Uゾーンは大人ニキビのできる典型的な場所

大人ニキビができる典型的な場所があります。
それはあごや口周りなどのフェイスラインにできることが多いのです。
この部位はUゾーンとも呼ばれていて皮脂腺は多くなくむしろ少ないです。
皮脂腺が少ないのですからUゾーンは、お肌が乾燥しやすくなっています。

思春期ニキビはUゾーンの部位にはできにくい

思春期にはこの部位にニキビは発生しにくいと言われています。
思春期ニキビができるのは、何といっても皮脂が原因です。
皮脂を過剰に分泌することにより思春期ニキビを発生させてしまうのです。

Uゾーンは皮脂腺が少ないので皮脂がニキビができる原因とは考えにくいことから、
思春期と大人ニキビとでは原因が全く異なることが分かります。
それなのに思春期ニキビと同じように皮脂を洗顔で落とそうとしたり、
スキンケアをしてしまったりすると治るどころかかえって悪化させてしまうことになります。

そもそも思春期ニキビは

第二次性徴の始まりである10歳前後から、
その終了までの18歳前後を思春期といいます。
この時期に体が大人へと変わるのです。
なぜそのような変化が起きるのかといえば、
思春期に大人の体へ成長させる性ホルモンが生成されるからです。
しかも大人の体へと促すように活発に性ホルモンが生成されます。
何でも無理はいけませんね。
活発なホルモン生成は、そのバランスが崩れやすくなってしまいます。

バランスが崩れることにより男性ホルモンの分泌が急激に増えてしまうことになります。
男性ホルモンなんだから女性には関係が無いと思うかもしれませんが、
卵巣や副腎から男性ホルモンが分泌されているのです。

なぜ男性ホルモンが思春期ニキビができる原因となるのか

かと言って
いくら女性にも男性ホルモンが分泌されていると言っても
男性ホルモンの影響がそれ程ないだろうと思えてしまうかもしれません。
でもここで女性ホルモンが一生でどの位分泌されているのか調べてみました。
驚くことにたったのスプーン一杯程度、質量でいうと僅か5g程度なのです。
一生でこの程度しか分泌がされていまいなんて思いもしなかったです。
それに対して男性ホルモンの分泌は、女性でも0.7mg程度が一日に分泌されます。
これは男性の1/10程度の分泌ですが、このことから男性ホルモンとを比較すると
いかに女性ホルモンの分泌が少ないか分かります。

しかしこんなに少量しか女性ホルモンが分泌されていないとは驚いてしまいます。
だから性ホルモンのバランスが崩れてしまうと男性ホルモンの影響が大きくなってしまうのでしょうね。

そしてこの状態での男性ホルモンの分泌によって
皮脂腺を刺激することになってしまい皮脂の分泌を促します。
過剰に分泌された皮脂が角質とまじりあうことになってしまいます。
それにより角栓ができてしまい、角栓が毛穴を塞ぐことになってしまいます。

(角栓ってニキビをつぶすと出てくるニキビの芯のことです。)
毛穴が塞がれ外気と遮断されてしまうと嫌気性であるアクネ菌が好む環境となります。
しかもアクネ菌は皮脂を栄養としているので増殖し思春期ニキビができてしまいます。
だから皮脂腺の多い額から鼻にかけてのTゾーンと言われる部位に思春期ニキビができてしまいます。

続きは次回。

身体の部位にできるニキビ

背中、肩、二の腕、胸といった身体の部位にできるニキビに悩んでいる方も少なくないと思います。
女性にとっては少し辛い場所にできるニキビかな。
特に夏場だと困りますね。
肌を露出することも多くなるので、ニキビが目立つしオシャレも楽しめなくなる。
カレシがいれば季節に変わりなく思い切った行動も控え気味になってしまう。 顔と違ってお化粧で目立ちにくくすることもできません。

