太宰治研究ノート---「人間失格」幸福への懐疑「人間失格」幸福への懐疑 『弱虫は、幸福をさえ怖れるものです。 綿で怪我をするんです。幸福に傷つけられることもある』 ---太宰治 主人公「葉蔵」が、カフェの店員と関係を持ったときの言葉だ。 「人間失格」には、彼の疎外感や劣等感が投影されている。 彼は、他人との距離を測りきれないのだ。 相手にどう思われているのか気にしすぎる。 やっかいな性癖だ。さぞ生きにくかったことだろう。 「閉塞感」に悩んでいたオウム真理教の心臓外科医「林郁夫無期囚」は、 太宰治を読んだことは無かったのだろうか。