見えない手錠を外したい 狭山事件で逮捕60年、再審請求中の石川さんhttps://t.co/2coMM9jAAU#同和
— 神奈川県人権啓発センター(公式) (@K_JINKEN) May 29, 2023
袴田事件の再審決定を受けて、狭山事件にも追い風が吹いている気がする。マスコミが取り上げる頻度も増えた。上の記事は先日、中日新聞に載った特集記事。新しい情報や事実は特にないが、狭山事件の概略と現状を伝えている。ただ、事件から60年経ち、当たり前だが石川さんもかなり高齢になった。早く「見えない手錠」(仮釈放中)を外してもらいたいとの思いが一層強くなる。
さて、そこに強い味方が現れた。前回記事でも紹介した大石あきこさん。狭山事件に関心を持ち、5/23の支援集会にも参加していたようだ。前回も書いたが、この人は本当に信用できると思った。大して票にも金にもならない狭山事件を本気で支援しようとしてくれている。この人には、権力の不正や横暴を許さないという強い意志と、権力によって虐げられた者たちへの深い共感がある。狭山事件の再審開始と石川さんの無罪確定を心から願う一人の市民として、こういう若い国会議員が動いてくれるのは本当に頼もしい。狭山再審開始に力を貸してほしいと思う。
狭山事件の石川一雄さんは事件から60年、今84歳です。冤罪と闘い続け、再審請求中。
— 大石あきこ(れいわ新選組)Akiko Oishi (@oishiakiko) May 29, 2023
(写真は5/23集会会場にて)
多くの人が知れば、状況は変わります。 https://t.co/S3HHk7RyQC pic.twitter.com/Ka9j1oXpyg
大石さんが言うように、「多くの人が知れば、状況は変わる」。私も昔、野間宏の『狭山裁判』(岩波新書)を読んで、「こんなメチャクチャなことが世の中にあっていいのか」と根本的な疑問と憤りを覚えたものだ。たぶん大石さんの出発点にも、そういう疑問や怒りがあったのだと思う。だから、多くの人がこの事件を知れば、その怒りが大きな波動となって司法や行政を動かすことができるのではないか。
この事件は、被差別部落への偏見と見込み捜査によるもので、完全に捜査当局によってでっち上げられたものである。そのことは野間宏が『狭山裁判』を書いた時からはっきりしていた。野間は半世紀も前に
私は、狭山事件、狭山裁判を力の許すかぎり調べつくして、石川一雄被告の無実であり無罪であることを確信することができた。
(野間宏『狭山裁判 上』岩波新書p.ⅰ)
と断言している。
このように狭山事件は完全に冤罪であり、権力犯罪である。それを検察側が認めたくないから、ここまで長引いている。裁判所も行政も冤罪に加担している。証拠開示の仕組みが未だに整っていないのだ。要は権力側がこぞって狭山事件の再審開始を拒否、阻止しようとしているのだ。この権力構造に風穴を開けるとしたら、それはやはり市民が選んだ国会議員しかいないだろう。だが、その国会議員もほとんどが権力に阿る連中ばかりだから、そうではない数少ない信頼できる議員を見つける必要がある。その意味で、れいわ新選組の大石あきこや山本太郎は頼りになる(ただし、くしぶち万里はまだよくわからない)。
警察が石川さん宅の勝手口の鴨居の上に万年筆を置き、それを決定的な物証として石川さんは逮捕され、無期懲役の確定判決を受けた。その根本には被差別部落への根強い偏見、蔑視、差別がある。私は最近、この事件は権力犯罪であると同時に、一種のヘイトクライムではないかと考えている。警察や検察が明らかな差別感情をもって石川さんを犯人にでっち上げ、殺してしまおうとしたからだ(1審は死刑判決)。このように権力側の人間たちが偏見・予断と差別にもとづいて無実の者を殺人犯に仕立て上げ、処刑してしまうのは、最も恐ろしい憎悪犯罪と言えよう。被差別部落への長い差別・憎悪の歴史が、この冤罪事件を生んだのだ。だが、そんな理不尽で極悪非道なことがあっていいはずがない。権力側だからといって許されるものではない。
今では、石川さん宅で見つかった万年筆が被害者のものではないことが明らかになっている。そもそも被害者が使っていた万年筆のインクの色はライトブルーであり、石川さん宅から押収された万年筆のインクはブルーブラックだった。こんな偽装工作はすぐに馬脚を現すと、捜査当局は思わなかったのだろうか。もっと根本的なことを言えば、貧しくて学校に通えなかったために文字の読めなかった石川さんが、文字(脅迫状)を使って犯罪におよぶという荒唐無稽な図式に、警察や検察、裁判官は何の疑問も感じなかったのだろうか。
こういう荒唐無稽の根っこには、被差別部落の人間なんかどうなっても構わない、人権などあるわけない,俺たちの方が上の人間で偉いんだ、という差別意識が根強くあったにちがいない。こんな連中が法や人権を守る司法の仕事を担っているのだから、冤罪が頻繁に起こるはずである。本当にこの国は明治の大逆事件以来、何も変わっていない。暗黒裁判は今も続いている。
日本の司法に告ぐ――もう検察は悪あがきをやめて証拠をすべて開示しなさい!そして裁判所は早く再審開始を決定しろ!
下は石川さんが詠んだ短歌。
吾が無実 叫び続けて六十年 動かせ司法 満座の声で