手慣れたバリエーション展開と、新しい手法を盛り込んだ珠玉の企画。それぞれの満足度はいかに…。
11月と言えばジブンの誕生月ともうひとつ、今年はジャパンモビリティショーの開催年です。東京モーターショーから名称が変わって2回目の開催となったジャパンモビリティショー。「いくっしょ、モビショー!」のコピーを掲げ来場者を誘致していましたが、ジブンは行かずじまいでした。近年の実車に関心が薄いことに加え、自動車に限定せずモビリティ全体を対象にしたショーとの触れ込みに魅力を感じないというのが理由になります。ショーに求めるものが主催者と来場者で大きく乖離しているように感じる、と言えばいいでしょうか。ショーとしては自動車メーカーだけでなくあらゆる業界が総力を挙げて最先端の「技術」をアピールしたいのだと思うのですが、ジブンは最先端技術を具現化させた「自動車」を見たいんですよね。参考出品車の斬新なデザインに惹き付けられ、先進のハイテク技術に感服し、市販化の可否を仲間と談義する。そんなモーターショーが懐かしいです。冒頭から愚痴になってしまいましたが、TLVニューモデルレビューの後編、はじまりはじまり~。後編で紹介するのはLV-N329b,c ホンダアクティトラック タウン (黒)(銀)LV-N343b 三菱ふそうキャンター 清掃車 (白) フィギュア付LV-N353a,b 日産スカイライン 2ドアスポーツクーペ 25GTターボ オプションパーツ付 2000年式 (銀)(青)LV-N フェラーリF40 1989年式 (赤)の6品です。農道のフェラーリことアクティとホンモノのフェラーリが同時発売なのは偶然だったのでしょうか。公言しない密かな演出なのかと妄想したくなります。最初はアクティ。現在は消滅してしまったホンダの軽トラックで、最終世代になる4代目HA8型です。今年1月に末期の特別仕様車のタウンスピリットカラースタイルと荷台の形状を変えたバイク店仕様がTLV化されましたが、今回はタウンのごくオーソドックスな標準車が追加されました。乗用車のみならず軽トラックのモデルにも細かい年式の差を明確にするTLV。軽トラックもTLVも日本が世界に誇れる存在であることは明らかです。ディテール的にはスピリットカラースタイルと大きな変更はなく、純正カバー付きのホイールになった程度です。また興味深いのが、LV-N329cのモデルについてはヘッドライト内にある方向指示器の彩色形状を過去品と変えて、年式違いとしているのがTLVらしいこだわりと言えます。パッケージなどに年式は記されていませんが方向指示器の彩色とボディカラーの組み合わせからLV-N329bは2015年以降のタイプ、LV-N329cはリアのマッドガードにリフレクターがあるので2012年から2015年のタイプと断定が可能です。ボディカラーは、実車のナイトホークブラック・パールを模した黒とアラバスターシルバー・メタリックと思われる銀色の2種類。内装はどちらもクリアライトブルーと呼ばれる青になっています。偶然なことに今月、中国の新興ブランド、モーターヘリックスから1/64スケールでHA8型アクティがリリースされるようです。しかもTLVで出ていないフレームレッド×ブラックのスピリットカラースタイルも出るということなのでちょっと気になっています。これがモーターヘリックス製のアクティ。TLVにはないフレームレッド×ブラックのボディカラーが魅力ですが、ベイブルー×ホワイトもあるそうです。このモデルには荷台のアオリが取り外せるアクションが備わるのですが、その脱着のための基部(マグネット?)が荷台床面に露出してしまっているのがもったいないんですよね。そんなワケで、ジブンは買うべきか買わざるべきか思案中…。次はキャンターです。いすゞエルフや日野デュトロ/トヨタダイナなどと同クラスの三菱ふそう製トラック。その2代目がTLV化され、ダンプと清掃車が既に出ています。今回は清掃車に新しいバリエーションモデルがリリースされました。過去品は東京都仕様でしたが、今回は特定の自治体カラーではない個人企業の所有車両風の装いです。単なる過去品のカラーバリエーションにとどまらず後期型になっているのは、コレクターにニヤッとさせるTLVの常套手段でもあります。ディテールは、フロントグリルにCANTERのエンブレムが入った後期型になっているのが変更点。往年のトミカダンディでも見られたバリエーション展開です。ボディカラーはキャビン、荷箱ともに白で、これにブラウンの内装が付きます。ドアパネルに産業廃棄物収集運搬車の文字が入っているので、造園会社や古紙リサイクル会社が所有する車両とも解釈できるカラーリングです。過去品のTLVで清掃車というと、プリンスクリッパーとマツダE2000がありましたね。当時のモデルは荷台の可動アクションはなく、細かいモールドも省略されていました。それに比べるとキャンター清掃車は1/64スケールミニカーで群を抜いた存在であることは確実です。