TLVと戯れているうちに月日は流れ去り、気が付けば2024年です。
今年は新年を迎えた直後、能登半島の地震、羽田空港での事故、福岡の飲食店街火災と大きな災害がたて続けに起き、三が日を平常心で過ごす心境にはなれませんでした。


昨年は会社で転倒したりクリスマス前に寝込んだりしたので、今年は病気やケガをせず平穏に過ごせるようにと思っていましたが、被害に遭った方のことを考えるとそんな暢気なことを言うのも憚られますよね。
それでは2024年のTLVニューモデルレビュー、初回から前後編に分けてお送りします。


前編で紹介するのは
LV-206a トヨペットクラウン カスタム 1966年式 (緑)
LV-207a トヨペットマスターライン 消防救急車 尼崎消防局 (1966年式)
LV-N285b いすゞエルフ パネルバン (サカイ引越センター)
LV-N305a ニスモ400R (黄)
LV-N ニスモ400R 松田次生仕様 (銀)
の5品です。

 

 



それぞれまったく異なるキャラクターを持つ車種が顔を揃えたTLVニューモデルたち。しかも特定のジャンルに偏らず、どのモデルも実車に忠実です。

 

 


ではクラウン/マスターラインから。
クラウンの4ナンバー版である#S4#型マスターライン。往年のミニカーを思い出させるかのようなバンタイプが、しかも初のミニカー化であろう後期型がTLV化されたのは昨年でした。
今回は新仕様として5ナンバーのクラウンカスタムと、マスターラインの救急車仕様が追加されました。

 

 



オジサンコレクター的には、チェリカフェニックスPHE27番とダイヤペット151番を思い起こさせる、TLVのクラウンカスタム/マスターライン救急車。

 

 


1966年式ということで、カスタムには新規に作ったクラウンデラックス用のフロントグリル、救急車にはカースナップ同梱のマスターラインのフロントグリルを装着して、過去品の1967年式とは表情が僅かに変わっています。
内装はカスタムについては実車通りに変更されているものの、救急車はノーマルのマスターラインのままで特装部分の再現はされていません。


カラーリングは、カスタムが抹茶のような渋めの緑ボディに明るい緑の内装。救急車は白ボディに「尼崎消防局 消防救急車」の文字が入り、内装は黒です。


実車では本格的な救急車のFS45V型トヨタ救急車とともに、MS46VB型トヨペット救急車という普及型救急車がありました。
通常のマスターラインのルーフを嵩上げしたスタイルが特徴で、こちらをTLV化してくれれば、とも思います。

 

 



室内高を稼ぐためハイルーフ化されたMS46VB型トヨペット救急車。カタログ上の車名には、クラウンもマスターラインも付されていません。

 


まあ今回のモデルもパッケージに写真がある通り、尼崎市に実在した個体を再現しているのでウソではありませんがね。
ぜひ過去品のFS45V型トヨタ救急車およびトミカショップ限定の#S5#型クラウン救急車と並べてみたいものです。


カスタムもカースナップ同梱品の青い1966年式マスターライン、通常品の赤い1967年式マスターラインと3種類を揃えて悦に入るのがコレクターの好ましい姿でしょう。


次はエルフです。
前回、ハトのマークの引越センターカラーで出たエルフパネルバンに色違いが出ました。
今回はかわいらしいパンダのキャラクターでお馴染みのサカイ引越センター仕様。街で見かけることの多い事業者です。

 

 



街角で家財を積み降ろししている姿が容易に浮かぶサカイ引越センターのエルフ。「サカイ、安い、仕事きっちり」のCMを覚えている人もいるのでは?

 

 


ディテールの変更はほとんどなく、フロントバンパーパーツがフォグランプ付きのものになっている程度。過去品のいすゞエルフ/日産アトラスでも見られた作り分けです。


ボディカラーはキャビン部が白に黄色のストライプ、荷箱部が銀に黄色のストライプで、会社名とパンダのマークが入っています。
内装は黒で、この点はハトのマークの引越センター仕様と変わりはありません。


日本人は無類のパンダ好きのようで、世界的にもそう認識されているようです。
ジブンも例外ではなく、このブログのアイコンに使っているのは、サカイ引越センターのパンダだったりします。
そのキュートで柔和なイメージと裏腹に、サカイでの社内の不祥事が取沙汰されたりしたのはいとも残念なところですよね。


ラストは400R。
R33型スカイラインGT-Rをベースに、ニスモがチューニングを施したコンプリートバージョン。外内装、エンジン、足まわりなど多岐にわたり手を加えられ、そのスペックとともに1200万円という車両価格も異次元のものでした。
TLV初のR33型2ドアにこのような標準車ではないタイプを持って来るのは、さすがと言わざるを得ません。

 

 



スカイラインのようでスカイラインでない。GT-RのようでGT-Rでない。それは何かと尋ねたら…、正確に答えられる人はどれくらいいるのでしょうか。

 

 


過去に4ドアセダンのGT-R、オーテックバージョンがTLV化されましたが、そちらとは共通点がまったくない完全新規モデルです。
4ドア/2ドアの差だけでなく、ボンネット、フェンダー、バンパーなど400R独特のディテールが多いため、標準車の2ドアGT-Rへの発展流用さえも考えられていない設計には恐れ入ります。


カラーリングは、通常品で黄色のボディに白のストライプのものと松田次生氏の所有車仕様で銀のボディに黒のストライプのものの2種類。双方とも内装は黒です。
松田次生仕様ではリアウィンドウ下端に貼られたステッカーや実車のナンバープレート(の一部)まで再現されていて驚かされますが、イグニッションモデルの1/18スケールモデルでナンバープレートのすべての文字が記されていること、TLVのシーマ伊藤かずえ仕様では登録番号ではなく「NISSAN」のデコレーションプレート付きだったことから、なんともアンバランスさを感じます。



ニスモ400Rはレギュラートミカのアイアイアドカンパニー特注品がありましたが、これはノーマル仕様のGT-Rにタンポ印刷を活用してそれらしく仕上げた雰囲気モデルでした。
そして近年の1/64スケールホビーミニカーでは、イノモデル、カーネル、ポーカルホライゾン、イグニッションモデルなどなど、実車の生産台数99台とは反対に多くのモデルが出ています。


海外ブランドモデルの中には商品名を「日産スカイラインGT-R ニスモ400R」としているものもあり、海外ではスカイラインGT-Rとニスモ400Rの差が曖昧であることを感じます。
「わかってないな。そうじゃないんだよ」などと呟きながら、各社モデルの作風を味わうのもこれまた楽しといったところです。


車種の違いを明確に捉えたクラウン/マスターライン。フォグランプの有無を作り分けたエルフ。専用の金型で特徴的なディテールを再現したニスモ400R。
ミニカーが玩具の域を出なかった時代では「○○のつもり」などと脳内変換が必須だったポイントを、今ではメーカー自身が手を加えモデルに反映させています。


そのようなTLVの製品企画と実車の実用最優先傾向が相まって、近年はレギュラートミカをはじめとするトイミニカーにすっかり魅力が見出せなくなってしまったジブンなのです。
20代の頃に旺盛だった無ければ作ればイイというカスタマイズ精神も、50代の老眼ズにとっては1/64スケールは苦行に等しいですしね。
では今回はこの辺で…。