キミカレ南くんのネタバレです。
知りたい方だけお進みください。
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第28話 今度は……。
お腹が空いて、
ふと目に入った店で
ランチして……。
観たいと思ったこともない
映画を観たりして……。
なんか色々してたら、
もう夕方になっていた。
エ「帰ろう……」
……。
ゆっくりと家までの
道を歩く。
家に帰ったら、
とりあえずお風呂入ろう。
お風呂入って……
それから……あとは。
????「やっと、見つけた……」
エ「……え
お……にいちゃん?」
千「えりちゃん、
走って来たのか、
肩で息をしている
千歳お兄ちゃん。
エ「話……なんてないよ」
だって、つきあってないんだし。
それにいまはひとりに
してほしい。
エ「じゃあね」
そう言って、
私はお兄ちゃんの横を
通り過ぎようとした。
だけど。
千「待ってください!」
腕をつかまれ、
引き止められる。
もう……
放っておいて欲しいのに!
なんでついてくるの?!
引き止めるなら、
追いかけてくれるなら、
もっと早く……
来てくれれば。
遊園地で
引き止めてくれれば
いいのに!
千「少しだけでいいんです。
僕は……」
エ「イヤ!」
つかんでるお兄ちゃんの
手をどうにか
ふりほどこうとするけど、
全然ふりほどけなくて。
泣きそうになる。
エ「もう……
もう……ヤダ!
嫌いだよ、お兄ちゃんなんて」
千「……っ」
嫌いという言葉に反応し、
お兄ちゃんの力が
ゆるんで腕が自由になる。
エ「……!」
お兄ちゃんに背を向けて
走り出す。
エ「……え」
走り出して通りに
出ようとした瞬間、
千「えり!」
バイクが角を
曲がってきて--
ぶつかる!
……と思ったけれど。
エ「……」
痛くない。
地面に座ってはいるものの、
ぶつかりそうになった
バイクの人はもういない。
ぶつかってないの?
私が転んだだけ?
それに……この腕は……。
???「良かった……」
エ「……!
お兄ちゃん!?」
私を後ろから
抱きしめるようにして、
塀に背をついて力なく……
座っているお兄ちゃん。
ううん、座ってるんじゃなくて……、
これって……。
千「えり……」
エ「……っ」
ゆっくりと手をあげ、
私の頬にふれるお兄ちゃん。
千「怪我、ないですか?
痛いところ……は?」
エ「ない、ないよ!」
千「……そうですか
良かった、今度はちゃんと
そう言って、
お兄ちゃんの手が私から離れ、
下に落ちた。
それから、私は……。
慌てながらも救急車を呼んで、
家に電話をした。
そしてすぐにおばさんと
お母さんが来て、
なにがあったかを
混乱しながらも説明し……。
とりあえずお兄ちゃんは
無事で、
主立った外傷もなく、
すぐに退院できるらしい。
だから今日は帰るように
おばさんに言われ--
…………
……
気づいたら、
自分の部屋のベッドにいた。
少し寝てたのか、
頭がボーッとしてる。
どうやってここに
帰って来たのか、
なにをおばさんとお母さんに
言ったとか、あまり覚えてない。
ただ、お兄ちゃんが苦しそうに
していたのしか覚えてない。
救急車の中で、ずっと
『ごめんなさい』って
お兄ちゃんが言ってて……。
きっと謝ってる相手は
私で……。
胸がぎゅっと
しめつけられた。
なんであそこで話を聞いて
あげられなかったんだろう。
私が走り出さなければ、
こんなことには……!
エ「また迷惑をかけて、
怪我させて……
もう嫌われちゃったかな?」
……そう思うけど、
絶対にそれはないと
心が答える。
エ「お兄ちゃん、優しいもんね」
お兄ちゃんの話って
なんだったんだろう。
それに『今度は守れた』って
……もしかして。
昔のこと、気にしてる?
エ「お兄ちゃんが私に
優しいのって、私のことが
好きっていうよりも、
私を傷つけないようにしてる
だけなのかもしれない」
だからあの時『好き』って
言ってくれた。
でも、本当に恋愛の
『好き』じゃないから……。
エ「つきあってない……」
寝返りをうち、
体を丸める。
好きだけど、イライラして
顔も見たくなくて……。
でも嫌われたくなくて。
幼なじみ以上になりたい。
だけどそうなれないなら、
せめて幼なじみに戻りたい。
エ「私……
お兄ちゃんに怪我させといて、
自分のことばっかり……」
そんな自分がイヤになり、
部屋の壁を叩く。
そして、もう何も
考えたくなくて……
枕に顔をうずめて目を閉じた。
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【By千歳
君に怪我がなくて……
本当に良かったです。
今度はちゃんと守れました。】


