交趾菊蟹香合

 

十六代永楽善五郎(即全)造 交趾菊蟹香合

 

形物香合相撲番付表

安政2年(1855)に出版され、

染付85種、交趾64種、青磁29種、祥瑞19種、呉須16種、宋胡禄2種の計215種の

唐物の香合が選出され東西に分けられています。

 

東前頭三枚目に序列されています。

黄弁の輪花合子形で、甲の平らな部分に蟹が浮彫されたもの。

番付頭註に「惣黄」とあり、総黄釉のものを最上とするが、伝存は確認できない。

『茶道筌蹄』に「同菊蟹 外もへぎ蟹横にて浮もやう」とあり、

多くは惣青(萌黄)地に蟹が白檀のものが多い。

蟹の足の形に二・三種あり、型が一つでないとされる。

 

交趾(こうち)は明清代にかけて燒かれた軟陶質の三彩や 黄・緑・紫釉陶などの総称として現在のベトナム北部を通商した商船 (交趾船)からその名が付いたといわれ、産地は中国福建省南部の民窯といい、香薬品の容器として渡来したものが、香合として茶人に珍重されたといいます。

 

西関脇 呉洲菊蟹

東前頭七枚目 交趾小判蟹

その他 牛、鹿、福の字など数多くある。

 

菊黄蟹肥

「中国では昔から『菊黄蟹肥(きくおうかいひ)』-菊の花が咲いて、蟹(上海蟹)が肥るという言葉がある。旧暦の八月には北京の菊が花ざかりになる。そして、雌蟹の腹は蟹黄(シエホアン)でいっぱいだ。食道楽にはこたえられない蟹の卵である」とあります。

『蟹の脚が痒くなる季節 : 中国グルメ紀行』(西園寺公一/著 講談社 1981.7)p.89

下記参考

中華レストランで「菊黄蟹肥」という言葉を見たことがある。この言葉の意味について知りたい。

 

 

「華」は、長寿を意味する菊であり、「甲」は蟹の甲羅を連想することができる。

還暦は60歳のお祝いのことを指していますが、

同じように77歳は喜寿、88歳は米寿と言い換えることができます。
これと同様に、茶道では還暦のことは「華甲」(かこう)と表現するのです。

 

「華」という字をひとつひとつ分解していくと、6つの十とひとつの一から成り立ってることに気づきます。
昔は還暦も数え年で祝うことが一般的であったため、61を表す華という文字を還暦に置き換えたのだといわれているのです。
また「甲」の字は十干十二支の一番最初である甲子(きのえね)を指しており、

華甲は還暦を表す言葉として茶道で広く使われるようになったのです。