高値更新のNYダウとあと一歩だったS&P500指数 | 【未来予測・世界情勢・政治・経済・金融・有事・戦争・災害・スポーツ・芸能・サイエンス等の時事情報ブログ】 http://ameblo.jp/e269/

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高値更新のNYダウとあと一歩だったS&P500指数

•NYダウは10連騰

 先週の株式市場では、S&P500指数が史上最高値まであと少しのところまで迫ったものの、金曜日に反落してあと約5ポイントのところで週末になってしまった。市場では、2週間前に史上最高値を付けたダウ工業株30種平均(NYダウ)に続いてS&P500指数も新値を更新することによって、この上昇相場が本格的なものであり、米国からも中国からも欧州からも政治的な雑音が聞こえてこないという確証が得られるとの見方が広がっていた。

 S&P500指数はまだ新値を付けていないものの、NYダウは木曜日まで10連騰となり、最高値の更新が続いていた。レイモンド・ジェームズで株式トレーディング部門の責任者を務めるダン・マクマホン氏によると、過去最長は14連騰ということだが、10連騰も1996年以来のことだという。

 金曜日の下落のきっかけとなったのは米国経済の弱さを示す指標の発表だった。特に3月のミシガン大学消費者信頼感指数は給与税の引き上げとガソリン価格の上昇を背景に予想外の低下を示した。一方、2月の消費者物価上昇率は市場の予想を上回る前月比プラス0.7%となった。前年比ではプラス2.0%で連邦準備制度理事会(FRB)の目標値以内に収まったものの、1月の同1.6%を上回る上昇率となった。

 この点についてRDQエコノミクスのジョン・ライディング氏は、インフレを懸念するような数値では全くないとしながらも、FRBがディスインフレを心配し過ぎていることを示すような数値だともレポートの中で指摘した。同氏は「主な支出項目全体にわたって、過去3カ月で価格の下落を示したのは自動車だけだ(ただし自動車の価格も前年比で見れば3.3%上昇している)」ともレポートに記している。

 こうした市場を受けて、先週の主な株価指数はNYダウが0.8%高の1万4514ドル11セントで引け、S&P500指数は0.6%上昇して1560.70となった。ナスダック総合指数はわずか0.1%の上昇にとどまって3249.07となったが、小型株のラッセル2000指数は1.1%高の952.48で週末を迎えた。

•次の材料

 マクマホン氏は上昇相場を止めるものは見当たらないとみており、「今は重要な経済データの発表もない時期だ」と指摘する。同氏に来週の連邦公開市場委員会(FOMC)での金利に対するコメントはどうかと尋ねたが、「退屈なものになる」との反応だった。同氏は次に重要になるのは1-3月期の業績発表だと考えている。

 マクマホン氏は「株式市場がここから急騰する理由は見当たらないが、材料がない相場でも上昇するような基調にある」と述べ、この3日間で過去4年間よりも多くの「長期的な上昇相場」という言葉を聞いたと指摘する。「長期的な」とは、今後数年間は上昇基調が続くことを指しているとマクマホン氏は考えている。

 ただし、最近の市場の出来高が少なくなっていた点はやや心配だ。シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX指数)も落ち着いており、過去6年で最も低い水準にある。VIX指数が反発に転じるだろうか。

 金曜日の株式市場では久々に金融セクターが注目を集めた。木曜日の引け後にFRBがストレステストの結果を発表し、多くの金融機関が自社株買い戻しや増配を認められたからだ。ただし、ゴールドマン・サックス(GS)やJPモルガン・チェース(JPM)のように条件付きで認められたところもあった。バンク・オブ・アメリカ(BAC)は普通株50億ドルと優先株55億ドルの買戻しを発表して(1セントの配当の増配はまだだが)、株価は金曜日に3.8%上昇した。市場全体は金曜日に下落したものの、金融セクターは指数でみると1.4%の上昇となった。

•インフレヘッジと金鉱株

 金曜日の消費者物価指数の発表は、FRBの緩和策がインフレによって終了することを思い出させ、一部の投資家はインフレに備えようとしている。

 実物資産の金や金価格に連動する上場投資信託(ETF)を保有することはインフレに対するヘッジ手段の1つだが、金鉱株に着目することも必要かもしれない。ポイント・ビュー・ウェルス・マネジメントのデービッド・ディーツェ氏によると、各社の確認埋蔵量の価値と株式時価総額を比較した場合、金鉱株は相対的に25年来の割安水準にあるという。

 過去4年で金価格は約60%上昇したが、金鉱株はその恩恵にあずかることなく、最近の金価格の下落につれて株価は値下がりしている。しかも過去3カ月の下落率を金鉱株指数のETFであるマーケット・ベクター・ゴールド・マイナーズ(GDX)で見ると20%となっており、金のETFであるSPDRゴールド・トラスト(GLD)の6%と比較すると大幅になっている。

 金価格が上昇している時期に各社が埋蔵量を増やそうとして開発プロジェクトを進めたものの思うように発見できず、資金を調達するために新株を発行して株式の希薄化が起きたことが背景にあると、モーニングスターのサミュエル・リー氏は指摘する。

 その結果、多くの金鉱会社の最高経営責任者(CEO)がここ数年で更迭され、各社とも開発プロジェクトを中止して不要になった資金を株主に還元する方針に変わりつつあるとディーツェ氏は考えている。USAAでプレシャス・メタル・アンド・ミネラルズ・ファンドを運用するダン・デンボウ氏は、金鉱株のCEOは少ない開発資金で経営しなければならないことを理解するようになったと指摘する。

 大手の金鉱株は増配しており、今後もその傾向が続きそうだ。これはかつて多額の配当金を支払っていた南アフリカの金鉱株に似ているとデンボウ氏は述べ、こうした金鉱株は利息の支払いがある金預金のようなものだとも考えている。

 同氏が選好するのはカナダの企業であるゴールドコープ(GG)で、同社の株価は過去1年で31%下落し、予想株価収益率(PER)は15倍と過去5年の平均の28倍から大幅な割安水準にある。現在の配当利回りは約1.8%だが、今後数年間は増配が続くとみている。一方、ディーツェ氏はニューモント・マイニング(NEM)を選好している。同社は配当金が金価格に連動するような配当政策を取っているが、金価格の下落を受けて過去数カ月間は下落基調にある。配当利回りは現在4%だが、今後インフレ率の上昇に伴って金価格が上がれば、増配することになると考えている。

 ディーツ氏はまた、クローズドエンド型の投資信託であるASAゴールド・アンド・プレシャス・メタル(ASA)は、価格がファンドの純資産価値から4%のディスカウントにあるため、投資妙味があると考えている。