宮本亜門さん前立腺癌を公表について | 名医が語る病気のおはなし

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宮本亜門さん、前立腺癌ステージ2であることを公表されました。治療方針に対する私見を今回も宮嶋先生にお聞きしてみました。
 
宮本さんは61歳。健康そうに見えますが、それ以外に既往歴はないでしょうか?前立腺癌の治療方針は様々な患者さんの情報を基に考えなくてはなりません。
 
前立腺癌ステージ2は転移を認めない、しかも前立腺にとどまる限局性前立腺癌です。61歳といえば、前立腺癌患者としてはかなり若い部類に入ります。
年齢とステージだけでなく、考えなくてはならないのは以下の因子です。
病理組織学的所見、いわゆるグリソンスコアという悪性度、前立腺生検の契機となった時の血清PSA値(腫瘍マーカー)、前立腺の大きさ、既往歴(心臓疾患や糖尿病など重篤な合併疾患がないか?)などを包括的に考慮して、最終的な治療法が幾つか浮かんできます。
 
基本的には、PSA、T分類、グリソンスコアの3つから再発リスクを決めます。高、中、低リスクの3つに分けられ、それを基に放射線治療、手術、その組み合わせなどが考えられます。
 
放射線治療にも通常のIMRT、小線源治療があります。手術を受けなくてよいメリットがある一方で、照射後に前立腺が炎症でむくみ排尿障害が出現するので、前立腺が大きい方にはあまりお勧めできません。
手術には前立腺を全部摘除する前立腺全摘術がありますが、これは今や手術支援ロボットで行うのでかなり精緻な手術を行うことが可能で、性機能や尿禁制を含めて以前よりは術前と同等までに回復するようになりました。
この辺りも、患者さんの年齢、排尿障害の状況を考慮して、もっとも適した治療法を選択しなくてはなりません。
 
いきなり一つの治療法を提示されると、本当にそれで良いのか?と迷ってしまいます。しかし、多くの選択肢から一緒に考えていけば、患者さんも納得できるように思います。その辺りは患者医師関係にも依存します。
セカンドオピニオンを担当していて多い事例は、医師の提示した選択肢が正しいと思われるにも関わらず、患者さんが不安で我々のところに相談にいらっしゃるような事例です。医師の説明不足や患者の理解不足に原因があります。ちょっとした行き違いや誤解で相互理解できていないこともあります。この辺りはよくご相談されるのが良いといつもお話しています。
 
(前回に続いて、今回も当社より宮嶋先生にお願いして情報提供して頂きました。宮嶋先生、連日に渡ってありがとうございました。)
 
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