ウィンドウズ・ビスタあす発売 特需期待薄 米マイクロソフト自ら冷や水
米マイクロソフトの新基本ソフト(OS)「ウィンドウズ・ビスタ」が30日、一般消費者向けに発売される。大手家電量販店では29日深夜からカウントダウンイベントなどで盛り上げ、30日午前0時と同時に販売を開始。パソコンメーカー各社も、ビスタ搭載の新モデルを一斉に発売する。ただ、これまでのところ消費者の反応はいまひとつ。パソコン業界では、「ビスタ特需は期待できない」と、冷めた見方も広がっている。 パソコンメーカー各社のビスタにかける思いも切実だ。電子情報技術産業協会(JEITA)によると、2006年のパソコンの国内出荷台数は、前年比3%減の1233万台となり、4年ぶりに前年を割り込んだ。ビスタ発売を前にした買い控えが原因で、特に、ビスタの発売が当初予定よりも遅れ、年末商戦に間に合わなかったことが響いた。
各社とも30日に一斉にビスタ搭載モデルを発売。市場回復の起爆剤にと期待を寄せる。 ところが、発売直前の今月24日に、量販店やメーカーの期待に冷や水を浴びせるような事態が起きた。米マイクロソフトが、旧型となる「ウィンドウズXP」に対するサポート期間をこれまでの2009年から14年に延長すると発表したのだ。 ≪業界の不満噴出≫ 「どうやってビスタを売ればいいのかわからなくなった」(パソコン専門店販売員) 「あまりにも唐突過ぎる」(パソコンメーカー担当者) 業界では、マイクロソフトへの不満が噴出している。 そもそも、薄型テレビなどのデジタル家電や携帯電話のネット機能が進化するなか、消費者のパソコン購買意欲はどんどんしぼんでいる。 「パソコンはメールやネット検索に使うだけ。XPで十分」というユーザーは多い。量販店の店頭では、XP搭載モデルが格安で販売されており、高額のビスタ搭載モデルが並べば、旧型の割安感はさらに強くなる。サポート期間の延長で、ビスタ搭載モデルへの買い替えが鈍るのは確実だ。 マイクロソフトでは、映像や音楽再生などでエンターテインメント性を高め、操作性やセキュリティー機能も格段に向上させたビスタの投入で、パソコンの家電化をもくろんでいる。 ただ、「消費者は、多機能を詰め込んだ高額のビスタ搭載パソコンを買うより、薄型テレビとDVDレコーダーをセットで買った方が安上がりだし、便利だと考えている」(大手量販店)との声は根強い。ビスタ発売は、多難の船出といえそうだ。( |