キミカレ南くんのネタバレです。

知りたい方だけお進みください。





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第8話シークレット 本命




公園から出て、

ふたりとも無言で歩く。


本が入った紙袋を持つ手は

汗をかいていて、

持ち手がボロボロに

なっていた。


隣を歩く友人の渡辺は、

なにか考え事をしているのか

大人しい。


まったく、せっかくの楽しい

休日を邪魔してくれました。


うらめしい目で渡辺を見るが、

当の本人は気づかない様子。


そんな友人を見て、

ため息をはく。


するとそのため息に

気づいたのか、渡辺が

こちらを向いて、

足を止める。




千「なに?

 どうかしました?」

渡「なあ、もしかしてさ?

 お前の本命ってさ」




……!



やっぱり気づいてたんですね。



千「なんですか?」

渡「に、睨むなよ……!

 いやお前さ、あの子には

 他の女の子とちょっと態度が

 違ってたから

 だからちょっとそう思った

 だけだって!

 違うんならいいから。

 もうからかわねーし、

 余計なこと言わねーから」




本当に怖いのか、

降参だと手の平を見せて

後ずさりする渡辺。


その態度に、

ふぅっと息を吐いて

肩をすくめて微笑むと、

渡辺はホっとしたのか、

息を吐いて髪をかきあげた。



千「まあ本命の話は

 嘘じゃないですし

 昔から女の子として好きなのは

 ひとりだけですけど……
split second

 でも気持ちは伝えないことに

 してるんです」



初めて他人に話す、

彼女への思いと自分の考え。




渡「なんで?

 言えばいいんじゃね?

 お前、見た目はいいんだから

 絶対OKもらえるだろ?



本当に疑問に思ったのか、

渡辺は瞬きを何回もさせて

顔を近づけてくる。


その渡辺の顔を手で

押しのけ、距離をとり、



千「見た目でOKとか、

 彼女はそういう考えの

 持ち主ではありません」

渡「……あっそ」


千「そうじゃなくて……」

渡「……?」


千「僕には気持ちを伝える

 資格がないんですよ。

 ひどいお兄ちゃんなんです」
split second


渡「……ふーん。

 なんかいろいろあんのな!」

千「はい」



渡辺は呆れたようにそう言うと、

もうそれからそのことについて

なにも聞いてこなかった。



そしてふたりで店に入り、

長々といろんなことを

話し……。



また会う約束を交わし、

別れた。




千「今日は良い偶然のあとに、

 悪い偶然が2回も……

 こんなこともあるんですね」



そしてふと、一首、

和歌を思い出し空を見る。




千「忍ぶれど 色に出でにけり

 わが恋は物や思ふと

 人の問ふまで



 まずいですね。

 本当にこの通りになって

 しまっています」
split second


このままではいつか本人にも

気づかれますね。


明日からまた気を

引き締めないと……。


そう思いつつも、

もしかして会えるかもしれないという

期待をして、

彼女の家の前を通ってから

帰ろうと足を速めた。





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【By千歳

ホント、今日は焦った。

しかも態度を変えてるつもりは

ないのバレちゃうし。

勘が良すぎです、まったく。】