私は、貧しい家庭で育った。

 子供の頃に、腹いっぱいご飯を食べた記憶がない。

 いつも、腹をすかしていた。

 小学校の給食が、唯一の贅沢だった。

 中学からは弁当になり、毎日、麦飯に梅干し一つの弁当だった。

「貧乏人」

 クラスの全員が、そう私を呼んでからかった。

 子供とは、残酷なものだ。

 いや、子供だけではない。

 大人はもっと残酷だ。

「あの子とだけは、付き合っちゃ駄目よ」

 多くの親が我が子に言っているのを耳にした。

 私や、私の親の前で、聞こえよがしに言う親もいた。

 中には、「貧乏がうつる」とか、「親がきちんとしていないから、貧乏なのよ」という親までいた。

 私の父親は病弱だったが、それでもなんとか頑張っていた。

 母親も、パートで家計を助けていた。

 そんな親を見ていたのもあるが、「卑屈になるな」という親父の教えも大きい。

 子供の頃にどれだけ嫌な思いをしても、今、私はまっとうに働いている。

 そして、家庭も築いて幸せに暮らしている。