユダヤ人としてゲットーに移住させられられる。

やがて何十万ものユダヤ人が強制収容所送りとなる中、奇跡的に難を逃れたシュピルマンは、必死に身を隠して生き延びることだけを考えていた。

しかしある夜、ついにひとりのドイツ人将校に見つかってしまう。。

 

主人公を助けたナチス将校は、ナチスの政策への疑問と葛藤から、幾人ものユダヤ人の命を救った人である。

作品は、その点についての描写が不足したように思う。

 

さらに、終戦後に助けてくれた恩人を探す主人公の描写は、いささか冷たく感じられる。それも、戦中と戦後で敵味方の立場がどれだけ大きく変わってしまうか描くことで、戦争の無情さを表現するための演出だと思う。
 

戦後、収容所送りになった件のナチス将校だが、幾人ものユダヤ人を救ったことを訴えたものの、助かりたいがための嘘だと思われてしまったという。
 

この作品には、賛否両論が存在するが、一つだけ云えるのは、「音楽は平和にこそ存在できる」ではないだろうか。

見逃した人には激しくおススメ。。