2053年

人の脳をネットワークに繋げるシステムが開発された。

「シナプスシステム」

後頭部を包む、枕のような形のパッドを充て、

接続を開始すると、

それまで、首から下の体に伝えていた脳からの電気信号を一時的にパッドに変換させ、

そこからダイレクトにネットワークシステムへとダイレクトにリンクできる。

これにより、パソコンは本体のみあれば用を足す事になる。

キーボードを打つ必要も無ければ、画面を見たり切り替えたりを操作する必要もなくなった。

思考読取機構(名称未定)により、考えたままに操作が出来、

視界そのものがディスプレイの代わりになる。



2056年

先進国を中心に全てのネットワークシステムがシナプスシステムへ移管されることが国連で決定される。



2065年

史上最悪とされるシナプスシステムの事故が発生する。

死者は世界で約1億3千万人。

世論で賛否が問われ消滅の危機を迎えたが、

1人の天才エンジニアにより問題が解決。

再びシナプスシステムは息を吹き返す事となる。



2101年

シナプスシステムは数世代のグレードアップを迎え、

接続端末は、ケーブルの先に付いている直径15cmくらいのシートを首の後ろに2つ貼るだけでよくなった。



2152年

あるネットワークゲームがオープンサービスを開始した。

名前を「THE World Kingdom」という。


2157年

日本、某県、某市、

一人の少年が友達に誘われ「THE World Kingdom」にログインする。

「はっ」


男は、ベッドの上で気が付いた。


おかしい、たしかさっきまで玄関にいたはず。

そして、悪魔と名乗る女性と話をし、

目を覆い隠されて…。


そこから、ベッドまで移動した記憶は無い。

部屋は真っ暗だった。

ただ、月明かりだけが部屋に差し込んでいた。

悪魔が訪ねてきた時は、

部屋の電気を点け、テレビを見ていたはず。


男が少し頭を上げて上の方を見ると、

閉めていたはずのベランダの窓が少し開いていた。

半分閉まっているカーテンを、そこから入ってくる風が揺らしていた。


いったい、何だったのだろう。

上半身を起こし、頭に手を当てる。

鈍痛のような痛みが、頭を走っていた。


そして、


「!」


男は、何かに気づいた。


月明かりが差し込む部屋の中、

男がいる壁際のベッドとちょうど対角の位置の部屋の隅。

半分閉まったカーテンが、月明かりに影を作っている場所で、

何かが動いた。


男は、ベッドに座ったままで、

体をその方向へ向け、

少し身構える。


あの悪魔だろうか?

いや、あいつは『3ヵ月後に、また会いましょう』と言っていた。

じゃあ、何がいるんだ?

