きょうのなぜ?:夜遅くに食べると太る?
毎日小学生新聞 2012年09月02日
みなさんは食事しょくじを決きまった時間じかんにきちんと食たべていますか。夕食ゆうしょくを食たべる時間じかんが遅おそくなってしまうことはありませんか。「夜遅よるおそくにご飯はんを食たべると太ふとる」と言いわれます。うわさは本当ほんとうなのでしょうか。調しらべてみました。【山崎哲やまざきてつ】
◇必要以上ひつよういじょうのカロリーで太る BMAL1(ビーマルワン)が脂肪しぼうため込こむ
東京農業大学応用生物科学部教授とうきょうのうぎょうだいがくおうようせいぶつかがくぶきょうじゅの田中越郎たなかえつろうさんは「夜よる、遅おそい時間帯じかんたいに夕食ゆうしょくを食たべると太ふとる」と言いいます。初はじめに太ふとる仕組しくみを解説かいせつしましょう。
◇一日いちにちに必要ひつようなエネルギー
私わたしたち人間にんげんは食事しょくじを取とることで、一日いちにちに必要ひつようなエネルギーを得えています。中なかでも体からだを動うごかすエネルギー源げんとして大切たいせつな栄養素えいようそが、たんぱく質しつ▽糖質とうしつ▽脂質ししつ--の3種類しゅるいです。単位たんいは「カロリー」と言いい、年齢ねんれいや性別せいべつ、運動量うんどうりょうによって一日いちにちに求もとめられるエネルギー量りょうは変かわります。
例たとえば、運動部うんどうぶなどに所属しょぞくしない小学しょうがく5~6年生ねんせいの男子だんしの場合ばあい、目安めやすとされるのは一日いちにち1950キロカロリーです。一方いっぽう、軽かるく運動うんどうをする子こどもは2250キロカロリーが必要ひつようです。同おなじように同世代どうせだいの女子じょしでは運動うんどうしない場合ばあいは1750キロカロリー、運動うんどうする場合ばあいは2000キロカロリーが求もとめられます。
「太ふとる」とは、食事しょくじから得えた一日いちにちのエネルギー量りょうが、運動うんどうなどで使つかったエネルギー量りょうを上回うわまわることで起おこる症状しょうじょうを言いいます。食事しょくじの回数かいすうが多おおければ太ふとるというのではなく、取とったエネルギーと使つかったエネルギーのどちらかが上回うわまわるかで決きまります。
三みっつの要素ようそのいずれも、取とり過すぎると脂肪しぼうに変かわり、体からだに蓄たくわえられます。そして体重たいじゅうが増ふえるのです。1キログラム増ふえるのに、約やく7000キロカロリーが必要ひつようとされています。仮かりに、一日いちにちに必要ひつような量りょうよりも500キロカロリー多おおくエネルギーを取とると、2週間しゅうかんで1キログラム増ふえる計算けいさんです。500キロカロリーは、約やく90グラムのポテトチップス1袋ふくろを食たべたのとほぼ同おなじエネルギー量りょうです。
本題ほんだいに入はいりましょう。どうして夜遅よるおそくにご飯はんを食たべると太ふとるのでしょうか。大おおきく二ふたつの理由りゆうが考かんがえられます。
◇寝ねるまでの時間じかんを考かんがえて
一ひとつ目めは、寝ねるまでの時間じかんが短みじかいためです。寝ねるまでの時間じかんが少すくないと、その分ぶん、使つかわれるエネルギーが減へります。そして、使つかい切きれなかったエネルギーが脂肪しぼうに変かわり、体内たいないにため込こまれます。
