キミカレ南くんのネタバレです。

知りたい方だけお進みください。







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第14話 誰にでも優しい。








今日は屋上でお弁当を

食べよう!ということで

移動中。


友達たちは先に

行ってくれてたり、

パンを買いに行ったりしていて

別行動。




エ「えっと……。

 沙織ちゃんたちは……っと」



キョロキョロと探すと、



エ「……うわっ」



思わず声がもれてしまった。

見たくないものが

あまりにも急に目に

入ってきたから。



女生徒1「南先生、

 今度は私のお弁当

 食べてください!」

千「はい。ですが、あの。

 もう、お腹がいっぱいで……」


女生徒2「じゃあ、これで最後。

 はい、あーん!」

千「えっ!?」


エ「!?」



1年の女の子ふたりに囲まれ、

お弁当を食べている

お兄ちゃん。


女の子のうちのひとりが、

フォークにたまごやきを

さして、「はい、あーん」と

お兄ちゃんの前に出している。


そのたまごやきをじーっと

見つめて固まっている

お兄ちゃん。


そして、女の子たちの顔を

チラっとみて、ため息。


そのあと……。



千「これをしたら

 もうあきらめてくださいね」



そう言って、

口を開けた。


ウソ!?

やっちゃうの!?



千「……ん」

エ「……食べた」


女生徒2「キャー!

 食べたぁ!」

女生徒1「先生、私のも!」


千「これで最後ですよ」




ため息をついて、

うんざりといった表情。

だけど、ちゃんと

女の子に向き合う時は

笑顔のお兄ちゃん。


そんな3人を見つめ、

イライラしつつも……

どこかで仕方ないと

諦めていた。


だって、誰にでも優しい

千歳お兄ちゃんだもん。

私のこと特別って言ったって

幼なじみとして、だろうし。



エ「……」



なんかお兄ちゃんの

言動に嬉しがったり

イライラしたりするの、

もう疲れた。

もう、はっきりさせたい。



千「おや?」

エ「!!」



気づいた!?



千「えりさん!」

女生徒1「あ、南先生!

 どこ行くんですか!」


千「すみません。

 用事が出来ましたので」
split second

女生徒2「えー……!」


千「ごちそうさまでした。

 今度は他の方に

 食べさせてあげてください」



女の子ふたりに笑顔で

そうきっぱり告げると、

お兄ちゃんは私の手を

ひっぱって、屋上を出た。



千「すみません、勝手に

 連れてきてしまって」
split second

エ「別に、いいよ」



友達にはメールしたし、

お兄ちゃんといた子たちと

同じ場所にいたくなかったし。


それに、聞きたいことも

あったから。



千「お茶入れますね。

 ここでお昼食べましょう!」



お兄ちゃんは嬉しそうに、

電気ポットの電源を入れる。




千「これ、ナイショで持ち込んだ

 んです。便利ですよね!」

エ「あのね!

 聞きたいことがあるんだけど」


千「……?

 はい、なんでしょう」



笑顔で私の前に座り、



千「なんでも聞いてください。

 なんでも答えますから」



そう顔を近づける。


だけど--



エ「お兄ちゃんの、

 本命って誰?

 好きな人。

 前からいるんだよね?

 ……誰?」



私の質問を聞いて、

笑顔が消える。



千「そんなこと

 聞いてどうするんですか?」

エ「どうするって……」

 


どうする、とかそういうのは

ないけど。



エ「気になるんだよ!

 お兄ちゃん、誰にでも

 優しいし……

 そんなことしてたら

 本命さん誤解しちゃうでしょ?

 だから、えっと……

 ……あ、そう!

 うん、幼なじみとして

 協力できると思うし!」


千「……

 えりちゃん」

エ「それになんでも答えるって

 言ったよ?」


千「……そう、ですね。

 言わないと、ダメですよね?」

エ「言いたくないけど、私、

 前にフラれてるでしょ?

 お兄ちゃんのこと、ホント

 好きだ……ったんだよ?

 それくらい聞いても

 いいでしょ……?」


千「……ふう。

 そうですね……」



お兄ちゃんは深く息を吐き、

椅子の背に上体をあずけて、



千「ええと、

 あのですね……」



ゆっくりと話し出した。




千「昔とても大切な女の子の

 心を傷つけてしまったんです

 しかも、そのせいで事故にまで……

 だから僕は彼女をもう二度と

 傷つけないと誓っていたんです

 彼女の望む形には

 なれないけど、そばにいて

 守るって決めました
split second


 それから数年。

 彼女が普通に接してくれた

 おかげで、昔みたいに話せるように

 なってきた時のことです


 彼女が他の男の子と

 歩いているのを見て、

 気づいてしまったんです

 自分の気持ちに

 それが高校2年の時です


 後悔しました。

 過去の自分を殴って

 やりたくなったりしました

 そしていまさら言えない僕は

 彼女を避けるようになったんです
split second


 でも、余計に気持ちは

 増すばかりで……

 そう。

 その高2のころから、ですね

 彼女が僕にとって特別で、

 もう彼女にしか愛しいと

 思わなくなったんです

split second


 ……誰だか、

 わかりますか?」



そう言い終わって、

ゆっくりと私と

視線を合わせる。



エ「……っ」



真っ直ぐ見つめられて、

動けない。

声も出ない。



そんな時、電気ポットの

沸騰したという音の

合図が資料室に響き、

ハっと身体の緊張が解ける。



エ「私、そろそろ戻るよ!」



いま動かないと、

またお兄ちゃんの視線に

つかまってしまう。


急いで私はお弁当を

片付け、資料室を出た。



……。



エ「……はあ……」



廊下に出て、少し歩いた

ところで壁に背をつけ

座り込む。


お兄ちゃんは慌てて出ていく

私を見つめてた。

ずっと黙ったまま。



エ「あの話、ホントかな?」



あんな言い方して、

あんな風に私に聞くなんて。


もうホント、『誰か』なんて、

聞き方しなくてもいいのに!



エ「……

 私、期待してもいいのかな」



廊下に座り込み、

落ち着こうと深呼吸をして、

目を閉じる。


パタパタと走る足音と、

予鈴のチャイムが聞こえ、

目を開ける。


そして次にすることを決め、

立ち上がる。



エ「もう一回、ちゃんと聞こう」



今度は私を『好き』かどうか。


ちゃんと聞こう、

そう心に決め、

教室へと戻った。






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【By千歳

まさか君からあんなことを

聞かれるとは思いませんでした。

君は気づいたでしょうか?

僕の本当の想いに……。】