ECB理事会後のドラギ総裁の発言要旨
[フランクフルト 6日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)は6日、主要政策金利であるリファイナンス金利を0.75%に据え置いた。
下限金利の中銀預金金利もゼロに、上限金利の限界貸出金利も1.50%にそれぞれ据え置いた。
理事会後に開かれた記者会見でのドラギECB総裁の発言要旨は以下の通り。
<ユーロ圏、「悪い均衡」にある>
ユーロ圏の多くの地域は、いわゆる悪い均衡下にある。非常に悪いシナリオを生む自己達成的な期待が存在する均衡だ。従って、こうした期待をある意味で打破するために介入する時がある。それは国、特定の国に限らず、ユーロ圏全体にかかわることだ。
<ユーロ崩壊の不安、根拠が無い>
われわれの使命の範囲内で、ユーロ圏の単一的な金融政策や価格安定、ユーロを維持するという使命の範囲内で必要なことをすべて行う。
そして、ユーロは後戻りできない。後戻りするとの事実無根の不安は、単に根拠の無い不安でしかない。このことはわれわれの使命の範囲内と考える。
<債券買い入れ条件>
債券買い入れは、欧州救済プログラムに「厳格かつ効果的な条件で付随」している。
ECBは、「新たな国債買い入れプログラム」を金融面で正当化される範囲内かつ、制約条件が尊重されることが条件と考えている。買い入れは、特に年限1─3年の「利回り曲線のより短い部分」が中心となる。
<新プログラムに限度なし>
新たな国債買い入れプログラム(OMT)の規模にあらかじめ量的な限度は設けない。
<優先債権者待遇は適用せず>
ユーロシステムは、法律上の行動のなかで、新たな国債買い入れプログラム(OMT)に関して同等の扱いを受け入れることを明確にしたい。
つまり、ユーロ加盟国が発行した債券で、こうした債券の条件に準じてOMTを通してユーロシステムが買い入れた債券は、民間部門債権者やその他の債券者と同等(pari
passu)の扱いを受ける。
<ECBが特定の債券利回り目標を持っているかとの質問に対して>
答えはノーだ。金融政策の伝わり方の修復は複雑なコンセプトであるため、われわれは数多くの側面に注目する。利回り水準は当然、そのうちの1つだが、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)スプレッドは、より一般的に流動性の状態を示すものだ。
つまり、われわれにはさまざまな指標がある。ボラティリティーも、われわれが介入を計画するにあたり考慮しようとしている指標として非常に重要だ。
<政策では全会一致でない>
全会一致ではなかった。1人が反対意見を示した。(バイトマン独連銀総裁が異を唱えたのかとの質問に)内部の動きに関する詳細は公表しない。
<目標は償還期間が短めの債券>
買い入れは償還期間が短めの債券に焦点を当てる。特に1―3年で満期となる国債が中心になる。
<条件付与しなければ効果ない>
政府側の行動をいっさい伴わず、何の条件もなく中銀が行動すれば効果はなく、中銀は独立性を失う。
<新プログラムめぐる救済基金の制約条件>
新プログラム(OMT)運用の必要条件とは、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)/欧州安定メカニズム(ESM)に付帯される厳密かつ効果的な条件制限である。EFSF/ESM・マクロ経済調整プログラム、もしくは条件強化信用枠(ECCL)と呼ばれる予防プログラムは、発行市場における買い入れの可能性が盛り込まれることで完全な形となり得る。
<IMFの関与模索>
対象国ごとの条件設定およびそうしたプログラムの監視において、国際通貨基金(IMF)にも関与を求める。
<新プログラムの終了>
理事会としては、新プログラムの目的が達成され次第、もしくはマクロ調整・予防プログラムに違反があった場合、新プログラムを打ち切ることになる。
<新プログラムの適用対象国>
新プログラムは、救済基金によるマクロ経済調整・予防プログラムが将来的に適用される場合に検討される。またマクロ経済調整プログラムが現在適用されている加盟国については、債券市場での資金調達が可能となった段階で検討され得る。
<ECBの責務の範囲内>
われわれはECBが責務の範囲内で行動していると確信している。(リスボン条約)123条には違反していない。
<EFSF・ESM稼動への備え必要>
各政府とも、定められた指針に沿った形で、債券市場における欧州金融安定ファシリティー(EFSF)・欧州安定メカニズム(ESM)の稼動に備えなければならない。各政府による当該確約の順守、および救済基金によるそれぞれの役割達成がプログラムを効果的に運用する上での必要条件となる。
<有効な防止措置>
適切な状況の下、われわれは完全に有効な防止措置を持つことになる。われわれは中期的な物価安定維持という責務の範囲内に厳格に収まっている。ユーロは後戻りできない。
<新プログラムの目的>
われわれは、金融政策の単一性保持および、ユーロ圏全体の実体経済に対する政策スタンスの適切な伝達確保を目指す。新たな債券買い入れプログラムは、とりわけユーロの可逆性をめぐる投資家の根拠なき不安が起点となっている国債市場の深刻な歪みへの対処を可能にする。
<担保に係る変更>
ECBは、欧州連合(EU)・国際通貨基金(IMF)プログラムの下、もしくは新プログラム適用可能国の中央政府によって発行・保証された市場性証券について、これまで担保受け入れ要件だった最低信用格付けの適用を停止することを決定した。
<金利を討議>
金利に関しては討議したものの、今回はその時ではないとの判断に至ったと考える。7月に利下げを決定した際、われわれは足元の景気循環の弱まりを想定していた。その意味で、前回の決定においてすでに、われわれの想定は反映されていたといえる。
<経済成長は依然ぜい弱>
ユーロ圏の経済成長は、金融市場での継続する緊張に加え、信頼感や心理を圧迫する高い不透明性に伴い、引き続きぜい弱になると見込まれる。金融市場での緊張が再び高まれば、成長とインフレ双方のリスクバランスに影響を及ぼす可能性がある。
<インフレは2%超え継続>
エネルギー高や一部ユーロ圏諸国での間接税引き上げに伴い、インフレ率は2012年を通じて引き続き2%を上回る見込みだが、13年にかけては再び2%を下回り、政策に係る期間において物価安定に沿った水準にとどまると予想される。
<物価リスク>
物価状況の見通しに関するリスクは、引き続き中期的におおむね均衡している。
<経済に対する下方リスク>
ユーロ圏の経済見通しをめぐるリスクは、下向きであると評価されている。これらのリスクは、特にユーロ圏のいくつかの金融市場でみられる緊張、およびこれらがユーロ圏の実体経済に波及する可能性に関連するものだ。ユーロ圏のすべての政策担当者による効果的な行動により、これらのリスクは抑えられるはずだ。
<経済見通し>
先を見通すと、ユーロ圏経済は非常に緩やかなペースでしか回復しないと予想している。金融・非金融部門のバランスシート調整の必要なプロセスのほか、高い失業水準、世界(経済)のまだら模様の回復により、成長の勢いは引き続き抑制されたものとなるだろう。
<緊縮財政>
信頼を回復するために、ユーロ圏の政策担当者は、競争力の向上と欧州の制度構築に向け、断固とした決意を持って緊縮財政と構造改革を推し進める必要がある。
終わりましたね・・・