ラグビー記者によるラグビーワールドカップイングランド大会コラム ① | eAMATRAVELのブログ

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日本ラグビー協会は6月29日にW杯に向けた日本代表3次候補39選手を発表しました。

ライターの勝田成紀氏が、ワールドカップに臨む日本代表の意気込みをエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチとリーチ・マイケル主将に取材してきました!!

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ラグビーW杯イングランド大会の開幕まで、6月30日で「あと80日」となった。

6月29日、エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)がW杯日本代表第3次候補選手39人を発表した。W杯で史上初の「8強進出」を目標に掲げる日本代表「エディー・ジャパン」は、7月6日から宮崎市で合宿を再開する。




世界最高峰リーグ・スーパーラグビーでプレーしていた6選手も、この合宿からいよいよ代表に合流する。冬のスポーツのラグビーにとってはいささか暑過ぎる南国・宮崎で、W杯最終登録メンバー「31人枠」をかけた熱いポジション争いが繰り広げられる。

「世界でベストのチームに対しても、必ず勝つチャンスはある」。エディーHCは、W杯でも1次リーグ初戦の南アフリカ戦(9月19日、ブライトン)を最大のターゲットに定めている。南アは、W杯で2度の優勝(1995年、2007年)を誇る世界ランク2位(日本は13位)の強豪だ。しかも、第2戦のスコットランド戦(9月23日、グロスター)までは中3日しかない。

1次リーグ突破(2位以内)を見据えた戦略的観点に立てば、南ア戦で主力を温存してスコットランド戦に注力する作戦も考えられる。実際、2007、2011年のW杯で日本代表を率いたジョン・カーワンHCは、過密日程を考慮して「主力組」と「控え組」の2チームを編成。2007年のオーストラリア戦、2011年のニュージーランド戦では「主力組」を温存して「控え組」で臨んだ。

しかし2003年W杯でオーストラリア代表監督として準優勝、2007年には南アフリカ代表のテクニカルアドバイザーとして世界一に輝いた世界的名将のエディーHCは、「全試合ベストメンバーで戦う」と断言している。
その真意は、こうだ。「南ア戦を最も重視するのは、ファーストゲームだからです。世界2位(南アフリカ)に戦えれば、9(サモア)、10(スコットランド)、16位(米国)のチームにもいい戦いができるはず。日本は過去に世界のトップ3チームといい戦いをしたことがない。我々は今回初めてそれが出来るチームになりたい」。より勝機が見込めるサモア、米国との対戦にフォーカスすべきと「2チーム制」を推す外野の声も「言いたい人には言わせておけばいい」と一蹴した。

ただエディーHC本人も、南ア戦での勝利については「現状だとクレイジーだと思われても仕方ないと思う」と認めている。残り80日で、奇跡を起こす準備を進めていかなければならない。

指揮官の頭の中には、ゲームプランが明確に描かれている。「南ア戦で覚悟しないといけないのはフィジカル面。そこでしっかり戦えなければ勝負にはならない。まだまだ改善が必要だ。そして賢いラグビーをしないといけない。南アのディフェンスにスペースを見つけてアタックする。そこを相手がカバーし始めたら、他のスペースを見つける。例え南アでも、穴はあるのです。そしてセットピース(スクラム、ラインアウト)で有効なボールを獲得しないといけない。シンプルです」。もちろん「シンプル」だからこそ、難しい。スポーツでも、芸術でも、それが世の真理だ。

エディーHCは毎年のオフ期間に、世界中のサッカーの名門クラブを視察している。昨年末に「世界で最高のコーチ」と評価するバイエルン・ミュンヘンのジョゼップ・グアルディオラ監督と会談。「彼のチームは世界のトッププレーヤーがそろっている。しかし彼は『世界で最も有効な戦術を与えることはできるが、肝心なのはそれを選手たちがどれだけ全力でやるかだ』と話していた。我々も同じだ。最高の戦術があったとしても、23人が体を張る覚悟がないと、我々のゲームはできない」との確信を得たという。

 南アは6月27日、代表候補36人とリハビリ組13人を発表した。フランカーのスカルク・バーガー(サントリー)、SOのエルトン・ヤンチース(NTTコム)、センターのJP・ピーターセン(パナソニック)ら、日本のトップリーグで活躍する選手も多数選出された。

メンバーのリストに目を通したエディーHCは「W杯の先発メンバーとなるはずの、8番(NO8)のデュアン・フェルミューレン、9番(SH)のフーリー・デュプレア、12番(センター)のヤン・サーフォンテイン、13番(センター)のジャック・フーリー、全員がけがをしている。だからW杯では何が起こるか分かりません」と不敵に笑った。顔には「勝算あり」と書かれていた…ように見えた。
 
頼れる主将も、「エディー・ジャパン」に戻ってくる。
スーパーラグビーの強豪チーフス(ニュージーランド)でレギュラーとして活躍した日本代表NO8のリーチ・マイケル主将が、メンバー発表当日の6月29日に帰国した。26歳ながら当地で新人王に選出されたリーチは、スーパーラグビーでの経験を「テクニックも重要だが、一番大事なのは『勝ちたい』と気持ちを高めることだと分かった。日本代表での練習が、スーパーラグビーでもプラスになった。チーフスでも日本代表がどんな練習をやっているのかをよく聞かれた」と語った。




チーフスでは「強いチームだけど、ルーズなところも多い。ミーティング中にご飯を食べている選手もいた」そうだが、エディー・ジャパンではそうはいかない。しばしの休息を経て7月13日に合宿に合流するリーチは「日本代表の練習はかなりきついと聞いている。選手たちのW杯に対しての気持ちがどの辺にあるのかが気になるし、どのくらい伸びているかも知りたい」と打ち明けた。札幌山の手高、東海大でラグビーを学び、日本国籍も取得した「メード・イン・ジャパン」の主将からは、頼もしい言葉も飛び出した。「スーパーラグビーで南アや豪州の代表選手と戦って、W杯でも戦える自信がついた。南アが相手でも怖くない」

すべては南アに勝つために。世界を知る名将・エディーHCと闘将・リーチ主将を先頭に、日本ラグビーの歴史を塗り替えるための戦いに挑む。


(文・勝田成紀=1972年、滋賀県生まれ。東京外大卒。1998年、報知新聞社入社。2010年からスポーツ報知のラグビー担当となり、2011年W杯などを取材)


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担当:松本