これまで、古いNEC-MATEに初心者向けという情報のあったいろいろなLinuxディストリビューションを、12のチェック項目で評価したところ、満点だったものが10ありました。ハードとの相性などがあるし、PCでやりたいことが違えば評価結果も変わるとは思うので、あくまで吾輩が手持ちのWindows11に移行できなかったPCでの評価ですけどね。
・インストール これが全然できないと話になりませんが。
・日本語化(日本語表示と日本語入力)
・システムモニタ(CPU使用率、メモリ使用量等の表示)
・ウェブブラウザの動作
・ウェブブラウザ上でのYoutubeの動画再生
・ウェブブラウザ上での abema動画再生
・Amazon Prime Videoの再生
・プリンタ印刷
・DVD再生
・音楽CDの取込みと再生
・USBメモリの読み書き
・Dropboxの動作
以上のことが異常なくできて、設定も含めてGUI操作でできる場合に減点なしにしました。以上の全項目で減点が無かったディストリビューションを、もう少し詳しく使用感をレビューしていきたいと思います。
最初に登場は、Ubuntu 日本語Remix 22.04です。Ubuntuの最新版は24ですが、日本語Remixの最新版が22.04だったということと、バージョン24への移行が可能なことも選んだ理由です。Ubuntuは、日本でも各種ディストリビューションの中でかなり多く利用されているディストリビューションの1つで、本もいろいろ出版されているので、初心者が選ぶべき最有力候補のようです。
インストール方法も、いろいろな本やウェブ上での日本語の情報が出ているので、ここでは省略しますが、非常にスムーズに進み、安心感があります。
・デスクトップの構成
インストールが終わって、Ubuntuを起動すると、Windowsとは趣の違うデスクトップ画面が現れます。吾輩も全然詳しくないのですが、GNOMEというデスクトップ環境と、グラフィカルシェルにGNOME Shellを使っていることによります。Windowsとは表示も操作方法も違うので、とまどう可能性大で、好みが分かれるようです。画面の上部の横長の部分が「トップバー」と言われる部分で、右端に「入力ソース」と「システムメニユー」、中央に今の日付と時刻、左端に「アクティビティ」があります。「入力ソース」というのは、日本語入力の状態の表示で、ここで設定の変更もできます。「システムメニュー」は、ネットワークの状態、音量、背景・外観の設定、電源操作、ログアウトなどができます。「アクティビティ」は、superボタン(Windowsキー)を押すのと同じで、開いているアプリやウインドウを一覧表示し、ワークスペース(Windows11でいう「デスクトップ」)の切替もできます。ちなみに、Ubuntu24.04では「i」が横に寝たようなアイコンに変わっています。
画面左側にある縦長の部分は「ドック」といい、Firefoxなどのよく使うアプリをすぐに起動できます。ドックの最下部のマーク(アプリケーションリスト)をクリックすると、インストールされている各アプリが起動できます。ドックからアプリを起動すると、ドック内のアイコンにオレンジ色の「・」マークが1つ付き、同じアプリをもう1つ起動すると、ドック内のアイコンの「・」マークが2つになります。100個開いたら、「・」マークも100個付くのかどーか、知らんけど。
「ファイル」は、Windowsでいう「エクスプローラー」で、ファイルマネージャーです。もう少し名称を工夫できなかったのか、開発者は語彙不足ではないかと思います。「ファイル」内のフォルダを選択した状態でマウスを右リクックして新しいタブで開くことができます。右上のハンバーガーメニュー(漢字の「三」のようなアイコン。ハンバーガーというよりサンドイッチのように見える。)では、「新しいウィンドウを開く」、「隠しファイルの表示・非表示」などの操作ができます。
・ウィンドウ操作、ワークスペースの操作
ウィンドウは、マウスで移動や大きさの調整ができるほか、右半分や左半分にタイリングすることもできます。
ワークスペースは、アクティビティ画面で、マウスのホイールで変えられます。通常の状態では、キーボードで「Ctrl」+「Alt」+「左右の→キー」でも切替られます。
