先日ネットニュースで、ジュネーブモーターショーが来年以降の開催をしないとの報道を見ました。
デトロイト、パリ、東京と肩を並べるモーターショーが開催されなくなるとは、自動車離れが日本だけの風潮ではないことを今一度実感させられます。


東京モーターショー改めジャパンモビリティショーも、非開催の今年、関係者のみを対象にしたショーを催すとか。
いよいよ自動車の存在がユーザーの意識から消え、モーターショーも業界内だけで主義主張を交わす場になってしまったと思うと残念至極です。


東京モーターショーも回を重ねるにつれて、素人の理解が追いつかないレベルの最新技術の公開に傾注し、直感で「カッコいい」「出たら欲しい」と感じる出品車が激減した気がしました。
まあ、四半世紀ショーに足を運んでいないジブンが言えた義理ではないでしょうけど。
そんなアンバイでTLVニューモデルレビューの後編です。


後編で紹介するのは
LV-N245h いすゞエルガ (神奈川中央交通)
LV-N313a 日産シルビア K's TypeS 1994年式 (白)
LV-N313b 日産シルビア Q's TypeS 1994年式 (青緑)
LV-N ランボルギーニカウンタック LP400 (赤)
の4品です。

 

 



知ってはいても頭の片隅に追いやられていそうな車種たち。そして同時にそれは好きな者にとってはあれこれ語りたくなるであろう車種でもあります。

 

 


ひとつめはエルガ。
相変わらず膨大なバリエーションの猛威をふるっているエルガ/ブルーリボンに、新たな仕様が追加されました。
今回は東京や神奈川エリアを走る神奈川中央交通で、レギュラートミカでは度々見かける仕様です。

 

 



バスメーカー、車体製造メーカーともに縮小した現在、路線バスといえばこの形一択になりつつあります。ミニカー化に好都合だとも考えられますが…。

 

 


前後丸型ベンチレーター、リアナンバープレート中央、ラックなし内装に、少数派の右側給油口というディテールになっています。
ボディカラーは黄色地に橙色と赤のストライプを配したものです。


レギュラートミカの同型エルガでは、川崎鶴見臨港バス、相鉄バス、江ノ電バスといった、TLVでは出ていない神奈川県内の事業者仕様があります。
神奈川県外の事業者だと京都市交通局、宇和島自動車、奈良交通など西日本エリアのものも数多く、いずれこの辺りの仕様もTLV化されれば楽しみ倍増です。
すっかり1万円超のプライスへの抵抗が薄らいでしまったジブンがコワイ…。


ふたつめはシルビアです。
セミハンドメイドの初代CSP311型と大人気だった5代目S13型の陰に隠れて目立たない存在の6代目S14型シルビアですが、敢えてこの世代をTLV化してくれたのはありがたいです。
モデル化されたのは前期型のK's TypeSとQ's TypeSの2種類。

 

 



S13型と異なりS14型はモノトーンのボディカラーのみの設定でした。これは優雅さより走りを強調してボディの大型化を幻惑させたかったのでしょうか。

 

 


先代のS13型をさらに丸み帯びた、優雅なデザインにしたボディラインが的確に再現されています。言うまでもなく、#Z2#型ソアラとか#E11#型カローラレビンに見間違えることはありません。
優しい目付きのヘッドライトと適度に張り出したバンパーが織り成す顔立ちも誇張し過ぎることなく、かといって抑制し過ぎることもなく、そのさじ加減が絶妙です。何と言ってもミニカーは(実車もですが)顔が命ですから。
またグレードによってホイールのデザインを変えているのも、いつものTLVのやり方を踏襲している点と言えます。

ボディカラーはK's TypeSがホワイトパール、Q's TypeSがブルーイッシュグリーンで内装は両車とも黒。
女性的なボディデザインと男性的な内装色の融合が見事です。


S14型シルビアがデビューした頃の日本車は、先代のキープコンセプトを謳ったフルモデルチェンジが多く見られました。
そのためミニカーでは、新型をモデル化する際に旧型とボディタイプを変えたり、新型をモデル化せず旧型を継続生産するといったことも多かったものです。
そんな中、BD型ファミリアの金型を改修して次代のBF型にしたレギュラートミカの例がありますが、丸味が足りない中途半端なプロポーションでしたね。


ラストはカウンタック。
数あるタイプの中でもスポイラーやオーバーフェンダーが付かないLP400は、シリーズ中で最も美しいカウンタックと言えるかも知れません。
いくつもカラーバリエーションが出ているLP400に、ニューカラーが登場しました。

 

 



定番中の定番である赤ボディのカウンタックLP400。実車ファンもミニカーファンも少なからず何かしら思うところがあると言ってよさそうな仕様です。

 

 


今回のカラーリングは赤ボディに黒内装の組み合わせです。
雑誌などに掲載される実車写真で多いのは赤ですし、レギュラートミカF37番の初版も赤と、ある意味定番とも言えるカラーでしょう。


もう40年以上も前の話です。ジブンが通っていた中学校の文化祭では、学年ごとにテーマを設定し各クラスでそれに沿った創作を披露する、というのが定例でした。
1年生の時の学年テーマは「世界の国々」で、イタリアを担当したクラスではダンボルギーニカウンタックと銘打って、実車の半分くらいの大きさのダンボール製カウンタックを製作していましたっけ。


一方わがクラスはオランダ担当で、紙細工のチューリップや教室の天井に届くくらいの大きな風車を作りました。
その頃のオランダには名の知れた車種はなく、三菱カリスマがデビューしたのもずっと後のこと。
なのでしかたないこととはいえ、やはり自動車好きのジブンとしてはイタリア担当のクラスが羨ましかったですね。


昭和末期から21世紀初頭にかけてはホビーミニカーがまだ未成熟な時期で、特に小スケールモデルと言えばトイミニカーしかありませんでした。
そのトイミニカーにおいては玩具色が次第に濃くなり、さらに新製品の発売頻度が低下するなど、コレクターにとってはミニカー暗黒期だったと言えます。
実車で人気がありながらモデル化されなかった車種も多く、家庭用ゲーム機の浸透に伴ってミニカーは絶滅してしまうのではないかと危惧したものです。


そんな中で、大人の鑑賞に耐え得るディテールを幼い頃に慣れ親しんだサイズ(言うまでもなくトミカ)に融合させた製品がコナミと京商からリリースされ、後を追ってTLVが出たあたりから風向きが変わって来ました。


今では過去の空白を埋めるように1/64スケール初登場もしくは初ミニカー化の車種も増え、玩具的な派手さとは別の意味で華やかなコレクションが構築できるようになったのではないかと思います。
さらにブランドごとに、ノーマル車主体、カスタムカー主体、レースカー主体など、得意分野の棲み分けも明確になって来ており、あらゆるコレクターの嗜好に幅広く応じられるほどの充実ぶりです。


車種選定、ディテールで一線を画して来た我らがTLVも、今ではどんどん後発ブランドに距離を縮められています。
営業的には「間違いない」のでしょうが、フェラーリ、シビック、GT-Rといったメジャーどころが顔を連ねている現状は、他ブランドとの差別化を考えると疑問と不安を禁じ得ません。
何はともあれ苦言を呈しながらも、ジブンは今後もTLVを追いかけて行きますよ。


では今回はこの辺で…。