pic.twitter.com/he3jQ8uQOH— ロジ🐶 (@logicalplz) 2017年8月25日
小池都知事が今日の会見で聞き捨てならないことを言っていた。関東大震災での朝鮮人虐殺に対する追悼文を断った件なのだが,今日の会見で次のように言っている(上の動画の最初の部分を文字起こしした)。
「関東大震災という大変大きな災害があり,それに付随した形で,関連した形でお亡くなりになった方々というのは,国籍を問わず多かったという風に思っております。その意味で3月と9月の大法要ということについては,全ての方々に対しての慰霊を行っていくという点については変わりがないわけでございます。」
要は,朝鮮人虐殺も震災関連死だから,亡くなった他の人とまとめて慰霊したいという主旨である。怖いね。地震自体による死と虐殺を一緒くたにしてしまっている。彼女にとっては自然災害も人殺しも同じなわけだ。小池都知事はこの会見で「虐殺」とか「殺害」という認識を全く示していない。朝鮮人虐殺を震災関連死に包括してしまうことで,これを否定し,なかったことにしたいのだろう。本当に怖い政治家だ。こんな言い分がまかり通れば,大震災のような非常事態では朝鮮人虐殺のような差別による虐殺が起こっても構わないという空恐ろしい差別主義の空気が世の中を覆うだろう。
穏健なポピュリストを演じていた政治家が,いよいよ馬脚を現してきたなという感じがする。すなわち筋金入りのレイシストという本性。今日の会見ではっきりしたように,民族差別による虐殺を自然死と見て何ら臆しないこの感性に,私は戦慄するのである。政治リーダーにしてはいけない人物。朝鮮人虐殺への追悼文中止や今日の会見は絶対に許せない。
さらに小池都知事の本音を探れば,こういうことになるだろう。すなわち,朝鮮人だけ特別扱いして追悼するなんてバカバカしくてやってられないということなのだろう。今日の会見は,その本音を穏便な形で言い換えただけだ。本当は,朝鮮人虐殺を否定したいというよりは,「よくぞわが日本民族はあの野蛮な民族を虐殺してくれた」と言わんばかりである。あの非常事態では朝鮮人は殺されても仕方がない,殺されて然るべき,というのが本音なのだろう。そんな猛烈なレイシスト的心性を私は小池都知事に感じるのである。
そして,小池さんの政治家としての特徴として,もう一つ見落としていけないと思うのは,その国家主義的側面である。いみじくも本人も言っていたように,関東大震災で亡くなったのは朝鮮人だけではない。だが震災死と虐殺死を一緒にしていけない。震災の混乱の中で虐殺されたのが朝鮮人だけではなかった,という点が重要なのである。中国人もいたし,沖縄の人びと・奄美の人びと,南葛労働者たちや大杉栄らのアナキストたちもいた。つまり日本人も多数いたのである。だから民族差別というだけでは片づけられない側面がある。そのように日本人も含んだ多くの人が虐殺された背景にあったのは,国体の転覆を目論む者はいかなる人間も生かしてはおかないという天皇制警察国家の虐殺の論理であった。
例えば大杉栄は,秋水らを抹殺した大逆事件の報復を期していたが,国家権力はこの天才的なコスモポリタンにして革命家を生かしてはおかなかった。大杉夫妻は,大震災の戒厳令下で憲兵の直接のテロルによって虐殺されたのである。
前回も書いたように,大逆事件の残酷さをさらにエスカレートさせた関東大震災後の大虐殺は,天皇制警察国家が民間を巻き込んで犯した最も恥ずべきリンチ殺人だと私は認識している。そういうさまざまな民族や階級を含んだ虐殺犠牲者への追悼を一つでも拒むということは,関東大震災におののいた天皇制国家の大量殺人,つまりは国家暴力を是認したということにほかならないだろう。小池都知事の政治スタンスの根底にあるのは,人命尊重の原理とは大きくかけ離れた警察国家的な暴力の原理なのである。私には,大杉夫妻を絞殺した憲兵・甘粕正彦を弁護した武高済と,小池都知事がダブって見える。
レイシズム(朝鮮人蔑視)と国家主義(警察国家)の結合。それが大虐殺を生み,その延長線上に小池百合子も立っている...。