香合の季節

炉(11月〜4月)の時期には、陶磁器の香合を使います。
粉末状の香木を蜂蜜などと練って固形状にした
「練香」を入れます。

風炉(5月〜10月)の時期は、漆器など木製の香合を使い、
白檀や沈香を1cm四方程度に割り入れた
香木 伽羅(きゃら)、沈香(じんこう)、白檀(びゃくだん)を入れておきます。

風炉・炉の兼用
蛤(はまぐり)などの貝類、金属製を使用

品により、時により、炉風炉の決まりを替えることもある。
塗り物を炉に、焼物を風炉に使うこともある。

貝、金属の香合は、炉・風炉兼用。
貝の内側に金箔を押してあるものは、炉では椿の葉を小さく両端を切って、その上に練香をのせる。

 金箔が貼ってあるので、椿の葉を両端切って、練香2個とりきりにいれます。
 お香を次ぎ終わると、椿の葉は、炭斗に入れます。

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表千家では、
鳥や動物の香合は、顔の向きが正面向きとなる。
鳥の香合で、顔(クチバシ)がお尻を向いていたら、お尻が正面となる。

二枚貝(蛤など)の香合は、綴じ目(蝶ツガイ部分)が向うになる。口の方が正面になる。


香合の使い方
香合の中には香を3個入れておきます。

炭手前の際に、炭や他の道具と共に炭斗に入れて持ち出します。

炭手前をして、炭を炉や風炉にくべた後に香合から2つの香を入れます。

一つは炭の近くに、一つは少し離れたところに入れるようにしましょう。

香に火が点くタイミングに差ができる為、
長時間香を楽しめます。

香をくべた後は、残り1個を残したまま、拝見に出します。

尚、炭手前を行わない茶会では、
香合は床の間に飾っておきます。

床を拝見した時に、香合が飾ってあれば、
「今日は炭手前は省略します」というメッセージだということです。

現在、香川県では、香合を待合に置きます。

香合の歴史
炉の炭手前で灰器に濡灰を盛って使うようになると練香が使われるようになり、
練香を塗物香合に入れると毀損の恐れがあるところから焼物香合が用いられ、
『茶道筌蹄』に「黄瀬戸 根太、利休所持、一翁宗守伝来、今出羽侯にあり」とあり、
天正年間から黄瀬戸が使用され、志野、織部は慶長・元和の頃、
同じ頃に次第に備前、信楽、伊賀、唐津などが焼かれるようになる。

練香を使うようになったから陶製香合を使うようになったのであって、
本来は「香木」が一年を通して使われていたということですね。
炭点前(一般には炭手前)が確立し、濡灰を使うようになったことから、
練香を使うようになり、徐々にさまざまな今焼が使われるようになった……ということのようです。

 香合が陶製であるのは

①安価で大量生産ができる「型物」である
②木製・塗物では高額になりすぎる

 ということがあるようです。

 しかし、風炉には香木ですので、本来であれば陶製香合は使いません。
風炉に香木というのは、夏は炭の匂いが立つため、爽やかな香木の薫によって、場を清める意味があり、
冬は炭の匂いが立たない(炉は床下に切られているため)、
柔らかな練香の香によって場を温める意味があります。
香木は基本的に白檀を使います。
伽羅、沈香を用いる場合もありますが、
油分が多い沈香は釜を痛めやすい
(特に時代物の釜の場合は使わない。現代の釜は洋鉄でつくられたものが多いので、気にしない場合もある)
ので避けます。
 練香も油分の多いものは避けるべきです。