前回の冒頭でお話しした思春期男子の心理ですが、もう一点思いついたのでお話しします。
それは、周りの多くの友人が玩具店に入ることに躊躇いを抱き始めたことです。これも半ズボン離れと同じ時期でした。


ただしこの件についてジブンは、クラスメイトの「まだミニカーで遊んでるの~?」などという嘲笑を含んだ言葉に動じることなく、おもちゃではなくコレクションアイテムとして買っているんだと信念を持って反論していました。
さすがにプラレールを手に取るのは抵抗がありましたがね。
ではTLVニューモデルのレビュー後編です。


後編で紹介するのは
LV-N269a,b ホンダS2000 1999年式 (銀) (白)
LV-N270a 日産スカイライン 2000GT-X 1972年式 (銀)
LV-N ランボルギーニカウンタック LP400 (緑)
荻窪魂Vol.9 日産スカイライン 2000GT-X 1972年式 (緑)
の5品です。

 

 



ここで取り上げるモデルたちは偶然にも、各実車メーカーが一徹なポリシーを持って世に送り出した車種ばかりです。

 

 


ではS2000から。
FF車が多いホンダ車の中では異色のFRオープンスポーツモデル。車名の通り1960年代に人気を博したS500/600/800のエッセンスを昇華させ、2リッターエンジンを搭載して1999年にデビューしました。
TLVでは初登場のモデルで完全新規に作られています。モデル化されたのは1999年式で、最も初期のタイプです。

 

 



ホビージャパンやMINI‐GTなどに追従する形になってしまったものの、秀逸なポロポーションとボンネット開閉アクションを両立させたTLVのS2000。

 

 


全体的には、くさびを思わせる前傾スタイルに程よくグラマラスさを加えたボディラインが、破綻することなく仕上げられています。
あまり平面的なデフォルメを施すと、1997年の東京モーターショーに出品されたホンダSSMに見えかねませんからね。
フロントウィンドウは一体成型した透明パーツに、窓枠部分を着色で表現するいつもの手法です。
またオープンタイプ、クローズドタイプの2種類の幌パーツが付属する点も、徐々に定着して来ているように思います。
そしてそして…。ボンネットの開閉アクションが盛り込まれ、鎮座しているエンジンが拝めるのも特記したくなるポイントです。


カラーリングはシルバーメタリックのボディに黒の内装のものと、白ボディに黒/赤内装のものの2種類。
実車がバリエーションを持たないモノグレード体制だったので、TLVでもカラーバリエーションにとどまっています。


新車当時はそれほどヒットしたとは言えなかったS2000ですが、一方でトミカでは実に多くがリリースされています。
レギュラートミカ、トミカJr.、カプセルトミカ、トミカプレミアム、そして今回のTLVと、何らかのシリーズを立ち上げると必ずS2000がラインナップされるという優遇振りです。
今後はTLVの常套手段でバリエーションモデルもリリースされるでしょうから、仕様やカラーリングの違いを楽しむことができそうです。


続いてスカイラインです。
ミニカーやプラモデルの定番中の定番であると言っても過言ではないスカイライン。
似たり寄ったりのモデルが乱発されていてお腹いっぱいと言いたいところですが、「お腹いっぱいでもこれは別腹」なTLVがリリースされました。
そのTLVとは、ケンメリこと4代目C110型スカイラインの4ドアセダン、前期型の2000GT-Xです。

 

 



GTカーとファミリーセダンの双方のエッセンスが共存するケンメリセダン。タイヤ幅や車高といったバランスがその実車の印象をしっかり捉えています。

 

 


2ドアハードトップのミニカーを見慣れている目で見ると、リアウィンドウとトランクがそれぞれのラインをはっきり描いているのと同時にボンネットが妙に長く感じてしまいます。
思わずこんなカタチだったっけ?とジブンの記憶を疑うところですが、これこそC110型スカイライン4ドアセダンのスタイリングに相違ありません。
他にも4灯同径テールランプも4ドアセダン固有のディテールで、個人的に外側より内側の灯体が小さい2ドアハードトップよりカッコイイと思っています。
ボディカラーは通常品がシルバーメタリック、荻窪魂のものがダークグリーンメタリックと、どちらも当時見かけることの多かったカラーです。


ジブンが幼稚園に通っていた頃、同じクラスのけんいち君の家でグリーンメタリックのスカイラインセダンに乗っていました。GT-XなのかGTなのかは覚えていませんが、角型テールランプの4気筒車ではなかったのは確かです。
けんいち君と一緒に今はなき朝霞テックに連れて行ってもらい帰りにとんかつをご馳走になったのと、車内にあった芳香剤(←クルマにポピー~でした)の香りがよみがえってきましたよ。


最後はカウンタック。
スーパーカーブームにどっぷり浸っていた小学生にとってはオーバーフェンダーとリアスポイラーが装着されたLP500Sの陰に隠れていたLP400ですが、TLVでは3色目のカラーバリエーションです。

 

 



TLVのLP400は今回のモデルで3色目のカラーバリエーション。ミウラのように仕様違いのリリースに走らないのは何か理由があるのでしょうか。

 

 


今回のボディカラーは量産試作車を連想させる緑色。内装は過去品と同じブラウンです。思わず当時のスーパーカーカードを思い出しちゃいますね。カラーリング以外の仕様変更はありません。
一般的なミニカーの傾向では、見た目が派手なLP400SやLP500Sなどをモデル化しがちです。
ところがそこはやはりTLVの美学(?)で、プレーンなLP400に重点を置くあたりに独自性とこだわりを感じます。


テレビ番組「対決!スーパーカークイズ」だったでしょうか。LP400だったかLP500だったかは今となっては不明ですが、自慢のシザースドアを左右とも開けたカウンタックが3台並んで微速で進むシーンがありました。
スーパーカーに憧れのないジブンは、ドアを開けたまま走って何が楽しいの?と発言してクラスメイトの総スカンを食らいましたね。


最近のTLVは他社がすでに手掛けている車種の二番煎じ、いや後追いのモデルが多いように映ります。
もちろん後発の強みを活かして一級品に仕上がっているわけですが、たくさんのミニカーが並んだコレクションの中では埋没してしまうのもまた事実です。


そんななか海外ブランドモデルで、#P8#型スターレット、#E10#型カローラセダン、さらには三菱ランサーEXやスズキスイフト(カルタス)が登場して、これこそTLVで出る車種だったのではないかと思ったりします。
コレクターは無責任にこんなことを言いますが、シェアの狭いホビーミニカーを大手メーカーがリリースするには、やはり利潤が望めることが当然の条件ですものね。
では今回はこの辺で…。