「長い人は9連休という人もいらっしゃるようです」と、テレビ番組のアシスタントが満面の笑みで伝える盆休み。
今年は直前に報じられた台風予報と南海トラフ地震臨時情報の影響か、帰省や旅行を中止した方も結構いたようです。


そのためか日頃買い物に行くショッピングモールが無類の混雑ぶり。
レジ待ちの行列は言うにおよばず、駐車場ではファミリー客のミニバンが駐車枠に車両を収めるのに手こずっていたり、買い物を終えて愛車に戻れば店舗から遠い空きの多いエリアに止めたにもかかわらず「トナラー」がいるし。
シフト勤務のジブンが数少ない貴重な休みの日に外出したのに…、とやり場のない不満を募らせるのでした。


さて、そんな忌まわしき盆休みの影響か、いつもより2週間遅くリリースされたTLVニューモデルのレビューです。それでは参りましょう。


今回紹介するのは
LV-N238c 日産ローレル ツインカム24V メダリスト 1989年式 (緑)
LV-N259b 日産ローレル メダリスト 1991年式 (紺)
LV-N270b 日産スカイライン 2000GT 1974年式 (白)
LV-N315a 日産スカイライン 2000GT パトロールカー 警視庁 1976年式
LV-N316a,b 日産GT-R プレミアムエディションT-Spec 2024モデル (ミレニアムジェイド)(ミッドナイトパープル)
LV-N 日本車の時代18 マツダRX-8 スピリットR 2012年式 (銀)
LV-N フェラーリ328GTB (後期型) (黒)
LV-N フェラーリ328GTS (後期型) (黄)
の9品です。

 

 



今月のリリースはすべて乗用車。新旧洋邦の別なくモデル化してくれるTLVは、まさにトミカコレクションの楽しさを継承しているようです。

 

 


ひとつめはローレル。
ローレル最後の、そして日本車最後のセンターピラーレス4ドアハードトップだった6代目C33型。ライバルのマークⅡ/チェイサー/クレスタほどの爆発的人気は得られなかったものの、セドリック/グロリアのフォーマルさとは方向性の異なる高級感はそこそこの支持を受けました。

新車当時はミニカー化に恵まれなかった車種ですが、近年になって前期型ツインカム24VターボメダリストクラブLとツインカム24VターボメダリストクラブS、後期型2500ツインカム24VメダリストVと教習車仕様がTLV化されたのは記憶に新しいところです。

 


今回は前期型ツインカム24V メダリストと後期型メダリストが追加されました。モデルとしては、前期型は既出のツインカム24VターボメダリストクラブL、後期型は2500ツインカム24VメダリストVに、ユーザー取り付けパーツのリアスポイラーを装着しない状態のカラーバリエーションになります。

 

 


ジブンも一時所有していたC33型ローレル。没個性とも受け取られそうなほどシンプル&クリーンなスタイリングが気に入っていました。

 

 


カラーリングは、前期型がダークグリーンメタリックのボディにブラウンの内装、後期型がダークブルーパールのボディにグレーの内装です。
このうちダークグリーンメタリックはイメージカラーだったこともあり、見かける頻度が高いカラーでした。
一方ダークブルーパールは見かけることはあまりなく、どちらかと言うとレアカラーの部類かも知れません。


現在では用意されるボディカラーが白、黒、シルバーの3色だけという車種も珍しくないようです。
ダークグリーンという異色なボディカラーが筆頭にされていたことに加え、白一辺倒のホワイトシンドロームを打破したこともC33型ローレルの目立たない功績なのでしょう。


ふたつめはスカイラインです。
若いカップルをキャラクターに起用し、デートカーのイメージを確立した4代目C110型スカイライン。カップル二人の名前からケンメリと呼ばれることなどは、今さら記す必要がないほど有名なエピソードです。
実車にラインナップされた2ドアハードトップ、4ドアセダン、ワゴン/バンの中から、既にTLV化されているのは4ドアセダンとワゴン/バンで、定番中の定番である2ドアハードトップがないところにTLVらしさがうかがえます。
今回は4ドアセダンのバリエーション展開で、前期型2000GTと後期型パトロールカー仕様がリリースされました。

 

 



他ブランドであれば見逃されそうな点までディテールにこだわったC110型スカイライン。コアな実車ファンも思わずサムズアップすること確定です。

 

 


過去品からの変更点ですが、前期型2000GTは既出の前期型2000GT-Xと同一ディテール。後期型パトロールカー仕様は「西部警察」シリーズのものに似ているものの、カバー無しスチールホイール、4気筒車用のフロントグリルとハンドルといった、パトロールカー独自のディテールが再現されています。


カラーリングは2000GTが白ボディに黒内装で、2000GT-Xでは茶色に彩色されていたハンドルが黒のままです。この彩色の有無で、GT-XのウッドステアリングとGTの革巻きステアリングを作り分けています。
パトロールカー仕様は白黒ツートーンボディに黒内装で、センターピラー部がボディカラーの白になっている、パトロールカーグレードならではのポイントをしっかり押さえています。


以前「西部警察」のC110型スカイラインパトロールカーがリリースされた際、過去品のワゴン/バンのフロントグリルを流用してメーカー仕様のパトロールカーが出たら...、と書きましたが、まさかそれが現実になるとは驚きでありジブンの予測力を讃えたくもあります。


