キミカレ南くんのネタバレです。

知りたい方だけお進みください。






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第29話 開けてください。






翌日。

学校も休みで、外は雨。


私はまたベッドに寝転がって、

ただボーッとしていた。

ふと枕元をみると、

携帯がチカチカ光っている。




エ「またか……」



どういう経路で知ったのか、

お兄ちゃんが事故にあったのは

本当かというメールが、

朝からずっと送られて

来ている。


だいたいは遊園地に行った

メンバーで、たまに知らない

アドレスの女の子から

メールがあった。


椿さんからは着信も

あったけど、出られなかった。

今は人と話すことを

したくない。


明日の学校もゆううつで

仕方ない。



エ「はあ……」



口を開くと、ため息ばかり。


そんな時、ドアのノック音。



エ「……なに?」

母「千歳くん、

 来てるんだけど……」


エ「……っ!?」



飛び起き、部屋のドアの

前まで行くけど。


会えない……。

会えないよ……。


というか、なんで

ここに来てるの?


今日の朝聞いた話では、

2、3日の検査入院って

言ってたのに!



母「会ってあげないの?

 病院、抜け出したみたいよ?」

エ「じゃあ、病院に

 送ってあげてよ」



ドアに背をつけて、

お母さんがドアから

立ち去るのを待つ。


「あらあら」という声と共に

階段を下りる音がして、

ドアから離れて窓から

外を見る。



エ「あ……」



目は合ってない……

と思うけど、

そこにお兄ちゃんの姿が

見えて隠れてしまう。



エ「雨なのに、病人なのに、

 なんで来てんの!」



どんな顔して会えばいいのか

わからない。

いまは会いたくない、

でも会いに来てくれて嬉しい。


帰ってと言ってしまうけど、

本当は帰らないでと思ってる。



エ「こんなんで普通に

 話せるようになるのかな?」



そう呟いて、

もう一度外を見る。



エ「雨がさっきより、

 酷くなってる……」



窓を閉めていても、

音が聞こえるくらいに。


当たりを見渡し、

お兄ちゃんの姿がそこには

もうなくてホッとする。



エ「濡れないで帰れると

 いいけど」



そう息をついたのと、

同時に--


バンバンという、

妙な音のノック音が

部屋に響く。


部屋のドアを開けてみるけど、

誰もいない。


むしろ、いまの音は

いつもの音じゃ……。


そしてゆっくりと

部屋を見回す。



エ「……!!」



見回して、ノック音の

根源を見て、固まる。



エ「なんでっ……!」



それを見て、後ずさり。

ベッドの足にかかとがあたって、

そのままベッドに尻もち。



エ「お……兄ちゃん」



通りとは反対側の、

小さい柵つきの大きな窓に

お兄ちゃんの姿。


確かにこっちの窓は、

隣の家との境にある塀があるし、

屋根もある。


そばにある木も使えば

登ってこれるけど!


でも、なんで……。



エ「……」



お兄ちゃんの真剣なまなざしに

すいよせられるように、

窓へと近づく私。


そして--



千「開けてください」
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窓越しでも声は聞こえる。

少しこもってる感じだけど。



エ「なんで?」

千「話が……

 話がしたいんです」


エ「私は話なんて……

 ないよ」



本当は謝らなきゃいけないし、

言いたいことも

聞きたいこともある。


でも今はまだ……。



エ「危ないよ。

 それに風邪ひいちゃうよ

 はやく病院に帰って!

 検査あるんでしょ!?」



そう言って窓に顔をつけて

うつむく。


そしたらコツっと音が

聞こえて顔を上げると、

お兄ちゃんも顔をつけて

祈るように目をとじ、



千「耐えられないんです。

 君を傷つけたままなんて。
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 じっとしてられないんです

 だから……」



顔を上げたお兄ちゃんと

目が合う。

そこにいつもの笑顔はなくて、

本当に必死の表情。


だけど私はそんなお兄ちゃんを

前にしても素直になれない。



エ「……優しいね

 優しすぎるよ、お兄ちゃん

 どうして優しくするの?

 どうしてこんなことまでするの?

 今、優しくされると……。

 私、ツラいよ……」


千「好きだからです」
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エ「……!」

千「君が好きだから、

 来ました。

 ちゃんと話をするために

 だから……

 開けてください」

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そう言った、お兄ちゃんの

頬に雨が髪から伝い落ち、

一瞬ドキっとする。


そのくらい、お兄ちゃんは

今にも泣き出しそうな顔をしていた。






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【By千歳

はっきりさせなくて本当に

ごめんなさいです。

でも……今日、ちゃんと

お話しします。】