久々の論文シリーズです。

タイトルの通り、

クロミッドとレトロゾールを使用した場合の人工授精では卵胞径がどれくらいが理想的なのか

を調べています。

 

単一施設での後ろ向き研究ですね。

症例数は988例と、かなりのボリュームです。

 

今回はもったいぶって結論は後回しにします。

 

まずは背景を抑えておきましょう。

 

 

<過去の報告>

人工授精の理想的な時期については、1980年代から同じような論文がたくさん出されてきました。

共通するのは

卵胞径16~18mmは欲しい!

ということですね。

早すぎるトリガー(人為的に排卵を起こす)は、逆に卵胞閉鎖を促す

と言われているので、見切り発車は要注意です。

 

下限が18mmはいいとして、じゃあ上限はどうなのかという話です。

レトロゾール登場まではクロミッドやhMG製剤を使用することが多く、それに関する報告は多々あります。

 

16mmを超えていれば別に変わらないという論文もありますし、排卵さえ起こればそれ以上のこだわりはいらないのかもしれません。

ちなみに、クロミッドを内服していると、卵胞径は30mmに達することもあります。

 

 

<結果>

本論文における結果は↑こんな感じです。

子宮内膜の厚さを重要な因子として考え、厚さ別に分けています。

 

グラフにすると↑こうなります。

内膜は厚ければ厚いほど良さそうですが、卵胞は大きければいいというものではなさそうです。

 

さらに、レトロゾールとクロミッドに分けて出した結論がこちら↓

理想の卵胞径はクロミッドなら24mm、レトロゾールなら24.7mmという結果になりました。

24mmとは、結構大きいですね。

 

しかし、24mmになるまで待っていたわけではなく、あくまで月経11~13日目にチェックして、18mmを超えていたらhCG注射で排卵させて人工授精をするというスタイルで行い、結果的に24mm前後まで育っていたケースが最も妊娠率が良かったという感じのようです。

ですので、あえて24mmまで待つ必要があるのかどうかは分かりません。

 

人工授精については色々な意見がありますが、革新的な情報はこれといって出てこない状況ですね。

 

今回の論文は以上です。