正体の解らないものに対して、恐怖のような感情が沸き上がってきた時、

それが近づいてくるのだけは、はっきりと判った。


体を強張らせ、男は目を凝らした。

ズリ、ズリ、

ゆっくりと、そして確実に近づいてくる「それ」が、

カーテンの作り出した影から出て、

月明かりに照らされた時、

男はハッと目を大きく見開いた。


そこに現れたのは、

黒髪のおかっぱ頭の見知らぬ少女だった。

服は何も着ておらず、

体つきから、13~14歳ほどに思えた。

大きな瞳が印象的で、まっすぐにこちらを見ている。


男と目が合った事を認識すると、

少女の大きな瞳がニヤリとした。

しかし、男に近づくことは止めなかった。


一歩、また一歩と近づいてくる少女。

男は、その少女の瞳から目が離せなくなっていた。

体は硬直したかのように、動かすことが出来ない。

月明かりを反射しているからなのか、

少女の瞳は、妖艶な魅力を帯びていた。


何か言わないと。

そう思えば思うほどに、

少女の瞳に、意識が吸い込まれていくような感覚に襲われ、

頭の中がしだいに真っ白になっていく。


少女が男の前までくると、

立て膝をついて座り、

男の太ももへ手を置いた。

今まで、少女が見下ろす形だったのが、

今度は、男が見下ろし、少女が見上げる形になると、

少女は、自分の顔を男の顔へと近づけ、

口づけをした。


その瞬間、


男は、少女がどこから来たのか、

何歳なのか、誰なのか、

そんな事がいっぺんにどうでもよくなり、

ただ、ただ少女の体を強く抱きしめ、

その口づけに舌を絡めた。


そして、2人はお互いを激しく求め合った。

理性など、1ミリも存在しないかのように、

ただ、相手の温もりを、激しい慟哭を、感じるがままに。


まるで、そこには2匹の獣がいるかのように、

互いを貪り合っていた。


第二話 その魂の価値は


バタン


全開に開いていたドアが、ゆっくりとしたスピードで、

今、閉まった。


「流石に、ここまで見せたら理解出来たかしら?」


女は、玄関の空中に浮かんだまま、そう言葉を漏らした。

最初からこの格好だったら、

きっと、コスプレか何かだと思っただろうが、

目の前で、羽や角や尻尾が生えてくる所を見てしまっては、

否がおうにも信じざる負えない。


これは、夢だろうか。

しかし、尻もちを付いた時のお尻への痛みが鈍く残り、

現実であると教えてくれている。

そして、男は何故か不思議と冷静さを取り戻してきている自分に気付く。


「さて、悪魔の好物と言ったら、何でしょう?」


女が聞いてきた。

男は、壁に手を掛けながらもヨロヨロと立ち上がり、


「たま・・・しい?」


昔、漫画か何かで読んだ事あるようなフレーズを答えた。


「正解!」


少し嬉しそうに女は答えると、足を玄関へと下ろした。


「私達、悪魔の主食は人間の『魂』。私はあなたの魂を頂きに来たのよ。」


やっぱりか。

案外、その類の本に書いてある事って、間違いじゃないんだな。

妙に納得してしまい、この非日常的なやりとりに、

あまり違和感を感じなくなっていた。

それと同時に、どこか諦め感にも似た感情が男に湧いてきていた。


「良いですよ。別に僕が死んでも悲しんでくれる家族もいないし、この先、生きていても何かやりたい訳じゃない。今の生活だって、生きているのか死んでいるのか、判らないような同じ事の繰り返しの毎日ですから。」


状況が、あまりにも非日常的過ぎるからなのか、

男は、少し口角を上げ、ちょっと楽しげな口調でそう言った。


「はぁ・・・」


女は、大きく溜息をついた。


「やっぱり、あなたもそうなのね・・・。」


男には、その意味が良く判らなかった。

しかし、女は続ける。


「私達、悪魔が欲する魂は、欲に飢え、生にしがみつき、絶望を味わって死んだような、そんな丸々と肥えた魂なの」


なら、そういう人の所へ行けばいいんじゃないか?

男がそう思うと、それを見透かしたように、


「悪魔が魂を奪うのにもルールがあるの。」


女の目じりが少し険しくなったように感じた。


「数千年前の『聖戦』と呼ばれる、悪魔と天使の戦いで、天使共に敗れて以降、むやみやたらに魂を狩る事が出来なくなった。現世で魂を狩る時、天使共の方から、ある名簿が渡され、そこに記載されている人間の魂しか狩る事が出来ない。」