みっつめはGT-Rです。
R35という型式が示す通り、旧来のスカイラインGT-Rを昇華させた車種。2005年のデビュー以来、度重なるブラッシュアップを受けて現在に至っています。
TLVも実車の仕様変更にあわせて数多くのモデルが出ていますが、この度最新型の2024モデルがリリースされました。




実車は生産終了がアナウンスされたGT-R。TLVでは相変わらず意欲的なバリエーションが展開されていて人気の衰退が見られないのが嬉しいです。

 

 

 

今回のモデルはプレミアムエディションT-Specで、バンパーやホイールなどが新しく作られています。
これは純正状態を地道に再現するTLVだからこそ可能なバリエーション展開で、アフターパーツを装着した姿をモデル化すると年式もなにも関係なくなってしまいますよね。


ボディカラーはミレニアムジェイドと呼ばれる淡い緑がかった金色と濃い紫色のミッドナイトパープルの2種類。両モデルとも内装はグレーのシートを備えた黒です。


モデルサイクルの長い車種を年式やグレードを変えて作り分けてくれるのは、コレクター目線ではとても嬉しくありがたいことでしょう。
ただしマイナーチェンジ車を新金型で作り、ボディのプレスラインなどの表現が旧モデルと異なってしまったミニカーも見受けられます。


これでは、実車のマイナーチェンジによる変更点なのかミニカーの金型を起こす際の造形の差なのか判断がつかず、興醒めの要因にもなりかねません。
その点において、TLVに見られる「ほとんど同じじゃん」な製品化姿勢には好感度3割り増しです。


よっつめはRX-8。
サバンナをルーツとするスポーツクーペの最終モデルであると同時に、唯一残ったロータリーエンジン搭載車でもありました。
1/64スケールホビーミニカーのRX-8は既出のモデルが複数あり、TLVは後期型を取り上げることで差別化を図っています。タイプは2012年式の特別仕様車スピリットR です。

 

 


数多い1/64スケールホビーミニカーのRX-8の中で、後期型はTLVが唯一の存在になります。さすが後発の強みを活かしたモデル化と言えますよね。

 

 

 

完全新規に作られたボディは、RX-7とはまったく異なる4シーターのフォルムをしっかり捉えています。まあ、実車がずんぐりしたスタイリングなので、多少プロポーションが破綻しても気にならないとも言えますが…。
そして過去品のコスモスポーツと787Bに続いて、ボンネットを開いてエンジンを見ることができるアクションが盛り込まれています。
これについては、長年にわたって市販車にロータリーエンジンを採用したマツダに対する、TLV企画者諸氏の敬意の表れなのでしょう。


カラーリングは、アルミニウムシルバーボディに赤く彩色された黒内装の組み合わせです。
このスピリットRは同一名称でありながら、マニュアル車とオートマチック車で装備に違いがありました。
TLVは、ブロンズ塗装の19インチアルミホイールと赤と黒の内装といったディテールから、マニュアル車をモデル化していることになります。


ちなみにオートマチック車のスピリットRは、ガンメタ塗装の18インチアルミホイール、黒単色に赤いステッチが入ったシートで識別が可能です。
こういった些細な相違点を混同することなく再現しているのは、TLVの本領発揮であり他ブランドには望めない点であると断言できます。


最後はフェラーリです。
ランボルギーニと人気を二分するフェラーリですが、TLVのラインナップ上においてはランボルギーニ車のほうが少数派。
その新旧の車種が顔を揃えるTLVのフェラーリ群にカラーバリエーションモデルが加わりました。
リリースされたのは328GTB/GTSで、今回はどちらも後期型です。

 

 


今回は後期型でリリースされた328GTB/GTS。前期後期の作り分けは、他社モデルには望めないTLVの特権ともいえるポイントでしょう。

 

 


前期型も後期型も既出のモデルなので、変更されたのはカラーリングのみとなりディテールの変更点はありません。
カラーリングは328GTBが黒ボディにライトブラウン内装、328GTSが黄色ボディに黒内装です。


TLVのフェラーリというと赤、白、黒、黄がメインで、青が時折見られるのが慣例になっている印象が強い気がします。
実車に倣った結果だとは思いますが、たまには毛色の変わったカラーリングが欲しいところです。
かといって、あまりに奇抜過ぎる架空のカラーリングやトイミニカーをモチーフにした玩具色の濃いモデルは困りモノという葛藤が…。


だいぶ前のことになりますが「トミカリミテッドヴィンテージ大全 2024」というムックを購入しました。
同種の書物はTLV誕生以来5年ごとに刊行されていて、その5年間にリリースされた全TLVが掲載されているのがありがたいです。


ただしモデルの分類が実車軸の車種別になっていて、品番順ではないのがどうしたものかというところ。
TLVにはレギュラートミカのような年ごとのカタログが発行されておらず、さらには特別シリーズなどの仕様変えモデルをどの通常品のバリエーションとみなすのかなど、コレクター間で整理上の共通認識を設けても良い時期なのかも知れません。


かつてのレギュラートミカ界隈で言うところの中島登氏や森山義明氏に相当する、バリエーション分類のリーダーがいてくれれば、と切に願っている次第です。
「他人に要求するくらいなら自分で生み出せば?」との声もあると思います。
本音を言えば、品番順TLVオールモデルリスト作りたいんです。作りたいんですけどね…。
このレビューを書くにも四苦八苦しているほどのIT音痴なジブンでして…。


では今回はこの辺で…。