なぜPCR検査は増えないのか~本当の敵はウイルスではなく感染研だ~ | ブロッギン敗北【ご愛読ありがとうございました】

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アウシュヴィッツが陸の上のジェノサイド、ヒロシマ・ナガサキが空からのジェノサイドだったとすれば、水俣病は海からのジェノサイドである。(栗原彬)
そして21世紀のいま、史上最悪のジェノサイドがパレスチナの地で、殺人国家イスラエルによって遂行されている…


 昨日BS_TBSの「報道1930」に厚労大臣の加藤が出ていて,「なぜ日本はPCR検査を増やさないのか」という司会者の再三の質問に対して,ウダウダと言い訳がましいことばかりを述べていたのだが,あの話を聞いて納得した視聴者は誰もいなかっただろう。加藤の主旨は,日本はイタリアや中国,韓国などとは状況が違っていて,それほど感染者が増えていないから検査を増やす必要はない,症状が重い人だけに検査をして医療崩壊を防ぐ,というものだったが,検査数が少なくて正確な実態がつかめていないのに,どうして感染者が外国に比べて増えていないと言えるのだろうか。ランダム抽出で市中感染率を調べて,データに基づいて物を言っているのか,と問い質したいと思ったのは私だけではなかっただろう。というか,人の健康や命を危険にさらしておいて勝ち誇ったような顔をしているこいつは人間のクズだと思ったゎ。

 加藤と一緒に出演していた,感染症の専門家と称する人物(和田耕司)も,加藤を弁護するような議論ばかりしていて,こいつも安倍政権の御用学者というかポチだということが明らかになったわけだが,加藤が番組の前半だけで帰った後に,まともな専門家・医師(倉持仁さん)が出てきて,検査の必要を訴えていた。どうして加藤が出演している間に,この人を出さなかったんだろう,と誰しも不思議に思ったに違いない。加藤は,検査を拡大しないことについて問い詰められるのが怖かったのだろう。本当に卑怯でクズだと思ったね。こういうクズはいち早くゴミ箱に捨ててしまわなければならない。

 ところで,政府の専門家会議は「爆発的な感染拡大」が起こる可能性を指摘していたのだが,それを言うなら,そういう感染爆発が起こらないようにするにはどうすればいいのかをもっと言わなければいけないだろう。なのに,その点は言わないで,「爆発的な感染」ばかりを強調する。これではむやみに人々の不安感を煽るだけだろう。というか,専門家会議は「爆発的感染」を意味する言葉として
オーバーシュート
を使っていたんだが,ちょっとこれ,誤用ではないだろうか。私も前に「オーバーシュート」という言葉を2,3回使ったのだが,それは「やり過ぎ」とか「過剰反応」という意味で,全国一斉休校とかイベント中止要請などの政府の対応を批判する文脈で使った。専門家会議から出たこのカタカナを見たとき一瞬,見まちがいかと思ったが,専門家会議はこれを「感染爆発」の意味で使っていると知った。感染症学でこんな用語法があるのだろうか。私がスペイン風邪に関する本や,ペストなどに関するカミュやデフォーなどの作品を読んだ限りでは,こういう意味で「オーバーシュート」が使われているのを見た記憶がない。私の記憶違いならよいのだが,なんだか誤魔化されているような気分になった。「感染爆発」を意味する一般的な用語は「アウトブレイク」ではないか。どうしてこれを使わなかったのだろう。なんで,わざわざ新しい用語を作ったのか…。

 まあ,その真意はよくわからないが,このようなアウトブレイクすなわち「爆発的な感染者急増」が起こる可能性を言うのなら,なぜPCR検査を拡大しようとしないのか。だれしも,この点を根本的な疑問として感じるだろう。検査を実施しないことはアウトブレイクにつながる,と考えるのがまともな考え方ではないか。感染爆発を防ぐためには,検査を広く実施して軽症者や無症状患者を早く発見し,適切に管理・治療することが不可欠だ。軽症者や無症状患者を放置しておけば,感染は拡大する一方だろう。また,ランダム検査によって感染者数や市中感染率を把握することは,適切な公衆衛生的対策を取るうえでも不可欠なはずだ。

 なのに,なぜ検査を増やさないのか。一つには,東京オリンピックを控えて感染者数を多く見せたくないという政府の思惑が働いているのかもしれないが,もっと根本的,構造的な問題があるのではないだろうか。――

 この点について,『月刊日本』に載った次の上昌広氏のインタビュー記事が一番実相に迫っているように思える。なお,『月刊日本』は保守系の雑誌としてはまともな部類に入る。

★「新型コロナ解説で「安倍批判は控えてほしい」と某局ディレクターに言われた<上昌広氏>

 これを読んでわかるように,一番のネックは
国立感染症研究所
であろう。上さんも指摘している通り,これは医療機関ではなく,厚労省所管の研究機関である。歴史を遡れば,これは旧陸軍の伝染病研究所であり,今もその思想や体質を受け継いでいると言わざるを得ない。上さんは次のように言っている。

 感染研は医療機関ではなく研究機関なので、情報と予算を独占して実態把握や患者の治療よりもウイルス研究を優先したいという思惑があったのではないかと思います。
 いずれにせよ、患者の治療に支障が出ているのは事実です。実際に検査基準が厳しすぎて、主治医が必要だと判断しても保健所が検査を拒否するという事例もありました。医師の立場からすると、患者の治療のためにPCR検査の拡大は絶対に必要です。


 患者の治療よりもウイルス研究を優先――ここに感染研の本質が示されている。患者(人間)はウイルス研究の材料にすぎないのである。私が先ほど,戦前の伝染病研究所の思想・体質を受け継いでいると書いたのは,この点なのである。本来,患者の治療とウイルス研究は一体のものでなくてはならない。だが,患者を実験材料としてしか見られない倒錯した見方に陥るのは,戦前の軍事的発想が未だに染みついていて,それとまだ完全に決別できていないからだ。

 こういう軍国主義的・総力戦体制的な発想・体質が清算されない限り,いつまで経っても感染研は自らのウイルス研究のためにデータや予算を独占しようとするし,そうした既得権益を民間には絶対に譲り渡さないだろう。その結果,犠牲になるのはいつも患者である。その意味で,私たちの本当の敵はウイルスではなく,ウイルス研究を優先して人命を危険にさらす感染研であろう。

 旧陸軍731部隊の中国人捕虜に対するウイルス感染実験にしても,未だ十分に解明されているとは言えない。欧米の指導者が,ウイルスとの戦いという意味で「今は戦時だ」と宣言したが,日本は違う意味で,まだ「戦時」なのである。すなわち,この感染研の実態は,戦前の侵略戦争や植民地主義を反省・総括しない戦後日本の成れの果ての姿を,人体実験というわかりやすい形で表している。こういう感染研は直ちに解体すべきだし,国・厚労省との繋がりを断ち切った上で出直すべきだ。PCR検査を速やかに実施・拡大し,感染爆発を防ぐためには,そうするしかないだろう。そして,同じく戦前からの地続きである安倍政権は,疫病を逆手にとって「緊急事態宣言」という強権を手に入れた。このような超国家主義(ファシズム)とそれに迎合する世論も,感染研もろとも叩き潰さなくてはいけない。