身体にできるニキビはマラセチア菌が原因

この身体にできたニキビを治そうと、
ニキビの治療薬を使ってもなかなか治らないのではないでしょうか。

これは顔にできるニキビと身体にできるニキビとでは原因菌が異なっているからです。
ニキビの原因菌はアクネ菌ですが、
身体にできるニキビはマラセチア菌なのです。
マラセチア菌もアクネ菌等と同様に常在菌の一つです。
アクネ菌の記事でも書いたように常在菌は誰の体にも存在しており、
肌を健康に保つ重要な役割があるのです。

マラセチア菌はカビの一種

でもマラセチア真菌とアクネ菌には大きな違いがあります。
それはアクネ菌は細菌ですが、マラセチア菌はカビ(真菌)の一種なのです。
細菌とカビ(真菌)でニキビの原因菌が全く違うのですから、顔にできたニキビの治療薬を使っても治りません。

ショックですよね。ニキビの原因がカビ(真菌)だったなんて!!
自分の身体にカビが生えているなんて考えるだけでおぞましい!!
「身体にできるニキビはカビが原因なんだよ。」と人に指摘されたらとても悲しくなってしまいます。
しかも顔にできるニキビは自然に治ることもあるのですが、
マラセチア菌が原因のニキビは、自然に治ることが難しいと言われています。

マラセチア菌が原因によるニキビの正確な病名はマラセチア毛包炎と呼ばれ、
顔にできるニキビ・尋常性痤瘡と区別されるものです。

マラセチア菌には、マラセチア・ダーマティス、マラセチア・シンポディアリス、
マラセチア・グロボーサ、マラセチア・ファーファー、マラセチア・レストリクタの5種があります。
この中でもマラセチア・ファーファーが最も曲者で、毛穴に侵入すると異物と認識して
即免疫反応による炎症を引き起こしてしまいます。

マラセチア毛包炎について

身体にできるニキビ、マラセチア毛包炎ができるのは、
アクネ菌によるニキビと同様に皮脂を栄養にしていて増殖するとともに皮脂を分解すると炎症を起こしたり、
先にも述べたようにマラセチア菌が毛穴に侵入することにより、免疫反応による炎症を起こすのです。

マラセチア毛包炎の特徴

マラセチア毛包炎はニキビよりも小さく総じて同じような大きさです。
顔ニキビが一度に2、3個できるのに対して、マラセチア毛包炎は一度に10個ほどできてしまいます。
見た目は、やや光沢のある赤いぶつぶつで毛穴にでき、
医師でさえマラセチア毛包炎なのかどうかはなのか肉眼では見分けがつきにくいようです。
膿を検査することが重要で、膿にマラセチア菌が検出されればマラセチア毛包炎と診断できます。
膿を顕微鏡で見ると、マラセチア毛包炎だったら胞子がたくさん確認できるようです。
やっぱりカビなんですね。気持ち悪いーー。

マラセチア毛包炎の予防と治療

マラセチア菌が好むのは皮脂や湿気の多い場所です。
ですから皮脂分泌が多い脂性肌の方は注意が必要です。
マラセチア毛包炎を予防するには、脂性肌の方や汗をたくさんかいた場合、
汗を小まめに拭く、シャワーを浴びる、清潔な肌着、洋服に着替えることが大切です。


マラセチア毛包炎を治療するには、まず皮膚科に行って診てもらうことです。
抗真菌外用薬や内服薬などを処方されると思います。
(抗真菌外用薬などに市販薬はありません。)
抗真菌外用薬を塗れば、1~2ヵ月で症状は大いに改善されます。
気を付けて欲しいのは、症状が改善されても数か月は薬を塗り続けることです。
マラセチア菌はカビ(真菌)なんで治ったと思っていても図太く潜んでいます。

身体にできるニキビは皮膚科で診断すれば改善されますので悲観せず対処して下さい。

ニキビというと必ず出てくるのがアクネ菌。
正式名称はプロピオバクテリウム・アクネスと呼びます。
ニキビができる原因は、このアクネ菌によるものが大きいです。
でもアクネ菌は常在菌の一つですので、皮膚に悪い影響を及ぼすわけではないのです。

