3月に入って暖かい日が増えて来ました。まだ昼夜の寒暖差が大きいこともありますが、着実に春はすぐそこに迫っているようです。


2月のことになりますが、漫画家の松本零士さんと声優の貴家堂子さんの訃報を耳にしました。馴れ親しんだ方がひとりまたひとりと旅立って行くのは、さみしいだけではなく時の流れを実感せずにはいられません。


松本零士さんの作品は小学生の頃のジブンには、男の子の成長とか有限の生命の意味といったテーマが重すぎて、ちょっと馴染めなかった記憶があります。そんな中で「銀河鉄道999」だけは実在の鉄道車両をモチーフにしたことで興味を持ち、原作、テレビアニメ、映画のいずれも見ましたっけ。


貴家堂子さんについては、やはりイメージは「サザエさん」のフグ田タラオですね。現在のタラちゃんは原作に見られるワンパク振りが陰を潜めていて、実に屈託がなく子供らしいというか、イマドキの3歳児よりもスレていないというか…。
ではTLVニューモデルのレビューです。


今回紹介するのは
LV-N145b 日野HH341 トラクタヘッド (黒)
LV-N245b いすゞエルガ (東京都交通局)
LV-N267b,c マツダRX-7 Type RS 1999年式 (銀)(黒)
LV-N278a 日産セドリックシーマ タイプⅡリミテッド 1988年式 (グレイッシュブルー)
LV-N ランボルギーニカウンタック 25thアニバーサリー (白)
LV-N日本車の時代17 日産セドリックシーマ タイプⅡリミテッド 1990年式 伊藤かずえ仕様 (白)
の7品です。

 

 



今月もいろいろなジャンルから、多彩な車種がリリースされました。中でもシーマは入荷後すぐに品切れになったショップが多いようです。

 

 


それでは日野HHから。
1970年代の日野製大型トラクタの代表車種であるHH/HE。そのうち2デフ3軸車がHHです。
TLVの過去品では、トラクタのみの製品と重機運搬トレーラがありますが、今回はトラクタ単品のバリエーション展開になります。

 

 



黒、赤、シルバーの彩色がアクセントになって、ディテールのメリハリが明確になったHHトラクタ。トラクタ単体でも存在感が絶大です。

 

 


全体のディテールは過去品とほとんど変わらず、フロントバンパーにオーバーライダーが付いた程度です。
これはHE型の海上コンテナ用車種のみのディテールで、わかる人にはわかるひそかなポイントになっています。


ボディカラーはキャビンが黒、シャーシが赤で、シルバーのサイドバンパーとメッキのフロントバンパーとホイールカバーがアクセント。
どこかで見覚えがあると思ったら、現存するHE型トラクタのカラーリングにそっくりでした。恐らくこの個体をモチーフにしたのでしょう。


従来のミニカーの常識として、トラクタとトレーラは必ずセットになっていました。
そして組み合わされたトレーラが、バンタイプかカートランスポーターか、またはタンクローリーかによって人気に差が出たものです。言い換えれば、トラクタ単体では製品力が見込めなかったということ。
それが7000円近くのミニカーで企画されたトラクタのみのTLVは、常識を打破した驚きとクオリティに対する自信を感じます。


続いてエルガです。
毎回書いている通り、数多くのバリエーションが出ているエルガ/ブルーリボン。特に今回リリースのTLVは、以前買ったものを間違って再購入してしまったかのようなモデルです。
そんなニューモデルは東京都交通局仕様のエルガ。過去品の再生産品ではなく、まったくの新仕様なのは言うまでもありません。
今回リリースされたモデルは、LEDヘッドライトのタイプで、前後角型ベンチレーター、左側給油口、リアナンバープレート右側、ラックあり内装の都営バス独特のディテールです。

 

 

 

ぱっと見には過去品と見間違えそうなエルガ。昭和の頃の玩具店のように外箱から取り出してディスプレイされていたら、その可能性はさらに大です。

 

 


ボディカラーは過去品と同じアイボリーに黄緑と黄色を配した都営バスカラーですが、ルーフ上に社章と社番が入っている点が過去品と異なっています。

これは近年納入された車両のデザインで、さらに小変更後のタイプのエルガであることから、TLVのラインナップ上でも別製品になったようです。


納入年度によって異なるマーキングを持つ同一事業者の車両をわざわざモデル化するTLVには、いい意味での粘着性がうかがえコレクターの満足感も否定できません。
他にTLVで手掛けられていないバリエーションといえば、近年各事業者で多く見受けられる復刻塗装ですかね。
こんな古のカラーを纏ったモデルもぜひ見てみたいものです。


次はRX-7。
初期型から最終型まであらゆる仕様がリリースされたTLVのFD3S型RX-7。年式によるディテールの違いや4シーター/2シーターの作り分けなど、タイプごとの特徴を明確に再現した秀作でした。
今回は1999年式のTypeRSということで、過去品のカラーバリエーションモデルになります。

 

 



