キミカレ南千歳くんのネタバレです。

知りたい方だけお進みください。




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第2話シークレット 視線





教育実習先にこの学園を

選んだのは家から近いと

いうことと、お世話になっている

助教授に、自分の母校へ

行ってくれないかと

頼まれたからだった。


だけどまさか。


えりちゃんが通ってる

なんて……。


知ったのは実習が

始まる少し前。


もう決まってしまった

後だったからどうしようもなかった。


実は数年前から、

彼女をある事情から避けていて、

どこの高校に通っていることも

知らないでいた。


気になってしまうから、

彼女の話は聞かないで

いたのに。



千「……これなら、

 聞いておくんでした」



そしたらここへ

来なかったのに。


しかも彼女のクラスを担当で、

今日は最初の授業。



千「まあまだ僕は

 なにもしませんが……」
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それでも彼女が

同じ教室にいる。



千「はあ。

 前途多難です」



気を引き締めて

いかなくてはっ。




古典教師「じゃあ、今日は

 教科書46ページ、

 『万葉集』のところから」



授業が始まり、生徒さんが

集中する中。

僕は後ろに立って、

授業を見学。


これならえりちゃんの視線も

気にならないし

大丈夫かなと思っていた……。


けれど。



千「…………」



こそこそと話す女の子たち。

しかもこっちを向いて。



千「ほら、ちゃんと前を

 向いてください」



仕方ないので、声をかけると。



女生徒1「やだ、注意されちゃった!」

千「……」



イヤなら前を向いて

欲しいです……。


静かにため息をついて、

キョロキョロしている子たちの

注意をしつつ回っていたら。



エ「じー……」

千「!!」



み、見られてます!

えりちゃんが見て、

ますよね?

気のせいじゃないですよね?


どうしてでしょうか。

とりあえず、焦らずゆっくり

後ろに戻りましょう!


そんなことを思いつつ、

教室の中をゆっくり

歩いていると、

足下に消しゴムが

転がってくる。



千「あ、消しゴム

 落としましたよ」

女生徒2「ありがとうございます、

 南先生」

千「いいえ」



つい拾ってしまったけど。

こんなことしてる場合じゃ

ないです。


早く定位置に戻らないと、

いつか目が合ってしまいそうです。


……まあ、目が合っても

微笑めばいいのですけど。

でもなんで

僕を見ているんでしょうか。


そう首をかしげながら、

やっと定位置についた時。



エ「まさかね」

千「……?」



そんな彼女の声が聞こえ、

振り向くと……。



古典教師「なにが、『まさか』

 なんだ?」



彼女の席の真横に、

古典の先生が立っていた。




エ「…………」

古典教師「君はどこを見て、

 授業を受けていた?

 ……だんまりか」



……大丈夫でしょうか。

そんなに厳しい人では

ないはずだから、注意くらいで

済むとは思いますが。



古典教師「それならいい。

 反省してる、と判断し……」



あ、良かったです。



古典教師「君の好きな和歌や

 歌を……そうだな、いくつにしようか

 10首、選んで訳してきなさい。

 それを明後日提出ね」

エ「えっ!?」


千「っ!?」



それは少し多いのでは

ないでしょうか。


といっても、僕はかばえないし。

どうしたら……。



千「あ、そうです」



ここでなにかをするよりも

課題を手伝ってあげれば

いいんです。
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そう思って、ノートを少し

破り、そこにペンを走らせる。



古典教師「……学習課題ノート、

 10ページとどちらがいいかな?」

エ「……訳してきます」

古典教師「楽しみにしていますよ」



ハハハ、と勝ち誇った先生は

笑いながら教壇へ戻っていく。


それに合わせて、まだ先生が背中を

向けているうちに彼女の席へ。



……。



ため息をついて

机にふしている、えりちゃん。

声をかけるわけにもいかない、

だけど。



千「……待ってますから」



そう呟いて彼女の腕のしたに

手紙を差し入れる。


そして素早くまた

定位置に戻る。

戻って振り向くと、

彼女が驚いてこちらを

向いていた。



千『あとでね?』



聞こえないけれど、

そう呟く。



千「……」



放課後、資料室に彼女を

呼んでしまいました。
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しかも個人的に。



千「このくらいは、

 いいですよね?」



課題を手伝ってあげる

だけですし。

幼なじみですし。


大丈夫大丈夫と自分に

言い聞かせながら、

授業終了チャイムと同時に

僕はなぜか、

教室を一番に出ていた。
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【By千歳

君の視線がすごく気になって

気になって……。

ちょっとくじけそうでした。】