アスリートの言葉「星野仙一」の場合
現役時代の星野仙一
現役を退いてから最も輝きを放った”闘将”「星野仙一」の語録を紹介する。
厳しさなくして、選手の育成はできない。それは信念でもあった。
中日監督時代の担当記者が驚いた逸話がある。
それは、当時の中村武志捕手であった。
星野仙一は、中日監督就任時に、解雇寸前だった中村の強肩に目をつけ、徹底的に鍛え上げるようコーチに命じるのだ。
捕手は重労働であることなどお構いなしに、試合直前まで近距離からノックの雨を降らせ、ユニホームはいつも泥だらけだった。
見かねた担当記者が監督に「やりすぎでは?」と言った。すると、返ってきたのは「下手くそが練習するのは当たり前だろうが!」の怒声だったという。
捕逸などのミスをすれば、翌日にはノックの数も倍増したという。それでも中村は試合で使われ続けたのだ。
最初のうちは、粗削りのリードとキャッチングに不安を漏らしていた投手陣も「あれだけ毎日しごかれても我慢している」と一目置き、エース捕手として認めるようになっていった。
中村武志は、「自分が活躍できたのは、星野さんのおかげ」と、そう語っているという。
『厳しさ7割、優しさ3割。これが本当の愛情だと思う』
--故・星野仙一