女は悔しいのか、握りこぶしを作り、小刻みに震わせていた。

そんな名簿があり、そこに自分の名前が書かれていたのかと、

男はそっちに少し興味を持った。


「天使共め、悪魔にとって何の栄養価も無く、価値も無い魂ばかりをいつも並べてきおって!」


女の悔しさが怒りに変わっていたが、

男は、結局魂すら無価値なのかと、

どこか肩の力が抜けるようなガッカリ感に包まれていた。


「ふぅ・・・」


興奮してきた自分に気付いたのか、

息を整えるかのような溜息を女はつく。


「でもね、私達悪魔も、いつまでも従順に従っているだけの馬鹿じゃないわ」


女は少し勝ち誇ったような顔を浮かべた。


「死神と取引きをして、もらった名簿の中から死期の近い人間を教えてもらったの」


嬉しそうに目を細める。

ちょっと待て、と言う事は、


「そう、あなたはもうすぐ死ぬの」


また、心を読まれたかのような、悪魔の言葉がグサッと突き刺さる。

なんだよ、悪魔に魂を取られなくても、結局俺は死ぬんじゃないか。

俺の人生は、何を成すべくも無く、誰かを慕う訳でもなく、終わってしまうのか。

胸にポッカリと穴が開いたような虚脱感に襲われる。

女が悪魔だと理解してから、

何故か、女の言葉をあっさりと信じられる自分がいた。


「じゃあ、なぜ死期の近い、あなたの所へ来たのでしょう?」


細い人差し指を、自分の鼻のところまで持ってきて、女は楽しいそうに尋ねてきた。


そうだ、なぜ悪魔はもうすぐ死ぬ男の所へ来たのだろう。

男も、不意に出された問題に、少し混乱にも似た感覚に陥り、答えが出せずにいた。


「私は、あなたと賭けをしようと思うの。」


女の口元がにやりとした。


「はっきり言うわね。あなたは、3ヵ月後に死ぬわ。そして、賭けの内容は、もし、その時あなたが少しでも生に執着を見せれば、私の勝ち。あなたの魂は頂くわ。」


男は喉元をゴクリと鳴らした。


「じゃあ、俺が生への執着とやらを見せなかったら?」


「もちろん、あなたの勝ち。私があなたを天使共のいる天界へと送るわ。これは、本来死神の仕事なの。さっき言ったでしょ?死神と取引きしたと。名簿に名前があるからといって、全て悪魔が魂を持っていく事はないの。そういう場合は、死神が天界へ届ける仕事をするのよ。私が賭けに負けたら、その仕事を私がするっていうのが、取引きの条件。」


女は、負けた時の事を、つまらなそうに話す。

しかし、悪魔にしてみれば、少しでも生への執着で肥えた魂を持って帰れる訳だ。

まあ死神も、仕事が一つ減るわけだから、それはそれでいいのか?

