11月も半ばです。
今年は2年に一度の東京モーターショーが開催されました。一昨年はCOVID-19の影響で非開催だったので実に4年振りです。
今回からジャパンモビリティショーと名称が改められ、自動車単体だけでなくそれを利用する人、運輸物流、テクノロジー、環境など、関連するさまざまな分野に対して車社会のあり方を訴求するとの触れ込みでしたが…。


う~ん、それって自動車単体にはユーザーが寄せるような魅力がないと、ショーの主催者自らが公言してしまったに等しいように思います。
時代の変化なのでしょうけど、自己表現やステイタスの具現化という要素をマイカーに求めた昭和男子には、いかんとも受け入れられ難い現実です。
それではTLVニューモデルのレビューです。


今回紹介するのは
LV-194b ダットサントラック (北米仕様) (緑)
LV-195d ダットサントラック 1300スタンダード (フィギュア付) (薄茶)
LV-N262b ホンダシティ カブリオレ 1984年式 (白)
LV-N301a 日産スカイライン 4ドアHT GTパサージュ ツインカム24V 1987年式 (白)
LV-N301b 日産スカイライン 4ドアHT GTS ツインカム24V 年式 (黒/銀)
LV-N302a ホンダバラードスポーツCR-X MUGEN CR-X PRO (前期型) (白)
LV-N303a ホンダバラードスポーツCR-X MUGEN CR-X PRO (後期型) (銀)
LV フェラーリ365GTB4 北米仕様 (後期型) (黄)
LV フェラーリ365GTS4 北米仕様 (後期型) (黄)
ジオコレ64 #カースナップ11b テレビクルー2
の10品です。

 

 



今月のニューモデル全般に共通するのは、パッと見では気付きにくく分かる人にはツボなバリエーション。相変わらず斜め上を行くTLVです。

 

 


はじめはダットサンからです。
1965年にデビューした520型の後期型で、実車は海外で510(日本名ブルーバード)や240Z(日本名フェアレディZ)と並びダットサンの名前を強固なものにしました。

 


またレギュラートミカのダットサントラックも香港で作られた初期モデルの稀少性が語り継がれており、実車ミニカーともにその存在感は絶大です。
そんなエピソードにあやかるように、TLVでは北米仕様と国内仕様の2種類がリリースされています。そして今回はその両仕様に新たなバリエーションモデルが出ました。

 

 



昭和の常磐線の電車のようなボディカラーが個人的に気に入ったダットラ。リアマッドガードの有無、テールランプの形状違いなどの作り分けもマルです。

 

 


今回のモデルは、北米仕様がディテールに変更のないカラーバリエーション品、国内仕様がホイールを北米仕様に付いていたものに変えるなどしてスタンダードグレードにしてあります。


カラーリングは北米仕様はエメラルドグリーンっぽいソリッドの緑ボディに黒の内装で白のベッドシェル付き。前回の赤ボディでは目立たなかった、タンポ印刷で表現した北米基準の前後マーカーランプが鮮明です。
国内仕様は純正色の薄茶ボディに赤内装という組み合わせで、サイドモールとリアのDeLuxeエンブレムがオミットされています。


ジブンの記憶の中の520型ダットサントラックというと、近所の表具店で使っていた実車とともにレギュラートミカを買えなかったことを思い出します。


今思うと、欲しくてたまらなかった頃はトミカのダットサントラックは香港製で流通量が少なくて買えず、日本製に移行して市場在庫が潤沢になった頃にはジブンの入手欲が失くなっていたのでしょう。
後にダットラ熱が再発し玩具店を訪れた時には、トミカ42番はニッサンディーゼルジェットパックに代替わりした後でした。


結局コレクションを始めてから絶版価格で購入した、小田急特注品の黄色ボディがジブンの初ダットラとなりました。
ただ当初の思い出補正が働いたのかせっかくの特注品でありながら、入手できた満足感は得られませんでしたね。


ふたつめはシティです。
「シティはニュースにあふれてる」のコピーに違わず、標準車はもとよりマンハッタンルーフ、ターボ、ターボⅡ、そしてカブリオレと、追加車種が出るたびに話題になった初代シティ。
昨年出たTLVのカブリオレにニューカラーが登場です。今回も通常品とカースナップの2シリーズで展開されました。

 

 



安全上の理由からオープンモデルの量産化は事実上ムリという、運輸省の不文律を打破したシティカブリオレ。明らかにTLV化に相応しい存在と言えます

 

 


今回のモデルは通常品が白、カースナップ同梱品が黄色のボディカラーを纏っています。ディテール違いはなく、カースナップ同梱品の運転席にドライバーが乗っている点も過去品と同一です。


また車両本体ではありませんが、カースナップシリーズに含まれるフィギュアや小物類のうちリポーターとカメラマンのポーズ、カメラの三脚の有無に過去品のテレビクルー1と違いが見られます。
従来はバリエーション展開をする場合は、フィギュアなどもカラーリングを変えるのがせいぜいだったので、このような新しい試みは情景の作成に幅が広がること確実です。


みっつめはスカイライン。
7thスカイラインこと7代目のR31型です。既出である通常品の前期型と「あぶない刑事」シリーズの後期型に続いて、通常品で後期型がリリースされました。
タイプはGTパサージュツインカム24VとGTSツインカム24V。ラグジュアリーグレードとスポーツグレードの両方が取り上げられるのは、TLVではもはや定番のやり方です。

 

 



