働き方


:稲盛和夫

発行所:株式会社三笠書房


久しぶりに、稲盛和夫さんの本。研修させて頂いている会社が、社員全員に「働き方」という稲盛和夫さんの書籍を読ませてて、私も買って読んでみた。素敵な言葉が沢山でてきた。うちの会社の新卒には、印象に残ったページを送った。



働くことは「万病に効く薬」。あらゆる試練を克服し、人生を好転させていくことができる。


人間は自らの心を高めるために働く。私はそう考えている。


私はこの宮大工の棟梁のように一生を一つの職業に捧げ、地道な労働を営々と重ねてきた人物に強く魅力される。ひたすら働き続けることを通じて、心を練り上げてきた人間だけが持つ、人格の重みや揺るぎない存在感。そういうものに接するたびに、私は働くという行為の尊さに改めて思いを馳せる。


働くことは人間を鍛え、心を磨き、「人生において価値あるもの」をつかみ取るための尊くて、もっとも重要な行為である。


若く未熟な私は、紹介してくださった方々の恩義を忘れ、また自分たちがまだなんの成果も上げていないにもかかわらず、不平不満だけは一人前以上に抱えていた。新卒のころの稲盛和夫さんも、そんな感じだったのかと、ある意味、人間らしく感じた一節。


会社の同期は全員辞めてひとりになった時。私はまさに「ど」がつくほど真剣に働き続けた。寝泊まりしながら四六時中研究に打ち込んだ。もちろん、最先端の研究だから、最新の論文が掲載されているアメリカの専門誌を取り寄せ、辞書片手に読み進めていったり、図書館で仕事が終わった夜や休みの日に勉強。そうすると不思議なことが起きた。素晴らしい研究結果がでるようになった。同時に、会社を辞めたい!といった悩みや迷いがウソのように、消えた。


悩みや苦しみを体験しなければ、人は大きく伸びないし、本当の幸福をつかむことができない。


京セラを上場させた時、三十代後半を迎えていたが、上場を機にこれまで以上にひたむきに働こうと思った。


人間の煩悩は百八つある。中でも「欲望」「怒り」「愚痴」の三つは卑しい心、つまり人間を苦しめる煩悩の最たるもの。心にからみついて離れず、取り払おうとしてもなかなか拭い去ることはできない。だからこそ、三毒を完全に除去できないまでも、まずはその毒素を薄めるように努める。そのための唯一の方法が一生懸命に「働くこと」。


私が仕事を好きになろうと努めたから。「心の持ち方」を変えるだけで、自分を取り巻く世界は劇的に変わる。


充実した人生を送るには「好きな仕事をするか」「仕事を好きになるか」のどちらかしかない。しかし、好きな仕事を自分の仕事にできるというひとは、万に一人もいるものではない。また、希望した会社に入社することができても、希望する職場に配属され、希望する仕事に就ける人など、ほとんどいない。だから、仕事に惚れること!


京セラは京都市中京区西ノ京原町という京都の外れに創業。私はわずかな従業員に、この西ノ京原町で一番の会社になろう。一番になったら、中京区で一番。次は京都。日本一。世界一。と、ことあるごとに語りかけた。※中京区には島津製作所があったので、まったく身のほど知らずのものでしかなかった。しかし、大きな夢であっても胸にしっかり抱き、まずは眼前に掲げることが大切。


●●●寝食を忘れるほどに強く思い続け、一日中そのことばかりをひたすらに繰り返し考え続けていくと、その思いは次第に潜在意識にまで浸透する。人間の意識の中では「潜在意識」の領域の方がはるかに大きく、過去に繰り返し体験したことや、強烈な経験など入っているから、それを活用することによって、瞬時に正しい決断を下すことが可能。潜在意識は寝ているときにさえ働く。



「神に祈ったか」技術者らしくない言葉。私は人事を尽くし、後はもう神に祈り、天命を待つしか方法はないと言えるほど、すべての力を出し切ったのか。という意味合いを込めてらその言葉を使う。


人生は「一瞬一瞬の積み重ね」。今この一秒の集積が一日となり、その一日の積み重ねが、一週間、一ヶ月、一年、一生となる。「偉大なこと」も「地道なこと」の積み重ね。


自分の人生はどうなってしまうのか。このような迷いを解決するには、「先を見ること」と、一般的に言います。しかし、私はまったく逆の方法。短期的な視点に立って、自分の仕事を位置づけようとした。足元だけを見ること。今日の目標は、今日必ずやり遂げることを誓い、仕事の成果や進歩を一日の単位で区切り、それを確実にやり遂げていくことにした。1cmだけでも前に出よう。


●●京セラの経営も長期計画を立てない。それは遠くを見る話というのは、たいていウソに終わるから。たった一年だけの経営計画を立てるように心がけた。


私はつらく苦しい自分の心を癒し、鼓舞していくことに、自分なりの方法で懸命に努めた。※夜寮の小川の土手でよく空を見上げ、故郷などの唱歌や童謡を歌った。


外見とは「1番外側にある中身」のこと。見た目が美しいものは、必ず、その特性も優れているに違いない。


感度の違いから、一方は変わらないと言い、一方は変わっていると言う。繊細な感度が仕事で完璧主義を貫くには欠かせないもの。


毎日毎日少しでも創造的な仕事をすることを心がけていく。


創造とは「素人」がするもので、専門家がするものではない。新しいことができるのは、何ものにもとらわれない、冒険心の強い素人であり、その分野で経験を重ね、多くの前例や常識を備えた専門家ではない。