Windows10からLinuxに移行する初心者にとって、難しい設定(端末でのコマンド入力など)なしに、ひと通りのことが使えるディストリビューションがいいと思います。Ubuntuとその公式フレーバーが有力候補ですが、今回NEC-MATEに入れた結果が良かったXubuntu24.04の使用感をもう一度確認してみます。ちなみに、LTS(Long Term Support)版としては最近バージョンです。

・インストールはスムーズに進みますが、けっこう時間がかかります。

・日本語の設定は、少々操作が必要です。一部の表示が日本語になっていないので、「設定マネージャー」から「Language Support」の「Regional Formats」をEnglishから日本語に変更し、「Apply System-Wide」とし、一度ログアウトしてログインし直します。日本語入力はIbusとMozcが入っていて、できるのですが、吾輩の場合は「かな入力」に設定変更します。なお、このMozcのアイコンが小さくて見づらいのが少々難点です。設定変更で大きくすることができるのかもしれませんが。

・アプリセンターで、好きなアプリを追加できます。「フィルター」で「Snapパッケージ」と「Debianパッケージ」の両方が選べます。Dropboxは、Debianパッケージのほうにありました。Dropboxのインストールは非常にスムーズです。

・Xubuntuに限ったことではありませんが、Linuxでは文字コードが標準でUTF-8なので、Windowsで作ったテキストファイルとかが文字化けすることがあります。そういうときは、文字コードをSHIFT-JISに変更します。

・タイリングは、「Super」+矢印キーで、左半分、上半分または下半分にできるようです。なぜか右半分にはできないようで、不思議です。

・ワークスペースは、「設定マネージャー」から「ワークスペース」で最大32まで増やせるようです。そんなにいらんじゃろと思いますが(笑)。とりあえず4つに増やしてみました。切替は、「Ctrl」+「Alt」+「←」または「→」でできます。また、ワークスペーススイッチャーをパネルに追加したほうが便利だと思います。追加のためには、パネルを右クリックして、「パネル」-「パネルに追加」から「ワークスペーススイッチャー」を追加します。

 

 

 

 ZorinOS Lite 17.3も良かったので、再度インストールして使用感をもう少し深堀してみたいと思います。ZorinOS Liteは終わったと勘違いしている人がいるようですが、そんなことはごじゃりません。ZorinOSの公式ページで、わかりにくくなっていますが、ちゃんと現役ですし、当然ダウンロードもできます。公式ページのダウンロードのページで、下のほうに「Looking for Zorin OS Lite?」とあって、ダウンロードできます。なお、有料サポート付きのproや無料のcoreは、バージョン18がすでにリリースされているのに対して、Liteはバージョン17.3が最新で、バージョン18のリリースが少々遅れていますが、Lite18もリリースされるそうです。ただし、Liteはバージョン18までしかリリースされないので、バージョン19以降は無いということです。もっとも、バージョン17は2027年6月、バージョン18は2029年6月までサポート期限があるので、まだ3年以上Liteを使い続けられます。いま試しているPCは、2010年頃発売の古いNEC-MATEで、廃棄処分にしてもおかしくないものなので、まだ3年以上使えるなら十分な気がしますし、coreだって動くので、あるタイミングでcoreに移行してもいいと思います。初めからcoreを入れるという選択肢ももちろんありますが、Liteのほうが軽量なので、余裕があったほうがいいと思えば、Liteを選ぶのもアリでしょう。

 Liteはインストールも使い勝手も、core18とけっこう似ています。当然ですが。今のLiteはバージョンが17で1つ古いことと、デスクトップ環境がXfceになっていることが違いです。インストールは非常にスムーズに終わります。

・ある程度のアプリは初めから入っていますが、さらにいろいろなアプリが入れられます。coreと共通ですが、APT, FlatPak, Snap, .deb, AppImage, さらにWindowsアプリの.exe や .msiも利用可能ということです。なんだかすごいです。詳しくは知らんのですが、.debというのはDebianパッケージで、Debian系で使われるアプリのパッケージ形式ですな。APTというのは「Advanced Package Tool」の略で、.debパッケージを扱うDebian系の標準パッケージ管理システムということです。FlatpakはどのLinuxでも動かせるもので、Flathubという大規模リポジトリがあるそうです。Snapは同じくどのディストリビューションでも使えるもので、Snap Storeから配布されているそう。AppImageは、インストール不要で実行できる形式だそう。そういう意味では、何もZorinOSだけ使えるアプリが多いということではないよーな気がしますが、要はGUIで簡単にインストールして使えるかどうかが使い勝手に影響しそうです。