よく解らないな。

一つ確実に判った事といえば、3ヵ月後に死ぬ時に、

自分が『もっと生きたい』と思えば悪魔の勝ちで、悪魔に魂を持って行かれる。

って、事だな。

一体、3ヶ月で何が変わるというのだろう。

男はすでに、この世への未練など無かった。


「それじゃ、3ヵ月後に、またお会いしましょう。」


そう言うと、女は掌で男の目を隠した。

手で隠されただけなのに、やけに真っ暗に感じた。

四葉プロローグ四葉

雨が降る。

バケツをひっくり返したように降る雨は、

周りの景色をかき消すほどに激しさを増す。

そこには、白い空間が出来ていた。

その中に、女が立っていた。

黒いロングスカートに黒い靴、そして黒い傘を差している、黒いストレートの長い髪の女が、

少し俯き加減に地面を眺め、立っていた。

その視線の先には・・・


第一話 夜の来訪者


「お疲れでしたー」

男は、バイト先の飲食店から、

住んでいるマンションへと帰るため自転車に跨った。

男は孤児で両親や肉親は居なく、

高校を卒業後、現在の飲食店でバイトをしながら施設を出てマンションで一人、生活をしていた。


趣味も無く、夢も無く、ただ淡々とした毎日を過ごしていた。

毎日の習慣となっているものと言えば、

バイト先から帰る途中の橋の下に住み着いている野良猫に、飲食店から出た残飯をあげる事くらい。

「あれ?今日はお出掛けでもしてるのか。」

もちろん、野良猫なので、いつも居るとは限らない。

そんな時も、いつものベコベコに凹んだ、いつもの鍋に残飯を入れて帰路に着く。

空を見上げると、雲も無く、月明かりが綺麗な夜だった。


夕飯は、飲食店のまかないで済ませるので、

家に帰り着いたら、シャワーを浴びて、後は寝るまでゆっくり過ごすだけだった。

その日もシャワーを浴びた後、テレビを観ていた。


「ピンポーン」


誰だろう?こんな夜中に。

男は人付き合いが良いとは、あまり言えなかったから、

男の部屋に尋ねてくる友達などいなかった。

宅急便だってこんな時間帯に来ないだろう。

不思議に思いながら、ドアの覗き穴から外を見ると、

ストレートの黒く長い髪の女性が立っていた。


益々不気味に感じたが、ドアチェーンは外さす、少しドアを開けてみた。


「何か、御用ですか?」


男が恐る恐る尋ねると、少し開いたドアの隙間の方へ女はスッっと体を移動させた。

服はロングスカートの黒いワンピースに、黒い靴を履いていた。


「私は、悪魔です。」


女は開口一番に、そんな事を良い出した。


ダメだ、こういう輩に関わったら、面倒くさいことになる。

男はドアをすぐに閉め、見なかった事にしようと思った。

ドアは少ししか開いてなかったから、すぐに閉まるハズだった。

しかし、勢い良く閉めたはずのドアが閉まらない。


「なっ」


白い指がドアに掛かっていた。


「あら、急に閉めようとするなんて、酷いじゃない。」


女の声が、少し楽しそうに聞こえた。

男は少し焦った。

その女の指の掛かった少し開いたドアは、ピクリとも動かない。

まるで、ドアの隙間につっかえ棒が挟まっているかのように。

とても細腕の女の力には、思えなかった。


スッっとドアを全開に開ける女。

ドアチェーンが切れて弾け飛ぶ。

男はビックリして玄関で尻もちを付いてしまった。

目の前で行われてる光景が信じられなかったが、

このすぐ後に、更に信じられない光景を目にする事になるのだ。


スタスタと入ってくる女。

尻もちを付きながらも、後ずさりをする男。


女は首を少し下に傾け、男の姿を見下ろすと、少し目を細め、


「私は、悪魔なの。理解出来ないかしら?」


いきなりそんな事を言われても、信じられる訳が無いし、理解出来るはずもない。

ただ、ドアチェーンを無理やり引きちぎられた恐怖と驚きで、

男は、動けない上に、何も言えなくなっていた。


「ふぅ」


女は溜息を付いた。


「これを見れば、少しは信じるかしら」


そういうと、何もない空中に腰掛けるように、フワッと足が浮き上がった。

そして、男の目の前で次々と姿を変える。

背中からは、黒髪の間をぬって蝙蝠の様な翼が現れ、

こめかみの少し上の辺りには、羊のような角が生えてきた。

最後に、女のお尻の辺りから、先に鉤状のものが付いた尻尾が垂れた。


その姿はまるで、何かの本で見た事があるような、「悪魔」と呼べる格好そのままであった。

エロッサですw


このたわいもないブログへ訪問していただき、ありがとうございますw


ここは、僕のストレスの発散として、


頭の中にある物語を小説化していくだけのブログです。


更新頻度は気まぐれなので、


低い方だと思います。


複数の話を同時進行で書いていくので、


読みにくいかと思われます。


テーマを小説の題名にしますので、


カテゴリーでソートかけて読んでいただければ読み易いかと思います。


まあ、素人が書いていますので、


誤字脱字なんかがあると思いますが、生暖かい目で見ていただければ幸いですw


ああ、それと、


名前がこんなんですが、小説の中身は非エロですw


男女の絡みのシーンはありますが、


官能小説のように、そのシーンを事細かく書いたりはしません。


それでは、しばしお付き合いくださいませw