とは言ってもアクションを楽しもうとすると可動部の塗装が傷ついたり、最悪の場合破損もあり得るので「動かさず手に取って見るだけ」に徹しています。かといって、イタズラ目的(←誤解厳禁)でもう1台購入するのは財政的に無理ですし。続いてスカイライン。ブランドを問わず、日本のミニカーシリーズで最もモデル化されている国産車は?と訊かれて、スカイラインと答えるコレクターは多いでしょう。TLVでもそれは例に漏れずあらゆる世代がモデル化され、中にはワゴン/バンやベーシックグレードといった変化球も見られます。そんなTLVにスカイラインの新作が登場しました。過去に4ドアスポーツセダンが出ているR34型で、今回は2ドアスポーツクーペ。GT-Rではなく25GTターボというのもTLVらしい車種選定です。鈑金工場に入庫中の車両みたいなスカイライン。これが出荷状態の姿なので、あえてバンパーとトランクリッドを取り付けないまま画像に上げてみました。4ドアスポーツセダンとは別に完全新規に作られたボディはプロポーションに不足がありません。もちろん4ドアスポーツセダンともGT-Rともイメージが異なるフロントマスクもバッチリ。定番のGT-Rのモデルだと早合点して手に取ると「あれ?何か違う。ここもあそこも...。えぇ、これってGTじゃないか!」と 改めてTLVの隠し技の洗礼を受けること必至です。さらには前後バンパーとトランクリッドが各2個付属していて、交換することで2種類のバンパーおよびリアスポイラーを装着したルックスが楽しめるという、TLV初の試みが盛り込まれています。カラーリングはスパークリングシルバーメタリックボディにブラックモノトーンの内装のものとベイサイドブルーメタリックのボディに同じくブラックモノトーン内装のものの2種類。前者には標準装備のホイール、後者にはオプションのNISMOアルミロードホイールが装着されているのも、うっかり見逃しそうでありながら見逃せないポイントと言えます。外装パーツを交換できるミニカーというのは楽しいことに違いはないのですが、TLVがこのようなモデル展開を採ったのは実に新鮮です。通例ではノーマル仕様とメーカーオプション装着車を別品番でリリースしていたことを考えると、海外市場で「あのモデル」に対抗するべく企画されたのではないかと推測もできます。最後はF40です。車名の文字が示す通り、フェラーリ社40周年を記念して1987年に誕生した車種。日本国内では好景気のあおりを受け新車価格が2億円を超えたなどというエピソードが生まれましたっけ。1970年代の308やBBが持つエレガントなデザインとはうってかわって暴力的にさえ映るスタイリングは、多くの人の脳裏に強烈に焼き付いたものです。そのF40がTLVの仲間に…、と書いて浮かんだのは「F40って前に出ていたような」という過去の記憶。はい、確かに2019年に出ていました。同車種同色のリリースになった今回のモデルは、比較的初期のタイプで過去品とは各部が変更されています。日頃から「ヘンタイ」と褒めちぎっているTLVですが、このF40のバリエーション展開にはさすがに腰が抜けそうになりました。なるほどそう来たか…。一見しただけでわかるディテールの変更点は、ホイールが光沢メッキからつや消しメッキに変わった程度です。ところが細部に目を向けると、ドアウィンドウがスライド式小窓付きの固定式を再現していたり、エンジンルームではエグゾーストマニホールド部の形状が変わっていることがわかります。ボディカラーは赤、内装は赤のシートを付けた黒です。実車は一部の特別オーダーを除いて赤しか設定がなかったようなので、過去品と同じなのは仕方ありませんね。1/64スケールのミニカーだと省略されがちな仕様違いにあえてスポットライトを当てるのは、TLV持ち前の緻密なバリエーション展開あるあるです。モデルを愛でながら忘れていた仕様を思い出すコレクター、または初めてその仕様の存在を知るコレクターもいることだと思います。さて、今回紹介したニューモデルの中で一番の注目株は、やはり外装パーツを交換することができるスカイラインですね。まあモデルのコンセプトとパッケージに、どうしても似た構成の「あのモデル」ことBMクリエイションズの影がチラついてしまいます。BMクリエイションズではノーマル仕様と少々お下品な改造車が作れるモデルが散見されるのに対し、TLVは標準仕様とオプションパーツ装着仕様という差はありますが…。もうひとつの違いは、BMクリエイションズで可能なホイールの交換がTLVではできないこと。ボディとシャシーの接合がビス留めではなくカシメであるため、容易に分解できない作りになっています。これは出荷状態を尊重する生粋のコレクター心理に配慮したためなのでしょうか。もしくは、もっともらしい二次改造を施したモデルがレアアイテムだと偽って流通するのを防ぐためかも知れませんね。何はともあれ今後に期待です。では今回はこの辺で…。