・coreとLiteはかなり似ているので、何が違うのでしょうね。

 Liteでもワークスペースの切替はできますが、パネルに「ワークスペーススイッチャー」を追加すると使い勝手がいいです。そのためには、パネルを右クリックして「パネル」から「新しいアイテムを追加する」で、「ワークスペーススイッチャー」を追加します。

 Liteでは、タイリングは、ウィンドウをマウスでドラッグしてもできません。「super」+矢印キーで左半分とかにはできるのですが、coreほど多彩ではないですね。ウインドウをマウスで左右にずっとドラッグすると、隣のワークスペースに持っていけるのは面白いです。

 Zorin Appearanceで、デスクトップレイアウトが変更でき、Windows10風とかmacOS風とかに変更できます。Liteでは2種類(Xfce風とWindows10風)しか選べないのですが、個人的にはLiteで選べる2種類で十分です。

 ということで、あんまり大きく違いはないのですが、若干Liteのほうが簡素化されているようです。

・逆にLiteのメリットは何かといえば、軽量であることですかね。そうでなければLiteを選ぶ意味は無いかも。BRAVEからYoutubeでPerfumeの「巡ループ」を再生すると、メモリ使用量2.0GB、CPU使用率25%程度に見えます。前回確認した結果と若干違い、タスクマネージャーで短時間測定するだけでは正確な評価が難しいです。ただ、coreとの比較では、メモリ使用率が、Liteのほうが少ないようです。

 そもそも、重い、軽いというのは何かですが、使っていて何も不便がなければ気にしなくていいように思うのですが、定量的に把握するとしたら、RAM使用量、CPU負荷、GPU負荷の大きさといったところかと思います。GPU負荷についてはタスクマネージャーでは表示されないので特別なツールが必要なようですが。それから、条件によって大きく変化するのですが、知らないうちに裏で何かが動いていることもあるので、実際に測定するのはけっこう難しいです。

 さて、ZorinOS core18です。なにやら、日本では大変な人気のようです。日本語対応を含め、完成度が高く、UIがWindows風、Mac風などに簡単に切り替えられ、初心者にも使いやすい、Ubuntuベースで安定性・ソフトの互換性に優れ、軽量で古いPCでも快適に動くなど、高く評価されているようです。(Liteという、さらなる軽量バージョンもあります。)

 再度インストールして、使い勝手を追加評価したいと思います。

 

・インストールは、はじめに日本語を選べば、表示が日本語になり、迷うことなくインストールできます。

・デフォルトではWindows風の画面で、「Z」アイコンがスタートメニューです。タスクバーが下部にあり、「i」が横に寝たようなアイコンがワークスペースの切替を表示しています。ワークスペースは、マウスでこのアイコンをクリックして切替でき、キーボードでは「Ctrl」+「Alt」+「←」または「→」で変更できます。

・ブラウザは、はじめからBRAVEが入っています。広告がプロックされるので気に入っているのですが、起動時にパスワードを要求され、うっとーしいので、ユーティリティの「パスワードと鍵」を開き、「Default keying」を右クリックして「パスワードを変更」から、新しいパスワードをブランクに設定(要するに何も入れない)します。これだけはBRAVEの余計な手間です。

・タイリングは、開いているウィンドウをマウスでドラッグして、左右半分、四分割など、数種類に設定できて便利です。

・日本語は、表示も入力もはじめからできます。このあたりはさすがです。ただ、吾輩の場合は「かな入力」なので設定が必要です。Mozcのプロパテイを「かな入力」に変更します。

・BRAVEからYoutubeでPerfumeの「巡ループ」を再生すると、メモリ使用量2.2GB、CPU使用率25%程度に見えます。そういえば、Perfumeは紅白で「ポリリズム」と「巡ループ」のメドレーを歌ってくれるようです。絶対に録画しないと(笑)。

・DVD再生は、VLCを「ソフトウエア」からインストールし、そのままPerfumeのDVD「World Tour 3rd」が再生できました。cssの設定などが必要なディストリビューションが多いのですが、そんな手間は一切ありません。素晴らしいです。

・音楽CDの取込みは、あらかじめ入っているRhyhmboxが遅くて話にならないので、Asunder CD Ripperを「ソフトウエア」からインストールしたほうが快適です。

・あらかじめ入っているエディタの「テキストエディター」では、WindowsのTXTファイルが文字化けすることがあります。例えば、Leafpadとか、他のエディタを使うといいかもしれません。Linuxの標準の文字コードはUTF-8なので、こういうことが起きますが、ZorinOS特有の問題ではありまへん。

