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さらに特番:時事ネタで学ぶ固定資産税

国会議員の自宅や事務所の不動産登記が長年にわたって行わず、固定資産税が課税されていなかったことが報道されました。

今回は、固定資産税です。

土地や家屋(=建物)を保有していると毎年課税されます。納税義務者の原則は所有者ですが、質権が設定されているならば実際に使える質権者、100年以上の地上権が設定されているなら地上権者です。


所有者とは、その年の1月1日現在に固定資産課税台帳に登録されている者です。途中で売買などにより所有権の移転が行われても、その年の納税義務者は売主であり、変更されません。個別の売買契約などで固定資産税の負担割合を所有期間で按分するのが一般的ですが、あくまでも当事者間の約束にとどまります。今回のケースでは、未登記のため家屋の存在が確認されず、固定資産課税台帳が作成されていなかった模様です。


固定資産税は地方税の中でも市町村税なのですが、東京23区は都税となっています。

税率は1.4%が標準税率です。「標準」ですから市町村により高い場合もあります。夕張市の場合、税率は1.45%です。

税金のかかる大元である課税標準は固定資産税評価額です。こちらは3年に1度見直すのですが、見直しにより税負担が激変しないように、負担調整措置というものを講じています。

なお、住宅用土地および新築住宅には、税負担を軽減する特例があります。200201No.441.442を参照ください。試験でもよく出題されます。

さらに、市街化区域内(≠都市計画区域内)の土地と家屋には、固定資産税に加えて、都市計画税が課税されます201No.443)。都市計画区域は日本の国土の約4分の1で、市街化区域は約4%、市街化調整区域は約10%程度に過ぎません。

今回も特番:時事ネタで学ぶ不動産登記

前回の続きです。国会議員の自宅や事務所の不動産登記が長年にわたって行われていなかった、という報道がありました。

不動産登記は不動産登記法によってそのルールが定められていますが、平成17年より全文改正された新法が施行されています。


全文(=すべて)改正した理由は、ペーパレス制度に対応できなくなった、ということです。現在、9割を超える登記所(正しくは法務局といいます。)では、不動産登記はコンピュータ化されています。このような法務局をコンピュータ庁といいます。また、従来の「紙」で登記簿ができている法務局をブック庁といいます(この呼名はあまり普及していませんにひひ)。

登記簿は、不動産(土地や建物)の姿や形を公示する「表題部」と、所有権や抵当権や借地権などの権利関係を公示する「権利部」で構成されます。


建物を新築すると、表題部の登記(表題登記)を申請しなければなりません。不動産登記法では次のように定めています。

47条1項

新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、表題登記を申請しなければならない

そして、表題登記を申請しないと

第164条

第36条、第37条第1項若しくは第2項、第42条、第47条第1項(第49条第2項において準用する場合を含む。)、第49条第1項、第3項若しくは第4項、第51条第1項から第4項まで、第57条又は第58条第6項若しくは第7項の規定による申請をすべき義務がある者がその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処する。

という罰則も定められています。

過料は、罰金とは異なり、刑罰ではなく、行政上の秩序を維持するために行政法規の違反の程度が軽微で反社会的行為に至らない場合に科する行政処分です。過料は前科にはなりません。

宅建試験では、取引主任者証に関する過料の規定があります(p.147No.332)。

なお、登記をするには、「登録免許税」という国税が課税されるのですが、表題登記には原則として課税されません

なお、本件では、「工事中は納税できないと言われていた」と釈明している旨報道されています。確かに完成しなければ登記はできません。完成前の建物を「建前」といいますが、実際にどのような段階にあったのかは不明です。サグラダ・ファミリアのような壮大な建築物だったのでしょうか。

また特番:時事ネタで学ぶ建築確認

国会議員の自宅や事務所の不動産登記が長年にわたって行わず、固定資産税が課税されていなかった、および、自宅が建築基準法の建築確認を受けていなかったことが報道されました。

建築確認は建築基準法でも、最頻出分野の1つです。

違法建築を防ぐために、建築物を建築するには「建築確認」が必要です。建築とは、新しく建てる「新築」以外に床面積が増える「増築」や建替えの「改築」、同一敷地内でずらす(曳き家)「移転」があります。


耐震偽装の問題もあり、建築の手続きは厳しいものになっています。

大別すると

図面段階でのチェックが建築確認


問題がなく確認済証書の交付を受けると着工


特定工程(梁や床の配筋工程)終了時(=完成前に)中間検査


完成したら完了検査


検査済証の交付を受け使用開始

となります(中間検査は階数3以上の共同住宅など一定規模以上の建築物に必要です。)。

建築確認申請は、建築主(施主)が行います。建築確認の審査、中間検査、完了検査は建築主事または指定確認検査機関が行います。

ただし、10㎡以内の増築・改築・移転は、防火地域・準防火地域以外では建築確認が不要となります。


3坪≒6畳≒10㎡です。


また大規模な修繕や模様替えには確認が必要な場合や山奥の新築には確認が不要な場合もあります。

詳しくは、p162のNo.364365をご覧ください。