キミカレ南くんのネタバレです。

知りたい方だけお進みください。







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第11話 意外に強い?






男子生徒1「よし、じゃあ…」

男子生徒2「決着をつけるか!」




……。



そんなかけ声で、

始まった男の子同士のケンカ。


ケンカといっても、

本当のケンカじゃなくて。

なんか子どもの時の

遊びの延長っていうか。


まあ簡単に言えば

プロレスごっこの大人版って

感じのものらしい。


なんかやるのはいいんだけど、

なにもしてない側に被害が

出ることもあるから、

できるならやめてほしい。


だから女の子たちは

『止めて』と一応言うが、

聞いてくれない。




エ「須賀くんがいるときは

 絶対やらないしなぁ」



彼がいるときは大人しい。

そんな頼みの綱も

今日は欠席。




エ「怖いから外出てようっと」




私はこんなとこで

こんなケンカを見てる

場合じゃない。

お兄ちゃんのことで

頭がいっぱいなのに。


そう思って席を立ち、

教室のドアを開けた、

それと同時に……。

背中に強い衝撃。



その衝撃を同時に

廊下に押し出され、

勢い余って転ぶ私。


大丈夫!?と側にいた

クラスメイトが

手を差し伸べてくれる。



エ「あ、ありがとう」




なにが起こったの!?

ゆっくり立ち上がり、

後ろを見ると。

男の子がひとり倒れていた。



エ「……あー」




ぶつかったのかと、

ため息をつく。

そして倒れていた男の子に

もうひとりの男の子が

殴りかかろうとした時っ!



強く人を叩いたような

少し鈍い音が廊下に響いた。



男子生徒1「……え?」

男子生徒2「……あ」




ふたりの動きが一瞬止まり、

私も目を見開いた。




千「……」
split second




お兄ちゃん!?


しかも……いつものような

笑顔じゃなくて、

いまは怒ってるような

怖い顔。



そんなお兄ちゃんが、

彼らの間に入り、

ひとりの男の子の拳を

片手で止め、

倒れていた男の子の

肩を押さえ、立たせないように

していた。


そして、ふたりのネクタイを

つかみ、軽々と持ち上げると、


パンっという音とともに

廊下の壁に背をつかせた。




千「そろそろ気づいてください

 まわりの人にまで怪我を

 させる気ですか?

 遊びだろうとなんだろうと、

 暴力はいけません

 そんなにやりたいなら、

 ふたりっきりで

 やってください」



男子生徒1「あ……はい。

 すみませんでした!」

男子生徒2「すんません……」




あの優しい南先生が?

嘘……怖い……。


そんなささやきが

聞こえてくる。


そのくらい、

いまのお兄ちゃんは

真剣な表情で、

荒々しい感じだった。


だけどすごく

カッコイイ……。



……あ。

もしかして、これがあの、

後輩さんが言ってた

麗しのなんとかっていう、

お兄ちゃんの

一面なのかも?


こういう感じに、

ケンカとかしてたのかな?


でも……。

まあなんだかんだ言っても、

根は優しいので、

すぐに笑顔に戻る。



千「反省してくださいね!

 もう二度と教室では

 ダメですよ」



彼らにそう告げると、

お兄ちゃんは私の方へ

駆けてきて。



千「大丈夫ですか?

 怪我とかないですか?」

エ「え、え……」



ペタペタと私の無事を

確認するためか、

背中や肩に触れるお兄ちゃん。




千「あの、ちゃんと

 見せてください。

 服、邪魔だな……」

split second



……え!?


なに言ってんの!?



いや、まあ。

本当に怪我してないか

気になるからだろうけど!


でも……。

ここ……学校だよ!!



エ「あの、先・生?

 そんなに心配しなくても

 大丈夫ですよ」



あえて『先生』というところを

強調する。


それで気づいてくれなかったら、

どうしたら……。





千「…………

 ……!!

split second

 すみません!」



気づいてくれたらしく、

真っ赤になって後ろに

飛び退く。



千「すみません本当に。

 でも君に怪我がなくて

 良かった」

エ「……うん」



じゃあ怪我してたら、

どうしたんだろう。




エ「ねえ、南先生」

千「はい」


エ「怪我してたら、

 どうしたんですか?」

千「え?」


エ「責任とって

 くれるんですか?

 一生、私のそばに

 いてくれるとか」




……なーんて。


というか、そもそも怪我したって、

これはお兄ちゃんのせいじゃないし。


そんなことを考え、

ウソだよと笑おうと

思ったら。




千「はい

 君がそう望むのであれば、

 一生そばにいます」
split second

エ「……」



その言葉に私が

固まってると、

お兄ちゃんは少し顔を

近づけて、

私の耳元で……。



千「君が僕をそばにおいて

 くださるなら……
split second

 本当にずっと、

 そばで守ります」

エ「……え」




そう言った。

冗談、だと思った。

でも、そう言ったお兄ちゃんの

表情がいつもの

優しい微笑みじゃなくて、

すごく真剣で。

まっすぐ私を見ていた。


だから、すぐに本気で

言ってるって思った。


だけど、お兄ちゃんには

『本命』がいる。


だからその言葉は、

すごく嬉しかったけど、

すごく虚しくて……。




エ「こんな小さなことで、

 責任とらなくていいよ

 そもそも、お兄ちゃ……。

 南先生が原因じゃないし!

 それに……そういうこと、

 本命以外の人に

 言わない方がいいよ!」



ちょっと笑い混じりに、

冗談っぽく聞こえるように

言う。


これがいまの限界。


あまり真面目に言うと、

怒ってるように聞こえるし、

拒絶されたとお兄ちゃんに

思われてもイヤだから。


だから、これが限界。


そんな私の頑張りを

消し去るようにお兄ちゃんは

まだ真剣な顔をしていて。



千「こんなこと君にしか

 いいません」

split second


そう言ってそのまま身体を

反転させて廊下を歩いて

行ってしまった。


その姿にみんなが

カッコイイとか、

ギャップ萌えとか

騒いでいる。


だけど私は……。


哀しいのか嬉しいのか。

わけがわかんなくて……。


下唇をかんで、

叫びたくなる気持ちを

こらえた。





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【By千歳

今日、言ったことはすべて

本音です。

君にしかあんなこと、

言いません。

……それよりも、

本当に怪我はなかったですか?】