これまで、夜の遊びはしたことがなかった。

 だから、キャバクラなんてところに勤めている女性は、みんな男を食い物にしていると思っていた。

 確かに、そういう女性もいる。

 しかし、大半は職業としているだけだ。

 人には、得手不得手、向き不向きがある。

 夜の世界に勤めている女性は、向いているか、なにか事情を抱えているか、単に金を稼ぎたいだけか。

 そんなところだ。

 得意先を接待するため、初めてキャバクラに行った。

 そこで出会ったキャバ嬢と、十年経った今でも交友が続いている。

 その子は、数年前に夜の世界を卒業し、今は自力で稼いでいる。

 まさか、夜の世界の女性と友情関係を持てるとは思わなかった。

 人は、職業で判断しがちだが、職業で人間性は測れない。

 誰でも羨ましがるような大企業に勤めてtいても、クソみたいな人間はいっぱいおり、社会の底辺をいっている会社に勤めていても、崇高な人間はいっぱいいる。

 キャバ嬢なんて、馬鹿にするか、寝る対象としか思っていない客も大勢いるが、その人間性を認める客も大勢いる。

 クソみたいな客ばかりだったら、キャバ嬢も持たないだろう。

 世の中は、なんでもバランスで成り立っている。