キミカレ南くんのネタバレです。

知りたい方だけお進みください。





**************************************************


第15話シークレット 葛藤






なんでこんなことに……。

そう思いつつも、

やっぱり会えるのは

嬉しくて。


ついついきてしまった。


けど、彼女が僕と

目を合わせてくれない。

……まあ、昼間あんなことを

言ってしまったから

無理もない。




千「あの、おばさんに

 帰り道で会って……

 前に君がうちで夕飯を

 食べたから今度は僕が

 食べに来る番だと誘われまして

 すみません。

 来てしまいました」
split second



変に意識しても仕方ないし、

彼女に変に思われるかも

ということでいつも通り

笑顔で言ってみる。


だけど彼女は無言で、

うつむいていて……。


どうしたらいいんだろう。

自業自得ですが、

どうにかしないと幼なじみの

関係も壊れてしまいます。


頑張っていつも通り、

接してみるのが

一番かもしれない。


そう思って、

笑顔で話してみる。




千「それにしても、

 部屋、変わりましたね

 ちょっと来ないうちに

 大人っぽい部屋になりました」


エ「……ねえ、お兄ちゃん?」

千「はい


 ……っ」



返事をして振り返ろうと

思った瞬間。
split second

背中に小さい衝撃。



千「あ、あの……。

 えりちゃん、あのっ」




ふと下を見ると、

自分の腹部あたりに

彼女の小さい手。


そして背中には柔らかく

あたたかい彼女の身体が

密着していて……。


身体が固まってしまう。

どうにかして背中に意識が

いかないように、

深く色んな事を

意識しないように、

考えないように深呼吸をする。


だけどリラックスせずに、

一応緊張状態は保っておく。



エ「聞きたいことが

 あるんだけど」

千「あ、はい!

 なんでしょう」



……情けないです。

声がひっくりかえりました。
split second



エ「お兄ちゃん、

 私のこと好き?」

千「……っ!?」



えっ。

急に、なにを?


もしかして昼間のことが

原因でしょうか。

というか、それしか

考えられませんよね。




エ「ちゃんと答えてくれるまで

 離れないからね?」



ええ!?

そんな……。


質問と彼女の言葉に

驚いてとけかけていた緊張が

さらに増す。



エ「お兄ちゃん……

 答えて?」



その声と同時に、

彼女の腕の力が強くなる。

なにか不安なことがあったり、

泣きそうな時に抱きついてくるのは

昔と変わらないんですね。


彼女のそんな行動に、

なつかしさと愛しさを感じ、

彼女の手に

自分の手を重ねる。



エ「……!」



彼女が少し

身じろぎをする。



千「……」



今、この瞬間に、

正直に自分の気持ちを

言えたら……。

ふとそんな考えがよぎる。


だけど、そんな資格は

自分にはない。

しかも今は教育実習中。


だけどまたここで彼女を

拒絶したら、昔みたいに

どこかにいってしまうかも

しれない。


前以上に、

傷つけてしまうかもしれない。

でも……もう、

ウソはつけない。

つきたくはない。



だから深い意味を

持たせないように、

物の好き嫌いを答える感じで

言ってみよう。


そして気持ちを落ち着け、

吐く息にのせて、



千「好きですよ

split second

 君のことは好きです。

 昔からとても可愛い子だと

 思ってますよ」

エ「……っ」



そう言ったあと、

彼女の身体が強張ったのが

わかった。


そして徐々に腕から

力が抜けていく。


……声を、

かけたほうがいいでしょうか?




千「……あのっ」


母「千歳くーん、

 えりー!

 ご飯出来たわよー!」


千「……あ、

 ご飯出来たみたいですね」




階段下からの声に負け、

彼女に僕の声は

届かなかった。


でも逆にそれで

良かったのかもしれない。



エ「……!」



ゆっくりと彼女の手を

ほどいて、うつむいている

彼女の頭をなでる。



千「先に行きますから」



そう言って、固まってる

彼女を置いて部屋を出た。


扉を閉めて、目を閉じ、

少し部屋の中をうかがう。


かすかに鼻をすする音と、

涙をこらえる小さな声が

聞こえた。




千「ごめんなさい。

 でも……

 好きなんです。

 本当は、

 本気で好きなんですよ」




**************************************************



【By千歳

君からの唐突な質問には

驚きました。

答えも迷いました。

色々あった日々ですが……。

なんででしょう。

君のクセが変わっていない

ということが今すごく嬉しいです。】