「沖縄と国家」 | ブロッギン敗北【ご愛読ありがとうございました】

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アウシュヴィッツが陸の上のジェノサイド、ヒロシマ・ナガサキが空からのジェノサイドだったとすれば、水俣病は海からのジェノサイドである。(栗原彬)
そして21世紀のいま、史上最悪のジェノサイドがパレスチナの地で、殺人国家イスラエルによって遂行されている…


 辺見庸さんのブログからの情報なのだが,8月10日に角川新書から辺見庸さんと目取真俊さんとの対談本が出版されるとのこと。先日このブログでも紹介した,「沖縄タイムス」&「琉球新報」に抄録された対談の完全版のようだ。新聞での対談抄録を読んだ限りでは,沖縄基地問題を語り合う中で「差別」と「暴力」という日本国家の本質に鋭く切り込んでいたように思えた。

 本書の「はじめに」と「おわりに」は,それぞれ,おそらく目取真さんと辺見さんによる新書用の書き下ろしであろう。日本全市民必読の一冊であるように思う。下のカバーにはこう書かれている。――「だれも傍観者,忘却者であってはならぬ――



目取真 今,沖縄の反基地運動を支援している米国の知識人が論拠にしているのはハーグ陸戦条約,あるいは1943年の米英中によるカイロ宣言で3国が「領土拡張をしない」としていること。米国は戦争のどさくさで沖縄を占領し,占領地をいまだに基地にしている。国際法上も許されない。
辺見 同感です。ところで,目取真さんの小説群が僕にとって魅力的な理由の一つは,仮借のなさゆえだと思う。ホンド(本土)の進歩的知識人といわれている人たちには,その仮借のなさがない。無傷で平和が転がり込んでくるわけがないのに。
 (中略)
目取真 辺野古へ来て座り込みすることはできなくても,ヤマトゥでも日米安保条約に反対することはできる。それぞれの場でやればいい。安保条約の上で暮らす全ての人が当事者。責任を負っている。

(「沖縄タイムス」2017年4月16日より)




八月の沖縄はまた空重し
(大道寺将司句集『残の月』より)



沖縄と国家 (角川新書)/KADOKAWA

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