わたしは福寿草。
早春の森の中､
誰よりも早く､長い眠りから目を覚ます。
わたしは意識して頑張らずとも､
時期が来たら自然の力で芽を出し、
茎を伸ばし、花を咲かせる。
そして、黄金色に輝く自慢の花弁を大きく力いっぱい広げ､
太陽の日差しを存分に浴び、
そのエネルギーを、
わたしの中に、可能な限り吸収する。
申し合わせた訳ではないのに、
同じ早春に活動を始める昆虫達を､
受粉を手伝わせる為にわたしの元へ誘い込む。
わたしは自らが生きる事で､
他者の生命をも生かしている。
時に､冬の神のいたずらで降る春の大雪にも屈したり、
ブレて枯れる事は、決して無い。
人はわたしの事を「スプリング・エフェメラル」と呼び､
健気に美しく咲くわたしを見て感動し、
癒され､
勇気付けられている。
でも、わたしは誰かを喜ばせる為に生きている訳ではなく､
ただ自らの使命を淡々と成し遂げているだけ‥。
そして、地上に姿を現している時のわたししか見ていない人間の殆どは知らないだろう。
わたしが､毒草である事を‥。
福寿草（フクジュソウ）‥キンポウゲ科の多年草。
別名＝元日草（ ガンジツソウ）､朔日草（ツイタチソウ）。
１月１日の誕生花。
花言葉＝永久の幸福、思い出、幸福を招く、祝福など。
北海道の亜種にキタミフクジュソウがある。
根に強い毒性を持つ。