いいこと
現実と想像はいつも違うもの。
普段から僕は下を見ながら歩く癖がある。
何故なら、地面にお財布か何かが落ちていてその中に現金が入っていたら、自分の趣味に使ってしまえ、と想像しているからである。
この類の想像はほとんど妄想の域に達している。
しかし、今。
ありえないことが起きた。
人はこれを『夢にまで見たような状況』というのだろうか?
朝、7時4分。
完全な寝坊、次の列車まで5分以上の余裕があるが、最寄り駅から学校までは走らなくてはいけない。
そんな微妙な焦ってもしょうがないのに心臓がドキドキする状況。
電車のホームに行く途中の階段に小さな緑色をした正方形が見つけた。
最初はハンカチか何かと思ったけどどうやらそうじゃないらしい。
手にとってみると、材質は皮、合成かどうかは分からない。正方形というより幅がやや長い長方形。
嫌な汗が首筋を流れる。
胃のあたりガラガラする。
手が震える。
それは財布だった。
中には万札が2枚。五千円札が1枚。と、小銭ちょっとと定期券。
頭の中でまず閃いたのは、妄想通りのアクション。
布で財布を持ち直し、触ったところを拭いて札だけ出してその場に放置。
簡単だった。説明すれば小学生にだってできる。
……でも、できませんでした。
だって、その財布は革で指紋は拭き取っても跡は残る。
だって、この時間でも人は多少いて見つからない訳がない。
だって、目の前にはセキュリティーカメラがあってバッチリ自分の姿が映ってる。
でも、一番の理由は、
手が震えていて、心臓が締め付けられているように苦しかったこと。
何度も想像したのに。バレないようにする方法から自分にかかる罪悪感まで。
僕はその緑色の四角をポケットにではなく事務所に持って行きました。
今感じる感情は3種類。
後悔。中身を盗んでいれば色々欲しいものが買えたのに。
恐れ。本気で物を盗もうとしていた自分が恐い。
そして、喜び。
僕は自分の中の黒いものに負けなかった。
いいことができた。
まだ心臓が痛い。
部活に行く前からもうヘトヘトだ。
これから走らなきゃいけないっていうのに。
普段から僕は下を見ながら歩く癖がある。
何故なら、地面にお財布か何かが落ちていてその中に現金が入っていたら、自分の趣味に使ってしまえ、と想像しているからである。
この類の想像はほとんど妄想の域に達している。
しかし、今。
ありえないことが起きた。
人はこれを『夢にまで見たような状況』というのだろうか?
朝、7時4分。
完全な寝坊、次の列車まで5分以上の余裕があるが、最寄り駅から学校までは走らなくてはいけない。
そんな微妙な焦ってもしょうがないのに心臓がドキドキする状況。
電車のホームに行く途中の階段に小さな緑色をした正方形が見つけた。
最初はハンカチか何かと思ったけどどうやらそうじゃないらしい。
手にとってみると、材質は皮、合成かどうかは分からない。正方形というより幅がやや長い長方形。
嫌な汗が首筋を流れる。
胃のあたりガラガラする。
手が震える。
それは財布だった。
中には万札が2枚。五千円札が1枚。と、小銭ちょっとと定期券。
頭の中でまず閃いたのは、妄想通りのアクション。
布で財布を持ち直し、触ったところを拭いて札だけ出してその場に放置。
簡単だった。説明すれば小学生にだってできる。
……でも、できませんでした。
だって、その財布は革で指紋は拭き取っても跡は残る。
だって、この時間でも人は多少いて見つからない訳がない。
だって、目の前にはセキュリティーカメラがあってバッチリ自分の姿が映ってる。
でも、一番の理由は、
手が震えていて、心臓が締め付けられているように苦しかったこと。
何度も想像したのに。バレないようにする方法から自分にかかる罪悪感まで。
僕はその緑色の四角をポケットにではなく事務所に持って行きました。
今感じる感情は3種類。
後悔。中身を盗んでいれば色々欲しいものが買えたのに。
恐れ。本気で物を盗もうとしていた自分が恐い。
そして、喜び。
僕は自分の中の黒いものに負けなかった。
いいことができた。
まだ心臓が痛い。
部活に行く前からもうヘトヘトだ。
これから走らなきゃいけないっていうのに。