新車当時は「国産スポーツカーがなぜ3ナンバーサイズに?」と思いましたが、今日的感覚ではそれほど大きく感じないのは不思議です。

 

 


ディテールの違いはなく、カラーリングが変更されただけです。
ボディカラーはシルバーメタリックとソリッドの黒の2種類で、いずれも黒の内装が組み合わされています。


過去品ではさまざまな年式やグレードが出ていて、ボディカラーもバラエティに富んでいます。
実車においても、白いマークⅡとか赤いファミリアのように特定のカラーに人気が一極集中することがなかったようで、いろいろなボディカラーをまんべんなく見かけたものです。
そのためか、どのカラーのTLVも違和感なく記憶に浸透して行くように感じます。


続いてシーマです。
セドリック/グロリアの派生車種として、ワンランク上級に仕立てられたのがシーマ。特に1988年にデビューした初代Y31型は、バブル期の高級車ブームの火付け役にもなったほどの圧倒的な人気車でした。
そのY31型シーマがこの度TLV化となりました。前期型と後期型が同時リリースされ、グレードは両モデルとも最上級のタイプⅡリミテッドです。
ちなみに、販売店別にセドリックシーマとグロリアシーマがありましたが、両モデルともセドリックシーマです。

 

 



500万円超の価格で売り出され、好景気の象徴とした「シーマ現象」の語源にもなった初代シーマ。今見ても流麗なスタイルが魅力的に映ります。

 


まず完全新規に作られたボディは、長く広くふくよかなボディラインがリアルに再現されています。
フロントグリルを前期型用と後期型用の2種類を用意して、それぞれの年式をリリースするのはTLVお得意のやり方です。
内装も過去品のセドリック/グロリアのものを流用することなく、独自デザインのダッシュボードともども新しく誂えられています。


カラーリングは通常品の前期型が実車のイメージカラーでもあったグレイシュブルー(実車カタログの表記では「ッ」は入らない)のボディにグレーの内装、日本車の時代シリーズの後期型がホワイトパールのボディにブラウンの内装。両モデルとも実車通りの組み合わせです。


実車のヒットとは裏腹に小スケールのY31型シーマというと、これまでレギュラートミカしかありませんでした。
ところが唯一の存在ではあったものの、シーマの持つ伸びやかなプロポーションに欠けていてズングリ体型だったことが残念でなりません。
それを思うとやっと小スケールで、納得の行くプロポーションを持つY31型シーマに出会え感慨ひとしおです。

 

 



手前はレギュラートミカのY31型シーマ。こちらは実車離れしたずんぐりしたスタイルで、プレセアに見間違えそうなのが残念です。

 

 


しかも日本車の時代シリーズの後期型については、新車から乗り続け先ごろ日産自動車でフルレストアされたことが話題になった、女優の伊藤かずえさんが所有する個体を題材にしているなど着眼点がユニークです。
さすがにナンバープレートに現車の登録番号は入っていませんけどね。


ラストはカウンタック。
キングオブスーパーカーであると同時にランボルギーニの代表車種のカウンタック。そのラストモデルの25thアニバーサリーで、過去品のカラーバリエーションモデルになります。

 

 

 

なぜか最初期のLP400と再末期の25thアニバーサリーをモデル化したTLV。スーパーカー少年垂涎の的だったLP500Sなどのモデル化も期待しちゃいます。

 

 

 

今回はボディを白のパールに改めており、左右ドアとエンジンフードの開閉アクション、ディテールなどの変更はありません。


過去品とあわせて紅白の2色が揃ったわけですが、ジブンとしては赤と白のカウンタックというと、映画「キャノンボール2」を思い出してしまいます。制作年的に25thアニバーサリーではありませんが…。
美女二人が乗る白いカウンタックがパトカーに追われて工事現場へ。そこで作業員が撒く水を浴びたカウンタックは白の塗装が流れ落ち赤に大変身。追跡中のパトカーを翻弄する。といった内容でしたね。


相変わらず衰えを見せないTLVですが、その製品企画にはしばしば驚かされます。
完全新規モデル、バリエーションモデルを問わず、思わず「そうきたか~」と声を上げてしまうのも日常茶飯事です。


特に今回のシーマのような昭和末期から平成初頭の車種については、おもちゃのニーズが家庭用ゲーム機へ移行しつつある時期だったためか、その多くが当時ミニカーに恵まれませんでした。
実車では評価が高かったトヨタセラや三菱ディアマンテ、フォードフェスティバなど、ミニカー化されてもよさそうでありながら、完全にスルーされていました。


厳密に言えば、セラは特撮作品「特救指令 ソルブレイン」の劇中車が、フェスティバはノックダウン生産車の起亜プライドがモデル化されているものの、どちらもトイの域を出ないものでしたしね。


現在のレギュラートミカでも親しみのある車種が早々に絶版になり、日頃見かけることも稀であろう海外製スポーツカーが増えています。
そんな中で、思いもよらない車種やレアな仕様がリリースされることが多いのは、TLVの大きな特徴であり楽しみでもあることに異論はなさそうです。


では今回はこの辺で…。