【市況】【植木靖男の株式展望】 「中段の保ち合い形成へ」 | 【未来予測・世界情勢・政治・経済・金融・有事・戦争・災害・スポーツ・芸能・サイエンス等の時事情報ブログ】 http://ameblo.jp/e269/

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【市況】【植木靖男の株式展望】 「中段の保ち合い形成へ」

●第3の矢が第二幕相場の鍵を握る

 株式市場は月末にかけて波乱含みだが、12年11月安値から僅か半年ほどでの80%近い大幅上昇は、今後、アベノミクス相場が凄まじいほどの大型相場になることを物語っている。仄聞すれば、これほどの初動段階での大幅上昇は、戦後間もない朝鮮特需相場以来という。

 だが、こうしたある意味で狂気じみた上げ相場にも、節目はある。5月下旬に入って、1万6000円大台を目の前にして一転して下落相場に転じた。想定外の上昇を演じた上昇相場は、また想定外の下落をみせるのも、天の摂理である。

 本来なら、これまでの経験則からいえば、遅れても5月10日前後に天井を打つべきものが延長戦に入って天井が延びた。また、このためにより厳しい下げになったといえる。

 とにもかくにも、これでアベノミクス第一幕はエピローグを迎えた。市場環境からも第一幕エピローグの辻褄は合う。今回の上昇を支えたアベノミクス。確かに第一の矢、第二の矢である大胆な金融緩和策、財政出動は予定通りの成果を収めつつあり、アベノミクス緒戦は大勝利となった。

 いま、市場は第三の矢に注視し始めている。つまり、成長戦略である。だが、この点について市場は、その内容に満足していないようだ。いうまでもなく第三の矢は構造改革だ。だが、肝心要の改革の一丁目一番地である規制改革が見えてこないのである。

 第一、第二の矢では安倍首相は、あまり汗をかかなくてよかったが、こと成長戦略では十分に汗をかかなければならないはず。もちろん、参院選を控え、いま規制緩和を掲げたり、実行に移すことは難しいのは理解できるが、アベノミクスの真骨頂はこの成長戦略にあるはず。さすがに高率を誇った安倍内閣支持率も下がり始めている。

 法人税の引き下げ、国際経済特区構想、農地への株式会社の参入などへの期待は大きい。こうした規制緩和への取り組みが第二幕プロローグの条件である。第一、第二の矢だけでは脱デフレ、潜在成長力の引き上げは難しい。

●先駆して底入れした銘柄に注目

 さて、今後の株価をどうみるか。初動段階での大幅上昇をみる限り、今回の天井は大天井とはいえず中天井とみて差し支えはないだろう。大天井はまだまだ先である。ここへきての波乱は、上昇における踊り場。すなわち中段の保ち合いと解釈したい。

 その期間、値幅はどの程度のものであろうか。たとえば、05年の郵政解散相場では05年10月の調整、このときはきわめて小さく、期間で立会日数にして13日、つまり半月ほど。また、値幅にしても5%ほどの下げにとどまった。だが、09年9月からの調整では期間3ヵ月、値幅も16%下げと大きい。

 このように中段の保ち合いはさまざな規模がある。また、中段の保ち合いの中でのパターンもいろいろある。特に今回は相場の主導権を海外ヘッジファンドが握り、しかも先物主導だけに事前に予想することは困難である。

 ただ、筆者は大雑把に期間は3ヵ月ほど、値幅は1万3000円~1万5000円とみている。そして、保ち合いのパターンはこれまた種々雑多でペナント型、二段下げ型などあるが、ここ一両日の大幅安をみると、6月中に安値を付けるペナント型ではないかと思っている。

 いずれにしても、どのコースを辿るにしても、一度はっーとするような反発が予想される。いってみれば“鬼より恐い二番天井”である。ここでの処置を間違えると運用面で大きな差が生じることを肝に銘じたい。

 ところで調整後のアベノミクス第二幕の物色対象はどう考えればよいのだろうか。05年の郵政解散相場を引用すれば、第一幕同様、金融株、自動車、不動産株が引き続いて主役の座を占めていた。おそらく今回も同じとみてよいだろう。

 もちろん、銀行では三菱UFJ <8306> などメガバンクが、また証券では野村 <8604> 、大和 <8601> などがよいと思うが、ときにこうした大企業とは別に突飛高する二番手、三番手も考えられる。こうした銘柄は得てして真っ先に底を入れて出直るものである。しっかり見据えることが大事だ。

 また、自動車株もトヨタ <7203> はじめ第一幕で活躍した富士重 <7270> なども面白そうだ。地価は着実に緩やかに上昇する期待は大きく、不動産株では三井不 <8801> 、菱地所 <8802> 、それにファンの多い東建物 <8804> 、東急不 <8815> に妙味があろう。

 いずれにしても、第二幕では夢を買うというより企業収益の好転を買うウエイトが高くなりそうだ。いわゆる業績相場だ。それだけに上値は限界がある。

 前述したように、いつも相場が出直るとき、全般に先駆けて底を入れる銘柄が牽引役となることがしばしばである。是非、読者と一緒にそうした銘柄を探したいものである。

2013年5月30日 記

チャートブック月足集No.356より転載

株探ニュース