キミカレ南くんのネタバレです。

知りたい方だけお進みください。





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第7話 昔の友人1







本屋前。

お兄ちゃんがレジを

すませる間、

中で待っていようと思ったけど、

買うものないし

外に出ていた。



エ「次、どこに行こうかな」



もちろん、

お兄ちゃんと。

たぶんここで、

『さようなら』にはならないから。

お兄ちゃんなら、

次は君の用事に

つきあいますくらいは

言う!


……と思う。

昔ならそうだから。



エ「んー…でもこれといって

 用事もないんだよねぇ」



ブツブツ言いながら店の前を

うろうろしていると。



エ「わっ!」

男「痛ぇ」


エ「ご、ごめんなさい」



ぶつかってしまった……。

しかも。

ちょっと見た目が怖い。

なんかまゆげのあたりに

傷あるし!

髪、なんか青いし!

いっぱい

ピアスつけてるしっ。


ど、どうしよう!?

いやもしかしたら話してみると

意外にイイ人だったりとか!




男「おい……」




……ダメだ、

怖い人だった。

睨んでるしっ。

千歳お兄ちゃん早く来てー!


っていっても、

お兄ちゃんとは正反対の人だから、

ケンカになったら、

それはそれで心配だけど。



千「おや。

 えりちゃん?

 どうしたんですか?」

エ「お兄ちゃん!」



よかったー!

来てくれたぁ!



エ「お兄ちゃん

 ……あのね」



店から出てきて、

きょとんと私を

見ているお兄ちゃん。


そして彼とお兄ちゃんの目があって、

なぜかふたりとも一瞬、

動きが止まる。




エ「……?」




そして先に動き出したのは

彼だった。



男「南センパイ!」



そう言って、

お兄ちゃんにかけよって、

ハグ。



エ「……えーー!」



なんで抱きつくの!?

なに?

知り合い、なの?


今度は私が動きを止め、

ポカーンとふたりを

見ていると、



男「あっ。

 ぶつかったとこ、平気か?」

エ「へ?」



彼がお兄ちゃんに

抱きついたまま、

私を見てそう言った。


……えっと。

もしかしてイイ人?


さっきもそれを言おうと

したのかな?



エ「あの、大丈夫です」



私が答えると、

彼は「よかった」と

にっこり微笑んだ。



千「……すみません。

 話すなら離れてください」
split second



淡々と珍しく少し冷めた

態度をとるお兄ちゃん。


いつも誰にでも優しいのに。

苦手な人、なのかな?



男「あ、すんません。

 南センパイに会えて

 嬉しくてつい」



嬉しくてつい、

抱きつくんだ?


千「まったく。

 君は変わっていません。

 その誰にでも抱きつく癖、

 どうにかしてください

 迷惑です」



迷惑!?

お兄ちゃんがそんなこと

言うなんて!



男「あははは!

 センパイも変わってませんね!

 俺に対して遠慮ないとことか!」

千「君にははっきり言わないと

 わかってもらえないようですので」



……。


……えと。


これって私、忘れられてる?




エ「あの、千歳お兄ちゃん?」

千「あっ……」



このままだとふたりの会話を

ずっと聞くだけになりそうな

予感がして、思い切って

声をかけた。


そして……。


彼、里見さんは

お兄ちゃんの高校の後輩、

だという。



エ「高校の時の

 後輩さんなんですか?」

男「そうなんですよー」


千「日本語が通じない

 唯一の後輩でした」


男「なに言ってんすか!

 通じますよ!」

千「では人の話した言葉を

 理解、読解できない後輩という

 ことにしましょう」
split second



笑顔でそう言う千歳お兄ちゃんが

ちょっと怖い。


っていうか、それ、

意味一緒なんじゃ……。


いやもっとヒドイ言い方に

なってるような?


そう笑顔で冷たくも言い放つ

お兄ちゃんにひるむことなく、

彼は私に話しかけてきた。




男「それにしても『麗しの千』と

 幼なじみなんてうらやましい!」

千「!!」



……。



麗し……?

なに?




男「自分もセンパイとそんくらい

 近い存在になりたいですよ

 あの頃はすごかったんですよ!」

千「ちょ、ちょっと。

 里見くんっ」


男「バイク乗る姿も、

 絡まれてる女を助けてケンカする

 姿も!」



バイク!?

ケンカ!?


誰?

誰の話!?


もしかして

千歳お兄ちゃんのこと!?




千「里見くん!

