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高速1000円 焦るフェリー 競合で旅客減、国交省は助成検討

1月26日8時31分配信 フジサンケイ ビジネスアイ


高速1000円 焦るフェリー 競合で旅客減、国交省は助成検討

大阪-九州などを結ぶ関西汽船のフェリー「さんふらわあ あいぼり」(写真:フジサンケイビジネスアイ)

 政府が追加経済対策として打ち出した「地方の高速道路料金、休日は上限1000円」に、フェリー各社が危機感を抱いている。日本各地を結ぶフェリー航路と高速道路が競合するため、多くの旅客を奪われる恐れがあるからだ。景気後退による観光需要の低迷などを受け、フェリー業界は廃止に踏み切らざるを得ない航路が相次いでいる。国土交通省は、「モーダルシフト(環境負荷の少ない輸送手段への転換)」の受け皿としてもフェリーを重視しており、港湾使用料の無料化など公的助成の検討を始めた。

 ◆9社が要望書提出

 昨年12月下旬、関西汽船、四国開発フェリーなど関西や九州、四国に本社を置くフェリー9社の社長が連名で、金子一義国交相あてに「内航フェリー航路の維持のための支援策の要望」という要望書を提出した。

 この中で、高速道路料金の大幅割引によって旅客を取られ、内航フェリー事業者の経営が圧迫されることに危機感を表明。旅客低迷や重油価格の高騰で経営が圧迫されていることもあり、何らかの公的支援を行うよう要望した。

 国交省によると、日本各地を結ぶフェリーの事業者数は約150、航路数は約170に上る。最近のフェリー業者の苦境は著しく、例えば東証2部上場の関西汽船は、08年6月中間連結決算で2億4000万円の最終赤字を計上。沖縄、名古屋、大阪などを結ぶ航路を運営していた有村産業(那覇市)は昨年、破産に追い込まれたほか、東日本フェリー(北海道函館市)は国内フェリー事業から撤退した。

 航路100キロ以上の中長距離フェリーの旅客輸送は07年度で350万人だった。競合する鉄道網や高速道路網が整備されたこともあり1974年の530万人から6割程度にまで減少している。

 ◆「9割取られる」

 こうした中で打ち出された政府の高速道路料金の割引策に、フェリー業界の危機感は強い。例えば、大阪から大分まで乗用車で出かける場合、高速道路で中国吹田IC(中国道)から門司IC(九州道)まで走り、あとは一般道を走った場合、割引策が導入されるとガソリン代も含め6650円程度で済む。

 一方、関西汽船のカーフェリーで大阪港から別府港(大分県)まで乗れば、2等運賃で割引料金を使っても2万8140円かかり、「阪神~九州で顧客は3割取られるだろう」(同社)と予測する。距離の近い阪神~松山ではさらに影響が大きく、「8、9割の顧客を取られるのではないか」とみる。関東でも、東京湾アクアラインが上限1000円になるため、久里浜港(神奈川県横須賀市)-金谷港(千葉県富津市)のフェリーが打撃を受けるとみられている。

 国交省は、フェリー各社の経営の苦境を軽減するため、助成の検討を始めた。その一つが、事業者が港を管理する自治体に支払う港湾使用料の無料化だ。

 料金は「船の総トン数1トンあたり5円」など自治体ごとに違うが、「財源として10億円もあれば足りる」(港湾局)。09年度から道路特定財源が一般財源化されるのに伴い創設される1兆円規模の交付金の活用なども検討しているという。ただ、実際に高速道路と競合する航路の選定など複雑な作業も多く、慎重な検討が求められている