キミカレ彩人先輩のネタバレです。

どうなるか知りたい!方だけ

お進みください。





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第20話 伝わらないな





あれから気まずいまま、

先輩とはちゃんと会話をしていない。

会ったら声はかけるけれど、

ちゃんと目を合わせられないでいる。


だから今日も休日なのに

ひとりで公園に来ていたりする。

深いため息をつくと、幸せそうなカップルの

姿とベンチがみえる。



エ「ここって……」



この前の夜、先輩が

座っていたベンチ。

じっとベンチの前で、

にらめっこ状態。



エ「どうして先輩は

 あんなことしたんだろう」



『僕だって嫉妬くらい……』



エ「嫉妬……」



そう聞いて不謹慎だけど、

ちょっと嬉しいと思ってしまった。


キスされたのも嫌じゃなかった。

ただああいうされ方が

嫌だっただけで……。


今はただ先輩とちゃんと

話せない方が辛い。

でもどうすればいいのか

わからないでいる。


じーっとベンチを見つめていると、

視界の端に見慣れたクツが

チラリと見える。



エ「………!」



かすかだけど、香水の香りがして

体が固まってしまう。

まさかと思ったけれど、

間違いない。

先輩が今、隣りに立ってる。


どうしよう。

どうしたらいい?


謝ろうにも、

どう謝ったらいいのかわからない。

謝る言葉がない。

というか、謝っていいのかも

わからない。


いきなりあんなことされたのは私で。

でもそうなったのは

私が原因で……。


もんもんと顔も上げられず、

うつむいて考えていると。



彩「この前はごめん。」



その言葉と同時に

先輩の髪が視界に映る。



エ「え……」



まさか先輩、

頭を下げて!?



エ「や、やめてください!

 先輩っそんな……!」



先輩の肩を持って、

どうにか顔をあげてもらう。



彩「……嫌いになっちゃった?」

エ「え!?」


彩「僕のこと。

 もう嫌い、かな?」
split second

エ「そんなことないです!

 むしろ……っ」



……むしろ?

何……?



彩「……?

 えりちゃん?」

エ「い、いえっ」


彩「嫌われてないのなら、

 話を聞いてくれるかな?」
split second

エ「はいっ」


彩「ありがとう」




……………。




…………………。




そしてベンチに座って、

話をすることになった。


先輩は私を気遣ってか、

少し離れて座ってくれている。

その距離を見て少し寂しいと

感じてしまう。



彩「ちょっとさ、

 イライラしてたんだと思うんだ」


エ「……イライラ?」

彩「そう。他人がうらやましい、

 邪魔だと考えてるうちにね」


エ「先輩が、うらやましいって

 思ったんですか?」



誰を!?

と目を見開いて先輩を見る。

そんな私に先輩は微笑んで、



彩「君に気軽に触れられる

 1年の彼とか、君と1日一緒に

 いられる生徒会長さんとか。


 君はまだ僕をよく知らないから

 おびえたり、名前もあまり

 呼ばないんだろうなと。


 小さなことが積み重なって……

 あの日の君の メールが

 引き金になったんだ」


エ「あの日のメール?」



もしかして謝ったやつかな?



彩「理由もわからないくせに、

 謝ったでしょ?」

エ「……はい」


彩「確かに君と1年の彼の

 見つめ合ってる姿を見て、

 僕は機嫌が悪かったけど

 それは君のせいじゃないから謝らなくても

 良かったんだよ」

エ「あの、あの時のことはっ」


彩「わかってる。

 彼は直球な子だし、きっと気づいたら

 触れられてたんでしょ?」

エ「はい」


彩「触れられていたことよりも、

 君が大人しくして 彼の目を

 見つめていた方が気になった。
split second

 君は僕が同じことをしたら、きっと顔を背けて

 おどおどしはじめるだろうからね。」


エ「………!

 それはっ」

彩「それは?」


エ「……………」



言葉につまって、

うつむいてしまう。



彩「言って、

 くれないかな?」



ぐっと唇をかみしめ、今自分の中に

こみあげる思いを

言葉にするため口を開く。



エ「私、

 あの……先輩が嫉妬してるって

 言ってくれた時、

 嬉しかったんです」

彩「うん」


エ「それで、今日までちゃんと

 話せなくて辛かった」

彩「そうだね。

 それは僕も同じだよ」


エ「それにいつも目をそらしてしまうのは、

 恥ずかしいからで……

 でも結城くんのことは、

 なんとも思ってないし……

 平気だったんです。」

彩「なんとも思ってない?」


エ「私、先輩のこと……

 好きなんです。

 たぶん、きっと……

 結構前から……」



好きだと言われて一緒にいたから

何も考えなかったけれど……

今気づいた。


ずっと好きだった。



エ「だから……!」



ぐっと手のひらを握りしめ、

顔をあげようとした時。



彩「ありがとう」

split second


優しい声と頭の上にぬくもりを感じる。



彩「もういいよ。

 君の気持ちはわかったから。

 ありがとう」



ゆっくりそっと大事なものを扱うように

私の頭をなでてくれる先輩の手。

大きくて、あたたかくて、

安心する。



彩「うまく伝わらないよね、

 気持ちって。

 ごめんね、いきなりひどいことして。

 ちゃんと話をすれば

 よかったんだよね……」

エ「………」


彩「だからさ、これからはちゃんと

 感じたことは言葉にして

 伝えよう、ね?」

split second


返事をしたかった。

だけど出来なかった。



先輩の手のぬくもりと

優しい声に気づいたら

泣いていて……。


声が出せないかわりに、

何度も何度もうなづいていた。




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【By彩人

多分、今日の事僕は絶対忘れないと思う。

考えたくもないけれど、もし僕らが別々の道を

歩き始めたとしても。

時々今日という日の事を思いだすんじゃないかな。

初めて両思いなれた今日の事を。】