 ストップです!!」



……慌ててるし。

慌てて彼の口をふさごうとする

お兄ちゃんの手をかわし、

彼は目を大きく開き、

すっごく嬉しそうに私に言う。



男「ああ、もう、センパイの

 全てが俺の憧れなんです」

エ「……そう、なんですね」



もうなにがなんだか。

とりあえず、返事を

したけれど。


どう反応していいか

わからない。


彼の言っていることよりも、

とにかく今、

気になるのは。

すべて本当にお兄ちゃんの

ことなのかどうか。


なんか変な名前が

つけられてて、

ケンカをして、

女の子を助けて。


そしてゆっくりと

お兄ちゃんを見ると、




千「里見くん。

 君、本当に正直ものですね、

 うらやましいです」

エ「!!」



いつもの優しい笑顔の

お兄ちゃんだけど、

なんか怖い。

でも彼は怖いなんて

思いもしなかったのか、

ホントですか?

と嬉しそうに頭をかく。


そんな彼をよそに

お兄ちゃんは私の手をとって、



千「さあ。

 えりちゃん、行きましょうです」

エ「え? でも」


千「大丈夫ですよ。

 ほっといても

 彼、上機嫌で嬉しそうですから」
split second



……そういう問題?




千「じゃあ、そういうことで。

 里見くん、さようならです」


男「あ。はい!

 またケツ乗っけてください!

 幼なじみさんも

 また会いましょう!」

エ「あ……」



はい、と返事しようと思ったら、

お兄ちゃんがつないでいた

手を離し、肩を

抱き寄せてきた。


その行為に驚き、

舞い上がってしまって

口を開けたまま、

固まってしまう。


ど、どうしたんだろう。


ドキドキしつつ、

肩を抱かれ、歩きながら

お兄ちゃんの顔を見る。



千「……公園にでも

 行きましょう」

エ「うん」



にっこりと微笑まれ、

表面上はいつも通り。

だけど、今、

私にしていることは……。


お兄ちゃんらしくない。


優しいお兄ちゃん、

じゃなくて……どこか男の人、

って感じがして、

戸惑ってしまう。

だけどイヤじゃない。


むしろ嬉しい。

というか……顔が

にやけてしまう。


お兄ちゃんはどうして

私にこんなことするんだろう。


やっぱり大切な

幼なじみだから、かな?



なんてことをいろいろ

考えながら、歩いて……。



いつの間にか、公園。



そしていつの間にか、

離れているお兄ちゃん。



……残念。




千「さっきはすみませんでした」



はあっとため息をついていると、

お兄ちゃんが申し訳なさそうに

謝ってきた。



エ「え……」



あ、もしかして、

いまのため息、

誤解しちゃった?




エ「あ、ううん!

 全然!!

 気にしてないよ」



うん、本当全然。


というか、お兄ちゃんは

なにを謝ってるんだろう。



千「里見くん、

 いい子なんですが……

 ちょっと思い込みの

 激しい子で」



あ、里見さんのことか。


……じゃあ、

肩を抱き寄せたり

手をつないだことは、

謝るような行為だと

思ってないってこと、だよね?




千「……?

 どうかしましたか?」

エ「え?」


千「すごく、にこにこしてます」

エ「あー……えっと、あはは。

 なんでもないよ」



顔に出ちゃってたんだ……

気をつけないと。


でも、なんでこんな嬉しいって

思うんだろう。


……やっぱり、

私まだ……。



千「えりちゃん?」

エ「あ。うん、大丈夫!」



まずい、心配させてる!?

話題を変えなきゃっ。



エ「あーえっと」



そうだ。

さっきのこと、聞こう!


まずは。



エ「麗しの千って、なに?」

千「!」



麗し……ってのが、

なんかひっかかる。

誰がつけたんだろう。



あと……。



エ「バイク、乗ってたの?」



お兄ちゃんの返事を待たずに

質問をぶつける。



エ「ケンカしたり、してたの?

 今は……?」



するとお兄ちゃんは

咳払いをして、

手のひらを見せ、

ストップ、と私を止める。




千「まず、麗しの……の件ですが、

 あれは里見くんが勝手につけた、

 愛称です
split second

 里見くんにしか通じないので

 気にしないでください。


 あとケンカもバイクも

 してないといったら

 嘘になりますが……

 もうあの時のように無茶なことは

 してませんので心配しないでください」
split second


ね?と顔を近づけて微笑まれ、

つい「うん」と言ってしまったけれど。



千「ふふ。

 10代のときは

 冒険したくなるんですよ。

 いろいろと」



そんなことを笑顔で言っている

お兄ちゃんを見て、

会わなかった数年の間に

なにがあったんだろうと、

すごく気になる私だった。





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【By千歳

まさか彼に会うとは

思っていませんでした。

怖くなかったですか?

結構いい子なんですが……。】