ニキビというと必ず出てくるのがアクネ菌。
正式名称はプロピオバクテリウム・アクネスと呼びます。
ニキビができる原因は、このアクネ菌によるものが大きいです。
でもアクネ菌は常在菌の一つですので、皮膚に悪い影響を及ぼすわけではないのです。

まず常在菌について説明すると、誰にも存在している微生物(細菌)で
腸管内に存在している腸内細菌なんかが知られていますが、
肌に生息しているアクネ菌などを皮膚常在菌と呼びます。
皮膚常在菌は皮膚には1兆個以上、多いところでは皮膚1平方cmに10万個以上生息しているといわれております。
この皮膚常在菌には他に表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、マラセチアなど205種類も確認されているようです。
ブドウ球菌の名前が出てくると何か人に対して悪さをするかのように思えるけれど、
表皮ブドウ球菌は、皮脂の成分であるトリグリセリドを分解して脂肪酸とグリセリンにします。
脂肪酸は酸性なので皮膚を弱酸性に保つことにより、アルカリ性を好む病原菌の増殖を抑えています。

このように常在菌は誰の体にも存在しており、病原性が弱い、または示さず一定の割合で保つことにより健康の維持ができ、
皮膚常在菌は肌の健康に保つという大切な役割を担っています。

常在菌には善玉菌、悪玉菌の2種類が存在しており、
アクネ菌も同様に善玉菌、悪玉菌があるといわれています。
アクネ菌は66種類もありますが、大きく分ければ3種類になります。
そのうち善玉菌は1種類で悪玉菌は2種類。
アクネ菌の善玉菌は肌をpHを4.5~6の弱酸性に保ち、病原菌の繁殖を抑えてくれます。

アクネ菌の悪玉菌は脂肪分解酵素のリパーゼを分泌し、皮脂を遊離脂肪酸とグリセリンに分解します。
分解された遊離脂肪酸の刺激により毛穴が狭くなり、 アクネ菌も増殖し「角化亢進」が始まります。
毛穴が狭くなるので分泌された皮脂は毛穴に詰まってしまい、
角質と皮脂が混ざり合って「角栓」ができます。
皮脂が溜まり角栓が毛穴を完全にふさいでしまうと皮膚が白く盛り上がって白ニキビと呼ばれる状態になります。

更に皮脂が溜まってくると毛穴を広げることになり、空気中の酸素や紫外線に触れることにより、
角栓が酸化して黒く見えると黒ニキビと呼ばれるようになります。

アクネ菌は酸素が嫌いな嫌気性菌なので、
空気に触れないように毛根を覆う毛包に存在し皮脂を栄養としています。
そのため皮脂の分泌量が多い顔や背中、胸などにニキビができやすくなります。
このような部位に角栓や皮脂の過剰分泌で毛穴の中に溜まりふさがれると、
アクネ菌は過剰に増殖します。
アクネ菌が産出した遊離脂肪酸は、紫外線や空気中の酸素によって酸化され「肌のサビ」とも呼ばれる過酸化脂質へ変化します。
過酸化脂質は角質細胞膜を酸化させ、肌を老化させてしまいます。
毛穴やその周囲に炎症を起こすと膿や痛みが伴ったりする赤ニキビになってしまいます。

赤ニキビが悪化すると膿がたまりニキビが黄色となり黄色ニキビ呼ばれる膿腫となり真皮まで損傷が及びようになります。

この黄色ニキビより酷い状態は、紫ニキビと呼ばれる結節性ニキビや嚢腫(のうしゅ)となってしまいます。
痛みやかゆみはないのですが、炎症は毛穴内部だけでなく周囲にまで広がり膿や血まで流れ出し最悪のニキビとなってしまいます。
真皮細胞にまで損傷し炎症が治ってもニキビの痕が残ってしまいます。

アクネ菌の悪玉菌がニキビができる原因となるからといって
悪玉菌を殺菌しようとしても善玉菌や他の常在菌まで殺菌されてしまうので、
悪玉菌だけを殺菌することはできません。
かといって肌の健康を保つ役割を持つ善玉菌だけを増やすこともできません。
だからニキビを予防するにはアクネ菌を繁殖させない為に
皮脂の過剰分泌により毛穴が詰まらせることに気を付けましょうことがないよう。

それには適切な洗顔が大切です。
洗浄力が強い洗顔料の使用や何回も何回も洗顔をすると
お肌は乾燥してしまい、かえって皮脂の分泌を促すことになってしまいます。
基本、夜は洗顔料を使い、朝はぬるま湯だけの洗顔がよいかと思います。