まず常在菌について説明すると、誰にも存在している微生物(細菌)で
腸管内に存在している腸内細菌なんかが知られていますが、
肌に生息しているアクネ菌などを皮膚常在菌と呼びます。
皮膚常在菌は皮膚には1兆個以上、多いところでは皮膚1平方cmに10万個以上生息しているといわれております。
この皮膚常在菌には他に表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、マラセチアなど205種類も確認されているようです。
ブドウ球菌の名前が出てくると何か人に対して悪さをするかのように思えるけれど、
表皮ブドウ球菌は、皮脂の成分であるトリグリセリドを分解して脂肪酸とグリセリンにします。
脂肪酸は酸性なので皮膚を弱酸性に保つことにより、アルカリ性を好む病原菌の増殖を抑えています。

このように常在菌は誰の体にも存在しており、病原性が弱い、または示さず一定の割合で保つことにより健康の維持ができ、
皮膚常在菌は肌の健康に保つという大切な役割を担っています。

常在菌には善玉菌、悪玉菌の2種類が存在しており、
アクネ菌も同様に善玉菌、悪玉菌があるといわれています。
アクネ菌は66種類もありますが、大きく分ければ3種類になります。
そのうち善玉菌は1種類で悪玉菌は2種類。
アクネ菌の善玉菌は肌をpHを4.5~6の弱酸性に保ち、病原菌の繁殖を抑えてくれます。

アクネ菌の悪玉菌は脂肪分解酵素のリパーゼを分泌し、皮脂を遊離脂肪酸とグリセリンに分解します。
分解された遊離脂肪酸の刺激により毛穴が狭くなり、 アクネ菌も増殖し「角化亢進」が始まります。
毛穴が狭くなるので分泌された皮脂は毛穴に詰まってしまい、
角質と皮脂が混ざり合って「角栓」ができます。
皮脂が溜まり角栓が毛穴を完全にふさいでしまうと皮膚が白く盛り上がって白ニキビと呼ばれる状態になります。

更に皮脂が溜まってくると毛穴を広げることになり、空気中の酸素や紫外線に触れることにより、
角栓が酸化して黒く見えると黒ニキビと呼ばれるようになります。

アクネ菌は酸素が嫌いな嫌気性菌なので、
空気に触れないように毛根を覆う毛包に存在し皮脂を栄養としています。
そのため皮脂の分泌量が多い顔や背中、胸などにニキビができやすくなります。
このような部位に角栓や皮脂の過剰分泌で毛穴の中に溜まりふさがれると、
アクネ菌は過剰に増殖します。
アクネ菌が産出した遊離脂肪酸は、紫外線や空気中の酸素によって酸化され「肌のサビ」とも呼ばれる過酸化脂質へ変化します。
過酸化脂質は角質細胞膜を酸化させ、肌を老化させてしまいます。
毛穴やその周囲に炎症を起こすと膿や痛みが伴ったりする赤ニキビになってしまいます。

赤ニキビが悪化すると膿がたまりニキビが黄色となり黄色ニキビ呼ばれる膿腫となり真皮まで損傷が及びようになります。

この黄色ニキビより酷い状態は、紫ニキビと呼ばれる結節性ニキビや嚢腫(のうしゅ)となってしまいます。
痛みやかゆみはないのですが、炎症は毛穴内部だけでなく周囲にまで広がり膿や血まで流れ出し最悪のニキビとなってしまいます。
真皮細胞にまで損傷し炎症が治ってもニキビの痕が残ってしまいます。

アクネ菌の悪玉菌がニキビができる原因となるからといって
悪玉菌を殺菌しようとしても善玉菌や他の常在菌まで殺菌されてしまうので、
悪玉菌だけを殺菌することはできません。
かといって肌の健康を保つ役割を持つ善玉菌だけを増やすこともできません。
だからニキビを予防するにはアクネ菌を繁殖させない為に
皮脂の過剰分泌により毛穴が詰まらせることに気を付けましょうことがないよう。

それには適切な洗顔が大切です。
洗浄力が強い洗顔料の使用や何回も何回も洗顔をすると
お肌は乾燥してしまい、かえって皮脂の分泌を促すことになってしまいます。
基本、夜は洗顔料を使い、朝はぬるま湯だけの洗顔がよいかと思います。