・日本語対応
日本語表示も日本語入力も、はじめからMozcが入っていて対応済みになっています。日本語Remixだからなのか、そうでない通常のUbuntuでもそうなのか知らんけど。自分は「かな入力」なので、「入力ソース」で設定します。Mozcの入力モード切替は、「半角/全角」ボタンで変更できます。
ちなみに、「言語サポート」で、「言語サポートが完全にはインストールされていません」という表示が出るので、インストールしたくなるのですが、「詳細」を見ると、libreoffice-help-en-gbなど、全て「en」が入っているので、英語に関するもののようで、日本語には関係ないような気がします。もちろん英語関係でもインストールして害はないようにも思いますが。そもそも、言語サポートは、英語と指定した言語が対象で、英語は必須になっているようです。完全には他言語対応してない部分があるからかもしれません。
・アプリケーション
あらかじめ入っているアプリは、LibreOffice、Firefox、Rhythmboxぐらいで、少ないです。Rhthmboxは、音楽CDを取込む機能がありますが、裁判所のように遅いので、使い物になりません。音楽CDの取込みは別のアプリを入れる必要があります。
新しいアプリのインストールについては、ドックから起動できて表示もきれいな「Ubuntu Software」があります。アプリケーションリストから起動する「ソフトウエアとアップデート」では、Ubuntuのリポジトリ(APT)にある4分類(main, universe, restricted, multiverse)のそれぞれからダウンロードする、しないなどが設定できます。「Ubuntu Software」でインストールできるのは、Ubuntuの公式リポジトリ(debパッケージ)とSnapパッケージということです。アプリによっては、debパッケージとSnapパッケージの両方がインストールできる場合があるそうで、例えばDVD再生に使えるVLCがそうでした。画面右上の「ソース」で選択できます。ちなみにVLCの場合、Snapパッケージは複数のバージョンが選択できるのですが、デフォルトで一番新しいバージョンになっていないので、少々驚きました。普通、デフォルトでは最新バージョンをインストールするようになっているべきと思うのですが、違いますかね? これは「トラップ」かい?
ちなみに、「Ubuntu Software」からは、GUIアプリだけでも数千、ライブラリやユーティリテイを含めると数万種類のアプリがインストールできるということなので、とてもフォローしきれまへんし、自分の古いPCではまともに動かないものもあるんでしょうけど、すごい数です。
・メモリ使用量とCPU使用率
以前インストールしたとき、メモリ使用量とCPU使用率が多めでした。再度確認してみます。前回と同様、FirefoxからYoutubeでPerfumeのElectro Worldを再生すると、メモリ使用量は2.2GB、CPU使用率は35%程度で変化しているように見えます。なぜか前回よりも低いですね。ただし、次の動画に切り替わる時はCPU使用率が100%近くに上がりますが。いやあ、自分のやることはいいかげんだからと思いつつ、Youtubeの再生を止めてしばらく様子を見ていたら、CPUの片方の使用率がずーっと100%近くになっています。あれれ?どうしたんでしょう。Isolated Web CoというプロセスがCPU使用率を上げているようで、これはFirefoxのWebコンテンツ処理プロセスで、CPUを多く使うことがあるそうです。うーん、何だかよくわかりませんが、何がしか心配がある場合、ブラウザを変えるという選択肢もありますね。
BRAVEに変えると、メモリ使用量は2.1GB、CPU使用率は25%程度で変化しているように見えます。短時間で評価できないかもしれませんが、ブラウザによっても違うようです。BRAVEは、広告をカットしてくれるので気に入っているのですが、起動時にパスワードを求められるのがうっとーしいので、解除すると快適です。
しからば、ということで、ブラウザのChromiumを入れて試したところ、メモリ使用量は2.3GB、CPU使用率は25%程度で変化しているように見えます。