キミカレ南くんのネタバレです。

知りたい方だけお進みください。





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第4話 帰り道






熱があると勘違いされて、

帰宅中。


送ってもらえることになったのは、

すごく嬉しいけど。



エ「……」




幼なじみだし、こうやって

ふたりで歩くことなんて

慣れてるはずなのに。


緊張してる。


それに……。


お兄ちゃん……

また背、伸びた?


それに……こんな、

手とか綺麗だっけ?


ううん、指が長いっていうか。


しかも……ウエスト、細い。

これは、ちょっとムカつく。




千「どうかしましたか?」



チラチラ見ていたのが

気になったのか、

少し背を曲げて顔を

のぞきこませてくる

お兄ちゃん。



エ「なんでもない!」

千「そう?

 それならいいんですけど」




私ににっこりと微笑みを

向けたあと、

また前を向く。


ホント、いつも……

誰に対しても

こんな調子だよね。


他人のことばかりで、

大丈夫なのかなぁ。


……そういえば私、

小学生のころ千歳お兄ちゃんの

こと好きだーって言って、

バレンタインのチョコ渡したことも

あったなぁ。


まあその時は、笑顔で

スルーされたけど。


本気じゃないと

思ったんだろうなぁ。


でも、もし……。

もし今……告白したら

どうなるんだろう。


昔みたいに「はいはい」って

言われるだけなのかな?



千「……えりちゃん」

エ「な、なに?


千「あ……」

エ「?」


千「もう学校でたから

 『ちゃん』でいいですよね?」

エ「あはは。大丈夫だよ」


千「では。

 えりちゃん、

 どうしたんですか?

 なにか僕に聞きたいことでも

 あるんですか?

 今日、穴が開くほど

 見つめられてますし

 答えられることなら、

 答えますから

 なんでも言って下さい。


 あんまり、そうじーっと

 見つめられると ドキドキ

 しますから

split second
 そろそろ止めてください」


エ「ご、ごめん!

 ごめんなさいっ」

千「ああ、いえ。

 そんなに謝らないでください

 ただ、本当……

 言いたいことがあるなら

 言ってくれたほうがいいなって、

 思っただけですから」


エ「あ……うん」



言いたいことなんてない。

避けられてないって

わかったし。


ただ今は見ていたいっていうか。

久しぶりに観察したいって

いうか。


……あ、意味は一緒か。


でも……そばにいて

話したいだけなんだよね。




エ「いまね、思い出してたんだよ」

千「……思い出していた?」



歩きながら少しこちらを見て、

首をかしげるお兄ちゃん。




エ「お兄ちゃんに本気で

 告白して、フラれて……

 落ち込んだときのこと」

千「……!」



お兄ちゃんの足がピタっと

止まって、表情が固まる。



エ「お兄ちゃん?」

千「あ、ああいえ……

 なんでもないです」



声をかけたあ、すぐに

またいつもの笑顔に戻って

歩き出す。


どうしたんだろう。




千「それで?

 ……続きを……」

エ「あー……うん

 それでね。

 家に帰ってもどうせ

 お兄ちゃんがいるだろうし、

 うろうろしてたら……

 家出ってことになってて……」


千「……そうですね。

 半日は帰って来ませんでしたから、

 君は」

エ「それでずっと歩いてたら

 知らない場所に来ちゃって……」


千「……」

エ「でも、見つけてくれたよね!

 さすが、千歳お兄ちゃん」


千「いえ、あれでも

 申し訳ないくらいです。

 遅くなってしまって……」

エ「なんで謝んの?

 助けてくれた本人が」


千「……そう、ですね」

エ「それに謝んなきゃいけないのは

 私のほうだよ!」


千「……え?」

エ「あの時、車にひかれそうに

 なったのを助けてくれたでしょ?

 その時の傷、

 まだ残ってるよね……

 ごめんね」



そう、あの時。

お兄ちゃんに見つけてもらえて

嬉しかったけど。

とっさに逃げてしまった私。


嬉しいけど、会いたくない。

どうしたらいいかわからずに

走った。


そしたら……。



千「気にしないで下さい

 車にひかれて大きな怪我を

 したわけでもないですし

 僕はただ転んで背中を

 ちょっと切っただけです」

エ「ちょっとじゃないでしょ!

 縫ったって聞いたよ?」



そう言うと、お兄ちゃんは

ちょっと困ったように微笑んで、

私の頭を撫でた。




千「……君を助けたのに

 僕の方が軽傷で……」

エ「それ、私が重傷を負った

 みたいだけど……骨にひびが

 入った程度だよ?」


千「でも生活が不自由でした」

エ「そりゃそうだけど……

 助けて貰えなかったら、

 命なかったかもだし!

 だから、お兄ちゃんは

 命の恩人なんです!」


千「……」




……納得してないみたい。

いつもは簡単に折れて

くれるのに、なんでこういうときは

頑固なのかなぁ。


呆れてため息をつくと、

お兄ちゃんが目を丸くさせて

こちらを見る。


そして、にっこり微笑むと、




千「君が無事で良かったです

 でも今後はどこかに行くときは

 ちゃんと言ってくださいね

 大切な人が急にいなくなったら

 心配しますから」
split second

エ「大切な……人?」



私は自分に人差し指を向け、

お兄ちゃんに聞く。


その問いに、笑顔で頷く

千歳お兄ちゃん。




エ「……う、えっと。

 あ……ありがとう」




急に顔が熱くなり、

泣きそうになる。

嬉しい……というか、

きゅっと胸が

しめつけられるような感じ。


お兄ちゃんにとって、

私はまだ大切な存在だった。

それがすごく嬉しい。


昔は言われ続けていたけど、

もう……

会わなくなっていたから、

もう私は忘れられてる、

もう別に大切な人が

出来たんだって思ってた。


でも……!




エ「……っ」



うつむいて、黙ったまま

固まっている私の頭に

手を置いて、髪に指をからめ、

優しく滑らせる。




千「髪、伸びましたね……

 すごく可愛いですよ」
split second


優しい声と言葉が、

余計に思い出や思いを

よみがえらせて

涙がこぼれる。



私……、

私まだ……。




千「これからもちゃんと

 大切な君を守りますから。

 僕を頼って下さいね」
split second



お兄ちゃんのこと、

好きなのかもしれない。




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【By千歳

君とふたり。並んで歩くのは

久しぶりです、嬉しかったです。

また一緒に帰りましょうね。

あと今日は早く寝て下さいね。】