私はこれまで中古PCばかり見てきた。 そのため、NPUという言葉を知ったのは2025年12月になってからだった。

 最近の新品PCには 「AI PC」「Copilot+ PC」「NPU搭載」といった言葉が並ぶ。

 そこで今回は、NPUは本当に必要なのか、それとも不要なのかを、 個人ユーザーの視点で整理してみる。

1. ムーアの法則から現在まで(要点整理)

1965年:ムーアの法則

  • トランジスタ数は約2年で2倍
  • 微細化とクロック向上が性能向上の原動力

→ 1965〜2010年ごろまで有効

2010年ごろ:クロック競争の終焉

  • 発熱・消費電力が限界
  • 高クロック路線が終了

→ CPU単独で速くする時代が終わる

2015年:GPUの再評価

  • 深層学習ブーム
  • GPUがAI計算に適していると判明

→ CPU+GPUの分業が定着

2020年:SoC・3D化

  • 微細化コストが限界
  • SoCやチップレット、3D化が進む

→ 「速くする」より「組み合わせる」発想へ転換

2023年:NPUの明確化

  • AMD Ryzen AI
  • Intel Core Ultra
  • WindowsがAI PCを定義

→ AI計算の専用化(NPU)が明確に

2024年:省電力AIが現実に

  • OSレベルでNPU活用

→ 性能より「性能÷電力」が重要に


補足①:SoCとは何か

※SoC(System on a Chip)とは、CPUやGPUなどの主要機能を1つのチップに統合した設計のこと。

2020年のApple M1登場により、SoC設計は一般的なPCにも広く認知された。
なおSoCはApple独自の技術ではなく、AMD、Intel、Qualcommなども採用しており、現在ではPC・スマホ・ゲーム機の主流となっている。

補足②:3D化とは何か

※3D化とは、横にまとめる(SoC)だけでなく、回路やメモリを縦に積み重ねる設計のこと。
横(SoC)+縦(3D)により、部品間の距離が短くなり、微細化に頼らず性能や省電力を向上できる。


2. NPUは「必須条件」なのか?

NPUは「次世代PCの目玉」と語られがちだが、現実の作業を見てみると――

  • 動画編集 → GPUが主役
  • 画像生成 → GPUが主役
  • 文章作成 → AI(ChatGPT等)で十分
  • 事務作業 → CPUで足りる

では、NPUはどこで使うのか?


3. NPUは「速くする」ための回路ではない

重要な前提として、NPUはPCを速くするための回路ではない

NPUが得意なのは、

  • ノイズ除去
  • 字幕生成
  • 顔認証
  • 背景ぼかし

といった軽いAI処理を、常に、省電力で回すこと
重い処理の主役は今もGPUのまま。つまりNPUは、裏方専門の省エネ回路だ。


4. NPUが向く/向かない用途

NPUが向く用途(裏方・ビジネス系)

用途 NPU
Web会議のノイズ除去
自動字幕・文字起こし
背景ぼかし・人物認識
顔認証・セキュリティ
省エネ・静音

→ 常時動く軽い処理が中心

NPUが向かない用途(制作・主役系)

用途 主役
動画編集 GPU
画像生成 GPU
ゲーム GPU
文章作成 AI(ChatGPT・Gemini・Claude・Copilot)

→ 一時的に重い処理はNPUの出番なし


5. NPU判断表

判断ポイント YES NO
動画編集・動画制作をする 不要寄り 必要度↑
文章・資料中心 NPU出番なし
省エネ・静音・発熱を重視 必要度↑ 不要寄り
ノートPCがメイン 必要度↑ 不要寄り
Web会議が多い 必要 不要
デスクトップPC中心 不要 不要

文章作成が中心ならNPUの出番はない。
省エネ・常時AI処理を重視する場合にのみ意味を持つ。


6. CPU・GPU・NPUの役割比較(重要)

回路 主な役割 得意な処理 動き方
CPU PC全体の制御 事務作業・判断処理 常に動作
GPU 重い計算の主役 動画編集・画像生成・AI計算 必要なとき全力
NPU AI処理の裏方 ノイズ除去・字幕・顔認証 必要なとき静かに

7. 結論

NPUは、すべての人に必要な新技術ではない。

  • 動画編集や画像生成が中心なら → GPUで十分
  • デスクトップPC中心なら → NPUは不要
  • ノートPCで長時間使い、静音・省エネ・Web会議を重視するなら → NPUは価値がある

NPUは「性能を上げるための回路」ではなく、PCを静かに、長く、快適に使うための回路だ。


ムーアの法則は2025年現在、 物理的・経済的な理由から、事実上終わりを迎えている。
それでも「計算能力を伸ばし続ける」という思想は失われていない。 形を変え、3D構造やAI最適化として今も続いている。

 

 

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