今でもイイなと思う白い後期型4ドアHT。部品難やら盗難やら格段に旧車所有のハードルは上がっているので、その思いはTLVに託すことにしましょうか。

 


後期型ということで、全体的には「あぶない刑事」シリーズのモデルと同一のディテールになり、わずかにフロントスポイラーが装着されたのが相違点と言えます。もちろん警光灯は付いていません。
GTパサージュとGTSの作り分けはエンブレムのみに留まり、モデルとしてはまったく同じものの色違いです。


内装パーツも前期型のように形状違いにはしておらず、GTパサージュにもGTSと同じタイプのものが付けられています。

これは実車のGTパサージュで、ルースクッションシートがメーカーオプションになったことを表しているワケです。

 


ボディカラーはGTパサージュが白、GTSが黒とシルバーのツートーンで、両車ともにセンター部分がグレーのシートを付けた黒の内装が組み合わせられています。


ボディが大きく立派になったことが不評で、次のR32型では寸法が切り詰められたといわれる7thスカイライン。
カローラやシビックさえも3ナンバー車になった現在では考えられないエピソードですよね。


そしてCR-Xです。
基本コンポーネンツをシビックと共用しながら、FRP製ボディパネルや2+2の割り切ったシート配置の採用でスポーツ性を高めたライトウェイトスポーツ車。
既に前期型と後期型がTLV化されていますが、無限プロデュースのコンプリートカーであるMUGEN PROが登場しました。
しかも1.5iグレードをベースにした前期型と1.6リッターのSiがベースの後期型の2タイプ展開です。

 

 



知る人ぞ知るポイント。ルーフベンチレーションを再現したタンポ印刷が前期型のみであることから、後期型で廃止されたことを窺い知ることができます。

 

 


ノーマル仕様が既出なので全体的にはそれに準じた作りになっているものの、ブリスターフェンダーやロングノーズなどPRO特有のディテールを再現するために、ボディは完全新規に作っています。


ボディカラーは前期型が白、後期型がシルバーで、どちらも黒の内装です。


新車当時はメーカー系列のコンプリートカーが珍しかったためか、タミヤ製の1/24プラモデルでもノーマル仕様とMUGEN PROの双方がモデル化されていました。
それだけ注目度の高い存在だったということなのでしょうけど、ジブンの中で印象的なCR-Xは改造車系雑誌に大々的に取り上げられたヴィンミューレでしたね。

 

 



CR-Xベースのカスタムカー、ヴィンミューレ。改造車イコール邪悪という偏ったイメージを持っていたジブンでさえ知っていたメジャーな存在でした。

 

 


概略を記すと、ヴィンミューレはマッドハウスというショップが製作したカスタムカーで、エンジンをミッドシップに搭載したもの。
外観はフェラーリデイトナに似たフロントエンドと低められたルーフを持つなど、空力までも考えられていました。


後にフロントエンドをメインとしたボディキットが市販されましたが、ノーマル車のルーフ高とのアンバランスさが際立ってしまったのが惜しかったです。


ラストはフェラーリ。
デイトナと通称される365で、クーペタイプのベルリネッタ(GTB4)とオープンタイプのスパイダー(GTS4)のバリエーションモデルのリリースです。
ヴィンミューレに触れた後に紹介するのはいささか因縁めいたものを感じますが、今回のモデルはヴィンミューレがモチーフにしたであろうフロントエンドを持つ前期型ではなく、リトラクタブルヘッドライトの後期型になります。

 

 



メーカーサイトの新製品告知でも触れられていなかった北米仕様。確かに灯火類のカラーリングが北米基準になっていて、ジブン的には嬉しい誤算です。

 

 


ディテール変更はGTB4のホイールがワイヤータイプに変わっている程度。

また今回はパッケージに北米仕様と銘打っているとおり、フロントマーカーがオレンジ色一色になりボディ後端に赤色のサイドマーカーがタンポ印刷で入れられているのが、本国仕様であろう過去品との違いです。

 

 

カラーリングはGTB4、GTS4ともに黄色のボディに黒の内装で、GTS4のみシートのセンター部が赤く彩色されています。
この手のボディカラーは、アルテッツァやランサーエボリューションというようなスポーツセダン以外の量産セダンのミニカーだとおもちゃっぽく映ってしまいがちですが、そんなミスマッチを感じさせないのはさすがフェラーリです。


冒頭のモビリティショーの件とも重複してしまいますが、現在の価値観では自動車を興味の対象として捉えることは到底望めず、実車に興味が湧かなければミニカーコレクションも活性化しないのではないかと危惧しています。


特にコレクションの醍醐味でもある「入手困難なアイテムを手に入れる手段をあれこれ模索する」「見映えのするコレクションを作り上げるにはある程度の年月の継続を要する」などの要素が自らを苦悩に晒すとイメージされ、時代にそぐわなくなっているのでしょう。
そして書物や音楽などのネット配信がもてはやされていることからも、3次元の物体を所有することが充足の方法ではなくなっていることもコレクション衰退の明らかな要因です。


現在のところジブンは、購入費用(と収納場所)が捻出できる限りはミニカーコレクションを続いて行こうと思っています。
以前に1/64スケール以外のミニカーの大半、四半世紀以上集めて来た実車カタログ、年に数回しか乗らないセカンドカーを譲渡売却して身軽になったこともあるので、まあひとつぐらい趣味があってもイイんじゃないかと思う次第です。


では今回はこの辺で…。