Aさんは、長年勤めた会社を去る決意を固め、辞表を出しました。

彼は、会社の経営改革についていけなかったのです。


退職間際に、世話になった得意先の幹部、Bさんに挨拶に行ったところ、

つい気を許してしまい、会社への不満や批判を口にしたそうです。


Aさんとしては、何気ないやり取りのつもりだったのでしょう。

しかし、Bさんは役員を任されるほどの人です。

Aさんをよく知っているだけに、事情をしっかり洞察していました。

Aさんを気遣い、その場で話を聞いたふりをしたに過ぎません。


後日、BさんはAさんの在籍した会社の幹部にこう語ったそうです。

「客のところに来て、世話になった会社の文句を言うとは、情けない男だ」

「自分が落伍したことくらい素直に認めるべきだ」

おそらくAさんはこの事実を知りません。


このエピソードが物語る通り、自己中心的な思考は始末の悪いものです。


                                       【009】