<施政方針演説>安倍首相「教育再生は内閣の最重要課題」
安倍晋三首相は26日午後、衆参両院の本会議で初の施政方針演説を行った。首相は「教育再生は内閣の最重要課題」と明言したうえで、「国への愛着愛情をおろそかにしてきた」と問題提起。道徳教育の充実など改正教育基本法を踏まえた公教育の再生に取り組むことを強調した。また憲法改正の議論を促し、改憲手続きを定めた国民投票法案の今国会成立に強い期待感を示す。保守色の強い「安倍カラー」を意識したもので、「戦後レジーム(体制)」からの脱却も改めて宣言した。 経済政策については「成長の実感を国民が肌で感じることができるよう新成長戦略を推し進める」と経済成長重視路線の堅持を表明。民主党が「格差是正」問題で対決姿勢を強めていることも踏まえ、「経済的に困難な状況にある勤労者の底上げを図る」と述べ、再チャレンジ政策で格差問題にも取り組むことを強調した。財政再建では歳出削減を徹底する考えを改めて示し、消費税増税問題についても従来通り「秋以降本格的な議論」と説明した。
北朝鮮問題は拉致問題の解決に向けた決意を表明する。自衛隊の海外派遣などに関し「安全保障の法的基盤を再構築する」と述べた。また、事務所費問題など「政治とカネ」が焦点となっていることから、「政治家は常に襟を正していかなければならない」と与野党で政治資金制度のあり方を議論するよう呼びかけた。 ■解説 保守層を意識の「安倍カラー」打ち出す 今年最大の政治決戦である夏の参院選で、国民の支持を集められるものは何か。安倍晋三首相の初の施政方針演説は、各政党が突き付けられているこの問いに、首相も苦心している様子をうかがわせる。 首相は教育再生を「最重要課題」と宣言。いじめや子どもの自殺問題への取り組みを示すと同時に、「公共の精神、地域や国への愛着愛情、道徳心などの価値観を教えていく」必要性を訴え、保守層を意識した「安倍カラー」を打ち出した。 また「格差」という言葉は「政府として失政を問われかねない」(公明党幹部)などの理由から避けたが、民主党が「格差是正」を今国会や参院選の争点に据えることを意識し、格差対策に重点を置いたのも特徴だ。 (1)就職氷河期に正社員になれなかった年長フリーターへの就職支援(2)経済的に困難な状況にある勤労者の底上げを目指した最低賃金制度の見直し――などを挙げた。首相周辺は「経済成長戦略によって成長してこそ底上げもできる。民主党のように成長を度外視して格差是正を言うのは、社会主義的政策」と対抗心を隠さない。 教育再生、憲法改正などを強調することで保守層を固め、経済成長戦略と国民生活の底上げ政策で無党派層にも支持を広げる――。そんな戦略が演説から浮かび上がる。 だが教育再生では、教育委員会改革や「ゆとり教育」見直しに自民党文教族や文部科学省の抵抗が予想され、関連法案の行方は不透明。格差対策でも、塩崎恭久官房長官ら首相官邸側が「新たな貧困」対策と銘打って底上げ政策を取ろうとしていることに、「貧困と言われたら低所得者層はどう思うか」「低所得者層対策が分かっていない。お坊ちゃんが多い官邸らしい」と与党などからも批判の声が聞かれる。 首相は「正攻法で着実に実績を残していく」ことで国民の支持を回復し、参院選勝利、本格政権につなげようと描く。だが演説は「模範となる国」「戦後レジームからの船出」「次の50年、100年の時代の荒波に耐えうる国家像」などキャッチフレーズが躍っている印象が強い。 「正攻法」には、現在の「理念先行」型政治に国民の生活実態を踏まえて血を通わせ、政策を肉付けする作業がもっと必要だ。そのためにも地に足のついた国会論戦が求められる. ◇施政方針演説ポイント ・国民が実感できる新成長戦略の推進 ・秋以降、消費税含む税体系を本格的に議論 ・教育再生を内閣の最重要課題に ・地域や国への愛着愛情を子どもに教育 ・本格的な少子化対策の戦略を構築 ・集団的自衛権行使の研究促進 ・北朝鮮の核開発は認めず、拉致問題を解決 ・政治資金制度の在り方の議論を期待 ・憲法の議論を深め、国民投票法案の成立を |