・「設定」から、「プライバシーとセキュリティ」で「ファイアーウォール」の設定が簡単にできるので、設定しておくと安心です。

・他のディストリビューションでもありますが、WineとBottlesで、Windowsのアプリが使える可能性がある、ということです。吾輩は、今試したいWindowsアプリが特に無いのですが、興味深い機能です。

 

 以上、Windowsから移行したい人にとって、違和感なく使えると思うので、非常に人気が高いのもうなづけます。ほとんどケチの付けようがありません。本当によくできていると思います。なお、ZorinOS core18は、それほどシステム要件が厳しくないのですが、もっと軽いほうがいいという場合は、ZorinOS Liteも選択肢になるかと思います。

 これまで、古いNEC-MATEに初心者向けという情報のあったいろいろなLinuxディストリビューションを、12のチェック項目で評価したところ、満点だったものが10ありました。ハードとの相性などがあるし、PCでやりたいことが違えば評価結果も変わるとは思うので、あくまで吾輩が手持ちのWindows11に移行できなかったPCでの評価ですけどね。

・インストール これが全然できないと話になりませんが。
・日本語化(日本語表示と日本語入力)
・システムモニタ(CPU使用率、メモリ使用量等の表示)
・ウェブブラウザの動作
・ウェブブラウザ上でのYoutubeの動画再生

・ウェブブラウザ上での abema動画再生

・Amazon Prime Videoの再生
・プリンタ印刷
・DVD再生
・音楽CDの取込みと再生
・USBメモリの読み書き
・Dropboxの動作
 以上のことが異常なくできて、設定も含めてGUI操作でできる場合に減点なしにしました。以上の全項目で減点が無かったディストリビューションを、もう少し詳しく使用感をレビューしていきたいと思います。

 

 最初に登場は、Ubuntu 日本語Remix 22.04です。Ubuntuの最新版は24ですが、日本語Remixの最新版が22.04だったということと、バージョン24への移行が可能なことも選んだ理由です。Ubuntuは、日本でも各種ディストリビューションの中でかなり多く利用されているディストリビューションの1つで、本もいろいろ出版されているので、初心者が選ぶべき最有力候補のようです。

 インストール方法も、いろいろな本やウェブ上での日本語の情報が出ているので、ここでは省略しますが、非常にスムーズに進み、安心感があります。

・デスクトップの構成

 インストールが終わって、Ubuntuを起動すると、Windowsとは趣の違うデスクトップ画面が現れます。吾輩も全然詳しくないのですが、GNOMEというデスクトップ環境と、グラフィカルシェルにGNOME Shellを使っていることによります。Windowsとは表示も操作方法も違うので、とまどう可能性大で、好みが分かれるようです。画面の上部の横長の部分が「トップバー」と言われる部分で、右端に「入力ソース」と「システムメニユー」、中央に今の日付と時刻、左端に「アクティビティ」があります。「入力ソース」というのは、日本語入力の状態の表示で、ここで設定の変更もできます。「システムメニュー」は、ネットワークの状態、音量、背景・外観の設定、電源操作、ログアウトなどができます。「アクティビティ」は、superボタン(Windowsキー)を押すのと同じで、開いているアプリやウインドウを一覧表示し、ワークスペース(Windows11でいう「デスクトップ」)の切替もできます。ちなみに、Ubuntu24.04では「i」が横に寝たようなアイコンに変わっています。

 画面左側にある縦長の部分は「ドック」といい、Firefoxなどのよく使うアプリをすぐに起動できます。ドックの最下部のマーク(アプリケーションリスト)をクリックすると、インストールされている各アプリが起動できます。ドックからアプリを起動すると、ドック内のアイコンにオレンジ色の「・」マークが1つ付き、同じアプリをもう1つ起動すると、ドック内のアイコンの「・」マークが2つになります。100個開いたら、「・」マークも100個付くのかどーか、知らんけど。

 「ファイル」は、Windowsでいう「エクスプローラー」で、ファイルマネージャーです。もう少し名称を工夫できなかったのか、開発者は語彙不足ではないかと思います。「ファイル」内のフォルダを選択した状態でマウスを右リクックして新しいタブで開くことができます。右上のハンバーガーメニュー(漢字の「三」のようなアイコン。ハンバーガーというよりサンドイッチのように見える。)では、「新しいウィンドウを開く」、「隠しファイルの表示・非表示」などの操作ができます。

