キミカレ南くんのネタバレです。
知りたい方だけお進みください。
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第2話 こっそり
千歳お兄ちゃんが来てから、
初めての古典の授業。
古典教師「じゃあ、今日は
教科書46ページ、『万葉集』の
ところから」
黒板の前。
いつもの古典の先生がいるって
いうのに、みんな……
主に女の子の視線は
千歳お兄ちゃん、
いや南先生に向けられている。
当の本人は、
気づいているのかいないのか。
なんか頷きながら授業を
聞いてたり、目が合った生徒に
笑顔を振りまいている。
エ「なんか、平和……だな」
お兄ちゃんを見てると、
自然と笑顔になる。
そういう優しい雰囲気と
笑顔を持ってる人。
だから好きに
なったんだけど……。
エ「こう見てると、
ホント……みんなに
優しいんだなぁ」
さっきからチラチラ見てる
女の子たちと目が合っては
微笑み、ちゃんと前を向いて、
とか声をかけてる。
声をかけて欲しくて、
わざと見てたり、物を落としたり
する子もいたりして、
生徒会長の須賀くんが、
ため息をついている。
須「教育実習生が
エ「え……あ、いや」
雰囲気に耐えかね、
須賀くんには珍しく
授業中に声をかけてくる。
それくらい、
気になるんだろうなぁ。
エ「教育実習生が、
っていうよりも南先生だから
……っていうか」
須「……余計わからないんだが」
そう短く答え、須賀くんは
また教科書に視線を戻す。
エ「……あはは
はあ……」
……それにしても。
エ「なんだろう。
気づかなさすぎ?」
なんだかんだと、
さっきから私もずーーっと
見てるけど。
こっちは絶対見ない。
気づいてるはずなのに、
私とは絶対に目を合わさない。
……わざと?
エ「…………
まさかね」
そう思って、つい普通の声で
言葉に出してしまった。
そしてハッと気づく。
机の上に影が出来ていることを。
エ「……えっと」
いる……!
隣に立ってる!
先生が立ってる!
お兄ちゃんじゃない、
本当の古典の先生がっ。
古典教師「なにが、『まさか』
なんだ?」
エ「…………」
古典教師「君はどこを見て、
授業を受けていた?」
言えるわけない。
というか、こういうときは
なにも言わない。
変にいいわけしても、
イイコトがないから、
ここは黙っているに限る!
古典教師「……だんまりか。
それならいい。
反省してる、と判断し……」
……やった!
古典教師「君の好きな和歌や
歌を……そうだな、いくつにしようか
10首、選んで訳してきなさい。
それを明後日提出ね」
エ「えっ!?」
古典教師「……学習課題ノート、
10ページとどちらがいいかな?」
……ひどい。
それはひどい。
しかも、それって多分、
クラス全員の課題になるんだよね?
課題ノートをひとりだけ
進めるわけないし。
エ「……訳してきます」
古典教師「楽しみにしていますよ」
ハハハ、と勝ち誇った先生は
笑いながら定位置に
戻っていく。
エ「はあ……」
机に伏して、うなだれる。
お兄ちゃんを見てただけなのに。
まさか、こんなことに
なるなんて!
……まあ、授業中に
よそ見してるほうが
悪いけどさ。
ブツブツいいながら、
教科書をぺらぺらめくって
拗ねてると。
ふっと隣に気配を感じ、
なにか小さく声が聞こえる。
そして、机と教科書の間に
なにか紙のようなものが
差し込まれた。
……手紙?かな?
誰から……。
エ「……っ!?」
その手紙を開き、
ハッと姿勢を正す。
そして教室の隅を見ると--
お兄ちゃんの口がそう動き、
人差し指を唇にあてた。
その仕草に、「うん、うん」と
私は何度も頷き、前を向く。
そしてもう一度、
手紙を見直した。
そこにはお兄ちゃんの字で、
『放課後、資料室においで』
と書かれていた。
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【By千歳
あんなことしてよかったのでしょうか。
でも、ほっとけないし……。
このくらいはいいですよね?】