二ふたつ目めはBMAL1(ビーマルワン)という物質ぶっしつが関係かんけいしています。BMAL1(ビーマルワン)とは遺伝子いでんしの働はたらきを調節ちょうせつしているたんぱく質しつの一種いっしゅです。脂肪しぼうをため込こむ働はたらきがあり、午後ごご10時じから午前ごぜん2時じにかけて動うごきが活発かっぱつになります。このため、食事しょくじの回数かいすうや内容ないようを同おなじだと想定そうていした場合ばあい、夕食ゆうしょくを早はやめに取とった場合ばあいと、午後ごご10時以降じいこうに取とった場合ばあいでは、遅おそい時間帯じかんたいの方ほうが太ふとりやすいと考かんがえられるのです。
「夜遅よるおそくにご飯はんを食たべるのは食習慣しょくしゅうかんが乱みだれていることを表あらわします」。田中たなかさんはこう話はなします。規則的きそくてきな食生活しょくせいかつを心こころがけることで夜遅よるおそい食事しょくじは避さけられます。「まずはきちんと朝食ちょうしょくを取とることを心こころがけてください」と田中たなかさんは呼よびかけています。
■ミニ知識ちしき
◇しつけなどで家庭かていに普及ふきゅうせず
夜食やしょくの文化史ぶんかしなどを研究けんきゅうする広島大学教育学部准教授ひろしまだいがくきょういくがくぶじゅんきょうじゅの西村大志にしむらひろしさんは「小学生しょうがくせいくらいの子こどもが夜遅よるおそくにご飯はんを食たべるのは古ふるくからの習慣しゅうかんではありません」と言いいます。明治時代めいじじだいにも夜食やしょくの習慣しゅうかんはありましたが、人力車じんりきしゃを引ひく車夫しゃふなど夜通よどおし働はたらく一部いちぶの大人おとなに限かぎられていました。都会とかいで働はたらく人ひとの場合ばあい、夕食ゆうしょくとは別べつにおでんやうどん、汁粉しるこなどを食たべていました。今いまとは違ちがい、朝型あさがたの生活せいかつリズムや夜更よふかしはいけないというしつけの影響えいきょうで夜食やしょくは家庭かていには根ねづきませんでした。多おおくの家庭かていでは「行儀ぎょうぎが悪わるい」とさえ考かんがえられていました。
◇受験勉強じゅけんべんきょうの広ひろがりとともに
1960~1970年代ねんだいに入はいり受験戦争じゅけんせんそうが低年齢化ていねんれいかするると、子こどもたちが夜よる、勉強べんきょうの合間あいまに食事しょくじをする習慣しゅうかんが広ひろがります。勉強べんきょうが理由りゆうだと、夜遅よるおそくに食たべても親おやは認みとめざるをえません。やがて、中学受験ちゅうがくじゅけんをする小学生しょうがくせいが増ふえると、夜食やしょくを作つくることが親おやの愛情表現あいじょうひょうげんの一ひとつとも考かんがえられるようになりました。「受験勉強じゅけんべんきょうの広ひろまりなどで、夜遅よるおそくにご飯はんを食たべざるをえないのが今いまの子こどもたちの状況じょうきょうです」。西村にしむらさんはこう分析ぶんせきします。
◇地域ちいきで異ことなる夕食時間ゆうしょくじかん
夕食ゆうしょくを食たべる時間帯じかんたいは、地域ちいきによって少すこしずつ異ことなります。総務省統計局そうむしょうとうけいきょくが2006年ねん、全国ぜんこくの10歳以上さいいじょうの男女約だんじょやく17万まん9000人にんを対象たいしょうに行おこなった「社会生活基本調査しゃかいせいかつきほんちょうさ」では、夕食ゆうしょくの平均開始時間へいきんかいしじかんは19時じ9分ふんだと分わかりました。最もっとも早はやいのは北海道ほっかいどうの18時じ46分ぷん、最もっとも遅おそいのは沖縄県おきなわけんの19時じ29分ふんでした。年齢別ねんれいべつでは、10~14歳さいの子こどもたちの夕食ゆうしょくの平均時間へいきんじかんは18時じ57分ふんでした。