夢百夜。
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第四夜。~恐竜~

街に恐竜が現れて、大暴れしているらしい。

ゴジラみたいな大きなものから、犬くらいの小さなものまで

ジュラシックパークの脱走シーンのように街を荒らしていると。

隣町では既に被害が出ていて、近所に来るのも時間の問題だそうだ。

 

私は子供で、自分の家で他の子供2人と一緒にいる。

「餌を置いたら、恐竜来るかな?」

誰ともなくそう言い出し、餌を準備する。

冷蔵庫を探して見つけたシラス干しと鰹節を、お菓子の四角い空き缶に盛って

大きな窓に面した居間のテーブルの真ん中に置く。

 

「恐竜ホントに来るかな?」

「ホントに来たら、怖いねぇ。」

「押し入れに隠れて、隙間から見れば大丈夫だよ!」

 

居間の押し入れに3人でごそごそ上がり、引き戸を3センチほど開けて

じっと部屋の様子をうかがう。

大きな窓からは光が差し込んで、テーブルの上の鰹節を柔らかく照らしている。

 

 

やがて、恐竜たちが近づいて来た。

電柱をなぎ倒し、建物を破壊し、逃げ惑う人々を踏み潰しながら。

平穏な生活が一瞬で地獄に変わるなかで、この部屋、この押し入れだけは安全。

3人とも、固唾をのんでテーブルの上を見つめている。

 

ガシャン!と音が響いて、割れた窓ガラスから鱗に覆われた何かが伸びてきた。

黒く光る鱗と、爪なのか歯なのか、白く光る尖った何か。

エサの入った缶を引き倒し、そのまま窓ガラスから出ていった。

あとには、ふわふわと舞う鰹節ばかり。

 

やがて恐竜たちは去り、街は再び静かになる。

割れた窓ガラスの向こうに広がる、破壊しつくされて跡形もない町。

人の様子も見えない。きっとみんな殺されてしまっただろう。

この街の中で、この部屋だけが平穏を保っている。

 

ドン、ドン・・・静かな部屋の中に、突然、ノックの音が響く。

誰かが玄関のドアを叩いているようだ。

「・・・お母さんかな?」

誰かが暗い押入れの中で呟く。

でも、自分たち以外に生きている人がいないことは、なんとなく気付いている。

「・・・開けちゃだめだよ!」

別の誰かが強くそう言って、全員、狭い押入れの中で息を殺す。

 

恐竜?亡霊? わからないけれど、開けたら自分たちも殺される。

ドン、ドン・・・外の誰かは、のんびりとノックを続けている。

第三夜。~悪霊に遭遇~

小高い丘の上に佇む、小さいけれど現代的で新しい講堂で授業を受けている。

同級生Yが不意に立ち上がり、父親が急死したので帰らなければならない、という。
とてもショックを受けている様子なので、丘の麓まで送ることにする。

登山道のような、丸太の段の下り道を行きながら、
茫然自失のYにこっちまで悲しくなって
麓で二人してわんわん泣いた。

見送って、姿が見えなくなったのと入れ違いに
向こうから奇妙な二人組がやってきた。
髪に白い花を飾ったフラダンサーの女性達。
何かに憑かれたように踊りながら、奇声をあげてこちらに向かってくる。
剥き出した目はまるで焦点が定まっていない。
衣装の青だけが鮮やかにひらひらしている。

一緒に見送りに来ていたKが血相を変えた。
見つかってはいけない、と言って茂みの陰に飛びこんだ。

が、彼らは既にこちらに気付いていて、相変わらず狂ったように踊りながら
どんどんどんどん追ってくる。

山道をKと一緒に逃げながら、講堂に逃げ込めば助かるのでは
ないか、と考えている。

丘の上にたどり着き、ガラス張りの扉を押して建物に転がり込む。
講堂では何もなかったかのように授業が続いている。

ガラス

第二夜。 ~怪事件~

ここ十日ほどの間に、家に怪文書が届いている。

すっかり黄ばんだ、古びた紙に、黒インクで英文がずらずら書いてあるものだ。

1日おきくらいに届くその文書は、時には1枚で、時には数ページの小冊子で
いつのまにか、ポストに入れられている。


似たような文書は、これまでに何度か、よその家にも届いたことがあった。

1日おきに古びた文書が7通ほど届いたあと、
届いた家の住人は全員行方不明、もしくは惨殺死体で発見されているのだった。


父親はここ数日会社にもいかず、血相を変えてなんとか助かる方法を探している。
どうやら、文書には暗号が隠されていて、その暗号を解読すれば
一連の事件の犯人を明かし、助かることができるらしい。

毎日家に帰ると、父親と母親、それに近所に住む主婦の人が3人で文書を囲んで
ああでもないこうでもない、と頭を悩ませているのだった。

この主婦の人は、両親の知り合いらしく、歳の割にはきれいでできぱきした人だ。
うちのことを心配して、毎日来てくれている。


いよいよ6通目の文書が届き、タイムリミットが迫ってきたある日、
家に帰ると3人が興奮した様子で大声で話している。
聞くと、ついに暗号の意味がわかったらしい。
解読したのは主婦の人で、その暗号に従えば

「2日後に隣町の森に行けばいい」

のだそうだ。

森に行けば何があるのかは教えてもらえなかったが、
父親はひどく張り切って、「もう大丈夫だ」を繰り返している。

2日後は、主婦の人も一緒に来てくれる、と話がまとまって
帰ろうとした彼女と玄関で目があったとき、

(・・・この人が犯人だ。)

と、私は直感した。

2日後、この人と森に行ったら確実に殺される。


両親はすっかり彼女のことを信頼している。
今更何を言っても、相手にしてもらえないだろう。


翌朝、海岸沿いの道を仕事にいくためとぼとぼ歩いていると、
ワゴンが横に停まり、「駅まで送るよ!」と。
見ると、例の主婦と、もう一人近所のおばさんだった。

ぎょっとしつつ、断るのも不自然なので乗せてもらい
駅の前で降ろしてもらう際、また主婦と目があった。


もしかしたら、私が犯人を知ってることを勘付かれたかもしれない。

急がないと。


会社の机に、数日前に先輩がくれたメイクセットの試供品が入っている。
あれがあれば助かる。

なぜかそう確信して、会社に着くなり机の中を捜す。
書類が埋もれていて、なかなか見つからない。

しばらく、仕事そっちのけで捜す。

見つからない。

机の中じゃないのだろうか。
1階のロッカーに置いたのかもしれない。

エレベーターで1階に降りたら
エントランスの方に彼女らしき人影がちらりと見えた。

彼女に見つからないように、柱の陰に隠れながらロッカールームを目指す。



早く、はやく。