・ウィンドウ操作、ワークスペースの操作

 ウィンドウは、マウスで移動や大きさの調整ができるほか、右半分や左半分にタイリングすることもできます。

 ワークスペースは、アクティビティ画面で、マウスのホイールで変えられます。通常の状態では、キーボードで「Ctrl」+「Alt」+「左右の→キー」でも切替られます。

・日本語対応

 日本語表示も日本語入力も、はじめからMozcが入っていて対応済みになっています。日本語Remixだからなのか、そうでない通常のUbuntuでもそうなのか知らんけど。自分は「かな入力」なので、「入力ソース」で設定します。Mozcの入力モード切替は、「半角/全角」ボタンで変更できます。

 ちなみに、「言語サポート」で、「言語サポートが完全にはインストールされていません」という表示が出るので、インストールしたくなるのですが、「詳細」を見ると、libreoffice-help-en-gbなど、全て「en」が入っているので、英語に関するもののようで、日本語には関係ないような気がします。もちろん英語関係でもインストールして害はないようにも思いますが。そもそも、言語サポートは、英語と指定した言語が対象で、英語は必須になっているようです。完全には他言語対応してない部分があるからかもしれません。

・アプリケーション

 あらかじめ入っているアプリは、LibreOffice、Firefox、Rhythmboxぐらいで、少ないです。Rhthmboxは、音楽CDを取込む機能がありますが、裁判所のように遅いので、使い物になりません。音楽CDの取込みは別のアプリを入れる必要があります。

 新しいアプリのインストールについては、ドックから起動できて表示もきれいな「Ubuntu Software」があります。アプリケーションリストから起動する「ソフトウエアとアップデート」では、Ubuntuのリポジトリ(APT)にある4分類(main, universe, restricted, multiverse)のそれぞれからダウンロードする、しないなどが設定できます。「Ubuntu Software」でインストールできるのは、Ubuntuの公式リポジトリ(debパッケージ)とSnapパッケージということです。アプリによっては、debパッケージとSnapパッケージの両方がインストールできる場合があるそうで、例えばDVD再生に使えるVLCがそうでした。画面右上の「ソース」で選択できます。ちなみにVLCの場合、Snapパッケージは複数のバージョンが選択できるのですが、デフォルトで一番新しいバージョンになっていないので、少々驚きました。普通、デフォルトでは最新バージョンをインストールするようになっているべきと思うのですが、違いますかね? これは「トラップ」かい?

 ちなみに、「Ubuntu Software」からは、GUIアプリだけでも数千、ライブラリやユーティリテイを含めると数万種類のアプリがインストールできるということなので、とてもフォローしきれまへんし、自分の古いPCではまともに動かないものもあるんでしょうけど、すごい数です。

・メモリ使用量とCPU使用率

 以前インストールしたとき、メモリ使用量とCPU使用率が多めでした。再度確認してみます。前回と同様、FirefoxからYoutubeでPerfumeのElectro Worldを再生すると、メモリ使用量は2.2GB、CPU使用率は35%程度で変化しているように見えます。なぜか前回よりも低いですね。ただし、次の動画に切り替わる時はCPU使用率が100%近くに上がりますが。いやあ、自分のやることはいいかげんだからと思いつつ、Youtubeの再生を止めてしばらく様子を見ていたら、CPUの片方の使用率がずーっと100%近くになっています。あれれ?どうしたんでしょう。Isolated Web CoというプロセスがCPU使用率を上げているようで、これはFirefoxのWebコンテンツ処理プロセスで、CPUを多く使うことがあるそうです。うーん、何だかよくわかりませんが、何がしか心配がある場合、ブラウザを変えるという選択肢もありますね。

 BRAVEに変えると、メモリ使用量は2.1GB、CPU使用率は25%程度で変化しているように見えます。短時間で評価できないかもしれませんが、ブラウザによっても違うようです。BRAVEは、広告をカットしてくれるので気に入っているのですが、起動時にパスワードを求められるのがうっとーしいので、解除すると快適です。

 しからば、ということで、ブラウザのChromiumを入れて試したところ、メモリ使用量は2.3GB、CPU使用率は25%程度で変化しているように見えます。

 次に、OpenSUSE Leap 16.0というLinuxディストリビューションを試してみます。OpenSUSEはslackware系のLinuxということで、もちろん吾輩は何のことか知らんのですが、初心者にも使いやすいという情報があったので試してみます。

 インストールはこれまでどおり、公式サイトからisoファイルをダウンロードし、インストール用DVDを焼いて古いNEC-MATEにインストールしようとしたのですが、何とインストールできまへん。是非も無し・・・